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ポータブルSSDでM1搭載iPad ProとMac/PCの連携をさらに楽にする

筆者はずっと原稿書きや画像・動画編集はPCの役目というスタンスを突き通してきた。しかしM1搭載iPad Proの登場で、そろそろ仕事用に取り入れても良いだろうということでM1搭載のiPad Pro 12.9インチモデルを購入した。

10インチ級タブレットに慣れていた身にとっては重さ(寝そべっている時に顔面に直撃するとかなり痛い)に慣れるまで少し要したが、広くて美しいLiquid Retina XDRディスプレーは快適だし、M1はサクサクと処理ができる。とりあえずLightroomのRAW現像はiPadでやった方がキレイで快適(筆者の使い方だと凝った調整はしない)だ、ということはわかった。

しかし筆者の作業フローだとiPad Proのカメラで撮影した写真をLightroomで編集するのではなく、デジカメで撮影した画像をインポートして使いたい。だが1回の撮影枚数が多いのでクラウド経由の転送やAirDropなんて使ってられない。

幸いiPad ProにはUSB Type-Cがあるので、ポータブルSSDを使えば執筆仕事をしているMacやデータ取り用PCと好きなだけファイルのやりとりができる。予算の関係でiPad Proのストレージを256GBに絞らざるを得なかったが、作業中のファイルは最終的にMacに集め、作業後はNASやTimeMachineへというスタイルで仕事をしているため、iPad Proのストレージを大容量化してもあまりメリットはない。iPad Pro/Mac/PCの間で大きなデータを“効率よく確実に運ぶ”にはポータブルSSDが最高なのだ。

いつもの筆者だとAmazonなどで手に入るポータブルSSDケースにM.2のSSDを組み合わせたDIY感あふれるソリューションに走るところだが、今回はSamsungの外付けSSD「Portable SSD X5(以降X5)」と「Portable SSD T7 Touch(以降T7 Touch)」を試してみることにした。

重視したいのはセキュリティー? それとも速度?

X5もT7 TouchもexFATでフォーマット済みであるため、PC/Macに接続すれば一発でマウントされるし、iPad Proでも「ファイル」アプリを使えばexFATのファイルシステムにアクセスできるので運用は問題ない。

X5はThunderbolt 3で接続するパフォーマンス重視タイプ、T7 Touchは厚さ8mmの小型軽量タイプだ。どちらを選ぶのが良いか……は悩ましい話だが、M1搭載iPad ProのType-CはUSB 4(Thunderbolt 4)で最大40Gbpsの通信が可能なので、スペック的にはX5の方に分がある。

T7 Touchは10GbpsのUSB 3.2 Gen2接続なので外付けストレージとしては速い方ではあるが、最速というわけではない。PCで撮ったゲームのキャプチャー動画を編集することもあるので、大きなデータを扱うなら場合はX5の方が良さそうだ。容量は500GB/1TB/2TBの3種類だが、今回は1TBモデルで検証した。

リード2.8GB/秒、ライト2.3GB/秒(いずれも公称値)を誇る「Portable SSD X5」。NVMe SSDをThunderbolt 3経由で接続することでこのスペックを実現している。重さは150gで、寸法は119(W)×62(D)×19.7(H)mm

RAW画像100枚が詰まった約6.6GBのフォルダーをコピーする時間(転送速度)

まずSSD→iPad Pro内蔵ストレージのコピー時間だが、X5がT7 Touchよりも短時間でコピーを終えているものの、両者の差は3秒程度と小さい。Thunderbolt 3とUSB3.2 Gen2の理論的な転送速度(40Gbps対10Gbps)を考えると、iPad Pro側のインターフェースがボトルネックとなっていることが窺える。

逆にiPad Pro内蔵ストレージ→SSDのコピー時間は、X5はSSD→内蔵ストレージと大差ないスピードでコピーできたのに対し、T7 TouchはSSD→内蔵ストレージの5倍近い時間がかかった。先のAmorphousDiskMarkの結果が示す通り、X5に対するT7 Touchのライト性能はシーケンシャルで70%程度、ランダムでも50%程度の差なので、5倍遅いという結果が出たのはちょっと驚きだ。

iPad Air(第4世代)とT7 Touchを使った中山氏のレビューを見ても、内蔵ストレージ→SSDのコピー時間は大して変わっていないため、M1プロセッサー搭載のiPad Pro、あるいはiPadOSのなにかがボトルネックになっている可能性がある。

Windowsのようにデバイスマネージャーで設定を変更……というような手段がない(そういうOSではない)ため、iPad ProとPC間でデータをやりとりすることを考えているなら、圧倒的にX5の方が快適といえる。

ポータブルSSDはiPad Proの足りないところを補ってくれる

筆者にとってiPadとは、どちらかと言えばオフの時にダラダラとSNSや調べ物などをするデバイスだった。だがM1搭載のiPad Proを手にしたら、これまで頑なにMacやPC上でしかしなかった作業をiPad Pro上でやっても良いのではないか……と思うようになった。

そうなると問題なのはデータ共有だが、ご存じの通りiOS/iPadOSというのは“パソコン”的なマインドでファイル操作することをとにかく拒む(かといってAndroidのスタイルも好みではないのだ)。

小さなファイルならAirDropでサクッとやりとりすることが可能だが、撮影したてのRAW画像を……となるとDropboxやGoogle Driveなどのクラウド経由も厳しいし、NASからネットワーク転送といっても帯域やWi-Fi通信の安定性といった制約がある。

ある程度大きなデータを扱うようになると“物理で渡す”のが一番快適だ。今回のX5やT7 TouchのようなUSB Type-CケーブルでつながるポータブルSSDは、iPad Proでガッツリ作業をするにはなくてはならない装備といえる。

だがX5とT7 Touchのどちらが優れているかは簡単には結論が出ない。1秒でも速く転送したいという場合はX5が有用だし、軽さや手軽で強力なセキュリティーを重視したいならT7 Touchの方が有用といえるだろう。