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NANDの10倍、Intel Optaneの2倍の速度を実現するMRAM SSD

MRAM(磁気抵抗メモリ)を採用したストレージ製品が、その驚異的な高速性を具体的に見せつけつつある。MRAMを搭載したSSDと3D XPointメモリを搭載したSSD(「Optane」ブランドとして知られているSSD)、NANDフラッシュメモリを搭載した標準的なSSDの性能を比較したところ、たとえばレイテンシ(遅延時間)ではMRAM SSDがNANDフラッシュSSDの約10分の1、Optaneの約2分の1という高い性能を示した。

3D XPointメモリとMRAMの流通における根本的な違い

MRAMは不揮発性メモリでありながら、データの読み出しと書き込みが高速であり、データの書き換え可能な回数が極めて多いという特長を備える。不揮発性メモリの代表はNANDフラッシュメモリだが、データの書き換え可能な回数がかなり低く、また、データの書き込みに時間がかかるという弱点を有する。

 NANDフラッシュメモリの弱点を解決した大容量不揮発性メモリが、3D XPointメモリである。3D XPointメモリはデータの読み書きと書き込みが高速であり、データの書き換え可能な回数が極めて多いという特長を備える。しかもシリコンダイ当たりの記憶容量は128Gbitと非常に大きい。NANDフラッシュメモリに次ぐ大きさである。

 MRAMと3D XPointメモリを比較すると、SSDや不揮発性メモリモジュールなどへの応用を考えたとき、遅延時間やスループットなどではMRAMがやや有利なものの、性能に大きな違いはない。もっと大きな根本的な違いは、流通形態にある。粗く表現してしまうと、MRAMは半導体メモリ製品であるのに対し、「3D XPointメモリ」は「半導体メモリ製品ではない」のだ。

 MRAMは市販品である。つまり、基本的には誰でもMRAMを購入してモジュールやシステムなどを開発できる。ところが、3D XPointメモリは非売品である。売っていない。3D XPointメモリはIntelが自社のストレージ製品「Optane」を差異化するために使われている。IntelとMicron Technologyは3D XPointメモリを共同開発して共同生産しているものの、自社ブランドの応用製品に組み込んでから販売しているだけで、メモリそのものの販売はしていない。

 半導体ユーザーから見ると、3D XPointメモリは価格の高い低いを議論する以前に、システム開発で調達する部品の候補にすらならない。入手できないからだ。MRAMは違う。半導体商社を通じていつでも購入できる。DRAMやSRAM、標準型EEPROM、NORフラッシュメモリなどの一般的な半導体メモリ製品と変わらない。この違いは極めて重要だ。

 「3D XPointメモリを搭載した高速ストレージの開発」は、IntelとMicron以外のエレクトロニクス企業にとっては開発のテーマに上らない話題なのだ。その点、「MRAMを搭載した高速ストレージ」は違う。開発する能力を備えていれば、製品開発の企画会議に載せるテーマとなり得る。

256Mbit品の登場がMRAMストレージの開発機運をもたらす

にも関わらず「MRAMを搭載した高速ストレージ」は、つい最近までは現実のものとならなかった。おもな理由は、MRAMの記憶容量が小さすぎたからだ。MRAMは当初、4Mbit品から商品化が始まり、16Mbit品、さらには64Mbit品へと記憶容量を拡大してきた(本コラムの既報(ギガビット時代に突入するSTT-MRAM)を参照)。64Mbitでは、NANDフラッシュメモリの1万分の1くらいの記憶容量しかない。

 それでも256Mbit品の量産が2017年(昨年)に本格的に始まると、ストレージの開発機運が急激に高まってきた。大きな理由は、垂直磁気記録方式のスピン注入トルクメモリ(pSTT-MRAM)技術が実用化されたことによって、今後の記憶容量拡大と記憶密度向上の開発ロードマップが立ち上がったことにある。256Mbit品の製造には、40nm世代のCMOS技術が使われている。製造技術を28nm世代から22nm世代、さらには16nm世代へと微細化することにより、記憶容量を1Gbit~4Gbit、さらには16Gbitへと拡大する見通しが出てきた。

 そしてすき間市場(ニッチマーケット)を狙うのであれば、シリコンダイ当たりで256Mbitという記憶容量は、MRAMのストレージ応用を切り拓くために必要な最低水準をクリアしているとも言える。Intelを除く、数多くのストレージ開発企業にとってMRAMのような市販の不揮発性メモリは、非常に魅力的な存在である。

ストレージの最上位階層を目指す

MRAMストレージが狙うのは、SSDやHDDなどで構成するストレージ階層の中で「ティアーゼロ(Tier 0)」と呼ぶ最高性能のストレージ階層である。高速ではあるものの、記憶容量が小さいという問題を抱えるMRAMストレージでは、この階層を目指さざるを得ない。

 データセンターに代表されるエンタープライズシステムでは、ストレージを階層化することで速度と記憶容量、コストのバランスが最適になるように調整してきた。上位階層では高速性を追求しており、記憶容量は小さめであり、記憶容量当たりの許容コストはかなり高い。下位階層では速度はあまり重視せず、記憶容量を大きめに確保し、そして記憶容量当たりの許容コストは非常に低い。

 上位階層では、NANDフラッシュメモリのSSDではすでに高速性能が不足しつつある。そこでNANDフラッシュメモリよりも高速な不揮発性メモリを搭載した、高速SSDへの要求が強まっている。具体的には、3D XPointメモリを搭載したOptane SSDや、3D NANDフラッシュメモリにSLC方式を導入することで高速化したSSD(たとえばSamsungの「Z-SSD」(本コラムの既報(https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/1109765.html)を参照))などである。MRAMストレージも、この分野を狙う。

