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アップルはiOS 15で「時間の支配権」をユーザーの手に取り戻させようとしている

アップルは7月5日から、WWDC21で発表した新OSのパブリックベータ版を配信し始めました。これまで開発者向けベータ版を配信してきましたが、今後は一般の人も試すことができるようになり、beta.apple.comから利用者登録とデバイスへのインストールをすることで、新機能をいち早く利用できます。

今回から、新しいOSについて、注目の新機能を試しながら、今後のアップルの展開について考えていきたいと思います。

※取材に基づいて特別に許可されたスクリーンキャプチャなどもご紹介します。ベータ版であるため、今後製品版で画面や文言が変更される場合もある点、ご了承ください。

通知に支配される我々の生活

まずはiOS/iPadOS/watchOS/macOSに横断的に導入される 「集中モード」(Focus)です。この機能は、通知と密接に関係しています。明言はしませんでしたが、開発者はアプリと通知を通じて、ユーザーの時間をこれ以上奪うな、というメッセージを発しているようにも見えます。

アップルは数年前から、デジタルウェルビーイング、すなわちスマートフォンやタブレットなどのデジタル機器を健康的に利用できるようにする取り組みを強化してきました。ティム・クックCEO自身が「スマホの使いすぎ」に言及するなど、現代の人たちの多くがその生活をスマホに振り回されている現状を問題視しています。

確かに通知が来ると、スマホの音や振動で知らせて、ユーザーはスマホを手にします。そこからアプリを開き、通知内容の確認にとどまらず、しばらくそのアプリの中の情報を探り、他の通知の確認をして……。

通知を見るまでは1秒とかかりませんが、そこから数分間スマートフォンを連鎖的に使ってしまう場面が、1日の中で何度もあります。ちなみにアップルはスマートフォンの持ち上げやアプリ利用時間の統計を以前から取っており、2つ前のOSでユーザー向けに「スクリーンタイム」機能として明示するようになりました。

時間の支配権を取り戻せ

アップルがiOS 15で解決しようとしているのは、時間の支配権を、秒単位も含めて、ユーザーの手に取り戻すこと。

最近ではSlackのように、仕事の通知もたくさん届きます。しかしそれすら実は今自分が目の前でやっていたことを中断してコミュニケーションを取ることになります。それをやめよう、というのがアップルの主張です。

この指摘は自虐的かもしれません。より多くの時間をスマートフォンに接してほしいと取り組んできたし、そのことをエコシステムにいる開発者にもアピールしてきたはずです。

しかし今度は、デバイスとの時間を必要最低限に抑えていこうという流れは、あるいは開発者からすると、はしごを外される形になってしまうからです。この点にもアップルのねらいが透けます。

ではアプリ開発者は、なぜ自分のアプリを必要以上に頻繁に開かせ、長い滞在時間を稼ごうとしているのかを考える必要があります。

アプリがもしユーザーの仕事や生活の効率性を追究しているなら、アプリを使う時間はより短くなることが正しい進化です。またその点をアプリの価値とするなら、ユーザーはアプリの購入やサブスクリプションによって、その価値を手に入れようと行動します。

しかし、長い滞在時間を稼ごうとするアプリが存在するのはおかしいと思いませんか? そうしたアプリには、滞在時間を延ばそうとする別のロジックが働いていると気づかなければなりません。

たとえばユーザーに本当に必要なもの以外も買ってもらおうとしていたり、広告がビジネスモデルである場合、ユーザーの目的以上にアプリを開く時間を稼がなければならないのです。

そしてアップルは、「ユーザーのためにならないアプリ滞在時間稼ぎをやめろ」と通告しているのです。

既存の「モード」の統合

アップルはスクリーンタイムによってユーザーに使いすぎを自覚してもらおうとしています。ただアプリが通知を送るタイミングはユーザーが「通知を許可」する限り自由で、その通知に反応する形でアプリが開かれ、使いすぎにつながることをつかんでいます。

ちなみにスクリーンタイムでは、通知への反応回数の統計もきちんと記録しています。

そこで、自分の今の状態に合わせて、通知を受け取らないようにすれば良いじゃないか、というのがiOS 15で取り組む対策となります。

ここで振り返ってみると、既にiPhoneには通知の抑制をする機能がいくつかバラバラと実装されていました。各モードと概要は次の通りです。

・おやすみモード(Do Not Disturbed):緊急の通知を届かなくする ・運転モード:運転中のスマホ利用を避けるため、通知を届かなくし、画面をロックする ・睡眠モード:ロック画面には時計を中心として必要最低限の要素しか表示せず、画面を暗くする

それぞれ、別の理由で実装されてきた機能でしたが、これを統合、管理できるようにしたのが「集中モード」です。

上記の既存モードに加え、標準では「パーソナル」「仕事」の2つのモードが追加されて、コントロールセンターで切り替えることができるようになります。ちなみに、自分の好きなモードを新たに作ることもできるようになります。

モードの中身も編集できます。今までは「誰からの通知を受け取るのか?」を設定できましたが、集中モードの設定では「どのアプリからの通知を受け取るのか?」も設定できます。

たとえば、仕事中であれば、LINEやMessengerの通知は受け取らないが、Slackは受け取る、といった設定が可能になります。実際、LINEもMessengerも、日本では頻繁に仕事で使われているので、あまり適切な例ではないのですが……。

さらに、モードを自動的に発動することも可能になりました。

職場に着いたら仕事モードに切り替えて、プライベートな通知を自動的に抑制することもできますし、職場を離れたら今度は仕事関連の通知を受け取らないようにプライベートに切り替えられます。

特定のアプリ、例えば「Kindle」や「ブック」などの電子書籍や、「Netflix」や「YouTube」などの動画アプリを開いた際に、自分で作った「エンタメモード」に自動的に切り替えて、コンテンツに集中する、といった工夫もできます。