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5G巡る「情報盗み」の末に楽天が「携帯事業撤退」の観測も ソフトバンクが提訴の構え

5Gサービスについて説明する楽天の三木谷浩史会長兼社長。盗まれた秘密情報は、同社にとってどの程度の重要性を持つものだったのか/2020年9月(写真:楽天モバイル提供)

低価格を武器に携帯電話市場に新規参入した楽天が、内憂外患に陥っている。実害はあるのか。イメージダウンは。1年目にしていきなり正念場だ。AERA 2021年1月25日号の記事を紹介する。

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「何てことをしてくれた……」

「なぜこのタイミングなのか」

複数の楽天モバイル関係者が苦虫をかみ潰した。

ソフトバンクで携帯電話の基地局整備に携わり、楽天モバイルに転職した合場邦章容疑者(45)が不正競争防止法違反(営業秘密の領得)容疑で12日、警視庁に逮捕された。ソフトバンク関係者によれば、合場容疑者は、基地局やその基となる光ファイバー伝送路など5Gや4Gの通信設備の設置に携わっていた。ソフトバンクから楽天モバイルに持ち出された情報は、どういう伝送路を引けば効率的に基地局を建てられるかについてのものだったという。

■情報盗んだ翌日に入社

合場容疑者は一昨年12月31日にソフトバンクの通信設備情報をメールで不正に持ち出し、その翌日に楽天モバイルに入社した。ソフトバンクは自社の秘密情報が不正に利用される可能性が高いとみて、楽天モバイルに情報の利用停止と廃棄を求める民事訴訟を検討している。

ソフトバンク関係者は「楽天には他の携帯電話大手からの転職組も多いが、転職前の会社の情報を持ち込むのが常態化していて悪いことと思わずにやったのではないか」と訝しむ。

一方、楽天側は「そもそもうちのネットワーク整備は他社とは全く違うもので、他社の情報を使うことはありえない」と真っ向から否定している。楽天モバイルは、「世界初のクラウドを活用した完全仮想化」を掲げてネットワーク整備を進めており、クラウドのソフトウェアを活用して汎用的な機器を使うことでコスト削減や整備の迅速化が図れるとしている。

通信各社の間では、転職前の情報を持ち込むと、楽天では報酬や評価が上がるのではといううわさも聞かれるが、楽天関係者は「うちはモバイル以外にも転職者は多い。そんなことを認めると会社として倫理観がなくなる。そんな仕組みはもちろんない」と憤る。

■早くも「撤退」見越す声

「どうNTTと戦うか。これは我々の歴史だ」

KDDIの高橋誠社長は13日の新料金プラン発表会で、昨年12月にNTTドコモが発表した新プラン「ahamo(アハモ)」への対抗心をむき出しにした。この結果、「5分以内の定額通話と20GBのデータ通信で税別2980円」で、既存3社が実質横並びとなった。

楽天モバイル幹部は「3社が値下げしたのはうちに合わせたのが根底にあるはずなのに」と、既存3社からまだ相手にされていないと感じている。確かに楽天モバイルは昨年4月から通信量無制限で2980円のプランを既存3社に先駆けて提供しているが、基地局の人口カバー率は今夏までに96%を目指すという段階で、通信環境の面では心もとない。

その分、3社にはない安い料金で契約者を稼ぐ作戦だったわけだが、既存3社の値下げでそれも瓦解したといえる。3月に3社の新プランが始まる前に、楽天モバイルは新たな値下げに踏み切らざるを得ない状況だ。

基地局整備に関する秘密情報は、本当に楽天の事業に必要な情報ではなかったのか。もしも事件発覚で目標の基地局整備が遅れるようなことがあれば「安かろう悪かろう」のイメージが定着し、事件で悪化した評判が更に悪化しかねない。

楽天モバイル幹部は「コツコツと実績を積み上げるしかない」とつぶやくが、通信業界関係者からは早くも、「携帯電話事業を手放すなら早いほうがいい」と、楽天の早期撤退を見越す冷めた声も聞かれている。(ライター・平土令)