記憶容量1GBのNVMeストレージを製品化

MRAMストレージの最初の製品は、MRAMベンダーのEverspin TechnologyとモジュールベンダーのSMART Modular Technologiesが共同開発したPCIeインターフェイスのMRAMストレージ「nvNITROシリーズ」である。昨年から今年(2018年)にかけ、市場への投入が始まった。販売はEverspinとSMART Modularがそれぞれ、担当している。

 「nvNITROシリーズ」の代表製品はNVMe1.2インターフェイスを備えた拡張カード型のSSDで、Everspinにおける型名は「ES1GB-N03」、SMART Modularにおける型名は「SSPE8N1LXLAM36BEV」である。記憶容量は1GBと小さい。256MbitのSTT-MRAMチップを32個あるいは36個、搭載しているとみられる。

 製品仕様における性能(カタログスペック)は非常に高い。ランダム読み書きにおけるIOPS値は最大150万(4KB単位のアクセス)、読み出しのレイテンシ(遅延時間)は6μs、書き込みのレイテンシは7μsとなっている。シーケンシャル読み書きのスループットは最大6,000MB/sと高い。

SMART Modularが公表した資料(ホワイトペーパー)によると、ストレージとしての性能は、IntelのOptane SSD(記憶容量480GB品)よりもかなり高い。4KBのランダム書き込み(キュー深さ(QD)は1)におけるIOPS値はOptaneが5万7,750前後であるのに対し、MRAMストレージのnvNITROはおよそ6万9,000である。またレスポンス時間はOptaneが約16.5μsであるのに対し、nvNITROは約14μsとなっている。

 そして128KBのシーケンシャル書き込み(キュー深さ(QD)は1)だと、IOPS値はOptaneが1万強であるのに対し、nvNITROは2万強と約2倍である。またレスポンス時間はOptaneが90μsであるのに対し、nvNITROは約50μsとなっている。

このほかEverspinが、U.2インターフェイスを備えた2.5インチ型SSD「ES1GB-U201」を販売している。こちらも記憶容量は1GBと小さい。製品仕様における性能(カタログスペック)は、ランダム読み書きにおけるIOPS値が最大75万(4KB単位のアクセス)、読み出しのレイテンシ(遅延時間)は7μs、書き込みのレイテンシは8μs、シーケンシャル読み書きのスループットは最大3,000MB/sである。

Optane SSDとMRAMストレージを比較すると、MRAMストレージに圧倒的に不足しているのが「記憶容量」であることは明らかだ。Optane SSDが搭載している3D XPointメモリはシリコンダイ当たりの記憶容量は128Gbitであるのに対し、MRAMは現行品の最大容量が256Mbitしかない。512倍もの差がある。MRAMの次世代品である1Gbit品でも、128倍の差が残る。

エンタープライズ用SSDでMRAMをバッファに採用

一方、MRAMをストレージの記憶媒体ではなく、SSDのバッファメモリに利用する動きが拡大しつつある。NANDフラッシュメモリを記憶媒体とするSSDでは、通常、DRAMのバッファメモリを搭載する。NANDフラッシュメモリはデータの書き込みに非常に時間がかかるので、高速書き込みが可能なDRAMをバッファにして書き込み性能の低下を抑えるためである。

 ただしSSDの電源が何らかの理由で突発的にオフになると、DRAMバッファのデータが消えてしまう。このデータ消失を防ぐために、DRAMバッファ搭載のSSDは大容量のコンデンサを載せている。電源が突発的に喪われたときは、大容量のコンデンサで電源電圧を一時的に維持し、その間にDRAMバッファのデータをNANDフラッシュメモリに書き込む。

 大容量のコンデンサが必要なことは、2つのデメリットをもたらす。1つは、コンデンサがSSD内部のボードでそれなりの実装面積を必要とするため、記憶媒体であるNANDフラッシュメモリの実装可能なスペースが減少すること。もう1つは、大容量のコンデンサは電子部品としてはやや信頼性に欠ける面があり、SSDの故障発生要因となる懸念があることだ。

そこでDRAMではなく、MRAMをSSDのバッファに使うことで、DRAMの電源維持用大容量コンデンサを不要にしたSSDがエンタープライズ向けに登場してきた。

 具体的には、IBMが今年8月に発表したSSD「FCM(FlashCore Module)」に、MRAMのバッファを採用した。FCMは記憶媒体に64層、TLC方式の3D NANDフラッシュメモリを採用しており、記憶容量が4.8TBと9.6TB、19.2TBのタイプを用意した。

 FCMがバッファに採用したMRAMはEverspinの256Mbit STT-MRAMである。MRAMバッファの記憶容量は128MB。なおDRAMバッファをゼロにした訳ではなく、バッファするデータの種類に応じてMRAMバッファとDRAMバッファを使い分けている。

繰り返しになるが、ストレージ向けMRAMに決定的に足りないのは、シリコンダイの記憶容量である。微細化をアグレッシブに押し進めて記憶密度を高めるとともに、場合によってはクロスポイント構造を活用して3次元メモリとすることで記憶容量を稼ぐ。理想を言えば、シリコンダイ当たりの記憶容量は3D XPointメモリに近い64Gbit~128Gbitが欲しい。MRAMの記憶容量拡大が強く望まれるところだ。