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なぜアップルは iOS 14 のUIを大幅刷新したのか(石野純也)

6月23日未明に開催されたWWDCで、iOS、iPadOS、watchOS、macOSなどの最新バージョンがそれぞれ発表されました。ARMを採用したチップセットの「Apple Silicon」がお披露目となり、インテルCPUから2年で移行していくことが宣言されるなど、Macに関する重大発表が多かった印象ですが、モバイルの観点では、iOSの変化も大きなものとなりました。ここでは、筆者が注目したiOS 14の新機能について、テーマを絞りつつ紹介していきたいと思います。

▲それぞれのプラットフォームを飛躍させるというティム・クックCEOの言葉どおり、iOS 14は大きな進化を遂げた

iOS 14での最大の変化といえるのは、やはりiOSがついに長く受け継がれてきたホーム画面のデザインを変え、ウィジェットを採用したところに尽きると思います。iOSは、初代iPhoneのころから、画面上にズラリとアイコンが並ぶスタイル。フォルダが作れるようになったり、フラットデザインになったりと、ディテールの変更はありましたが、驚くことに、10年以上、このスタイルは変えていませんでした。

▲iOSのUIデザインを刷新した狙いを語ったフェデリギ上級副社長

アップルのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長を務めるクレイグ・フェデリギ氏が、「象徴的な要素を見直しました」と述べていたのはそのため。ホーム画面にアイコンがきちんと整列するスタイルは、iPhoneやiOSの象徴だったというわけです。iOS 14からは、まず、ここに「ウィジェット」が加わります。ウィジェットは、大、中、小の3サイズから選択できるようで、アイコンと同じようにホーム画面上に並べることが可能になります。

▲ウィジェットに対応し、ホーム画面をより自由にカスタマイズできるようになった

ただし、あくまでアイコンとは等間隔で、自動整列もされると言います。そのため、Androidのように、上の方を時計や天気のウィジェット1つだけにして大きく空間を取りつつ、タップするアイコンを下に並べるといった手法は使えません。あえて既存のもので例えるとすると、Windowsのタイルの方が近いのかもしれません。昔からのスマホ好きにとっては、INFOBARを思い浮かべていただければ分かりやすいかもしれません。

▲ウィジェットの配置には、アイコン4つや、8つぶんのスペースを使う形になる

フェデリギ氏は、ホームデザインを刷新した理由について、「iPhoneでできることが増えているため」と語っていました。確かに初代iPhoneと比べ、現行モデルのiPhoneは処理能力や通信性能、カメラのクオリティがケタ違いになっています。さらに言えば、画面サイズも大型化しており、さすがに初代iPhoneから続く流儀をそのまま踏襲していくのは、無理があった気がします。どうせ画面が大きいなら、そこにアイコンではなく、直接その中身を表示した方がいいと考えるのは自然なことです。

▲iPhoneの多機能化が、ホーム画面刷新の理由だという

また、画面が大きいと、どうしても画面上部に配置されたアイコンがタップしづらくなります。iPhone 11を使用している筆者もそうで、利用頻度の高いアプリは画面下部にまとめることが多くなっています。逆に使用頻度が低めのアプリをフォルダに放りこんで、画面の上に置いていますが、それであれば、ここに情報を表示させた方がいい。このように考えると、アップルがiOS 14でウィジェットを採用したのは、理にかなっていると言えるでしょう。特に現行モデルでは、4.7インチの第2世代iPhone SEが相対的に小型端末になっている以上、こうした対応は必須だったように思えます。

WWDCでこの機能をトップバッターに持ってきたのは、ディベロッパー向けという意味合いもありそうです。サードパーティのアプリがウィジェットに対応することで、新たなビジネスチャンスが生まれるからです。特にニュースや天気予報など、情報を扱っているアプリや、メモなどのツール系などのアプリにとっては、ユーザーを広げるためのいい機会といえそうです。

ホーム画面の使い方を変えるという観点では、新たに加わる「App Library」も、注目しておきたい機能といえそうです。これは、最近使用したアプリやジャンル、オススメといったカテゴリーを自動で作り、アプリをまとめておくためのもの。フェデリギ氏は、「3画面目以降は覚えられない!」と「小さすぎて見えない!」のハズキルーペばりなコメントを残していましたが、実際、アプリの数が増えすぎると、どこに何があるのかが分からなくなります。この機能でそれがズバッと解決されるわけではないと思いますが、今まで以上にアプリを探しやすくなることは間違いないでしょう。

▲アプリが自動で整理されるApp Library

ちなみに、このApp Libraryは、AIによって自動で作成されると言います。AIや機械学習という観点でも、iOS 14は一歩踏み込んだ改善や機能追加があり、その最たるものは、アップル純正の翻訳アプリでしょう。この翻訳アプリは、端末上でも処理を行えます。あらかじめ言語セットをダウンロードする必要はあるようですが、ネット接続なしで使えるのは便利で、アップルが強化しているプライバシー保護にもかなった仕組みと言えるでしょう。

残念ながら、まだiOS 14を実際に触ったわけではないため、その精度がどれほどなのかは分かりませんが、基調講演では日本語に対応していることも明かされていました。先行する他社の翻訳サービスと比べ、対応言語数は少な目の11言語ですが、基本的な言語の翻訳がアプリの追加インストールなしで利用できるのは、うれしいポイントです。
▲翻訳機能も提供される

アプリの開発者にとっては、先に挙げたウィジェットと同様、App Clipsも大きなチャンスと言えそうです。App Clipsはいわばミニアプリのような存在で、インストール不要で利用可能。QRコードやNFCタグをスキャンすると、カードのような形のアプリが出現します。基調講演で紹介されていたのは、電動キックボードのサービスや、レストランの事前オーダーサービスといったもので、リアルビジネスとの相性がよさそうなことが強調されていました。

▲インストール不要で使えるApp Clips。リアルビジネスとの相性がよさそうだ

ウィジェットはどちらかと言うと情報系のアプリなど、iPhone内で完結するアプリに向いた機能ですが、App Clipsはオンラインとオフラインを掛け合わせたサービスに向けた機能といった違いがあります。このような視点で見ると、iOS 14は、エンドユーザーにとってはもちろん、ディベロッパーにとっても大きなアップデートと言えるかもしれません。秋に配信が始まるのが、今から楽しみです。