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アップルが米デベロッパとの訴訟に出した「大胆な和解案」とは

アップルは8月26日、デベロッパのアプリ開発支援を目的として、App Storeのプラットフォームに関連するいくつかの大きな”ルール変更”を行うことを明らかにした。さらに、近い将来には米国内の小規模開発者を対象とした1億ドルの支援基金を立ち上げる。

今回アップルが発表したApp Storeの規定改変は、2019年に米国の小規模開発者がカリフォルニア州の裁判所を通じて同社に向けて起こした訴訟の和解案となるものだ。アップルは今回の和解案を作るにあたり、App Storeに対する同社の実践とコミットメントを示しながら、同時にあらゆる規模のデベロッパにとって大きなビジネスチャンスとなり得ること、何よりユーザーが安全にサービスを利用できる信頼性の確保を重視したと説明している。

今回の訴訟を提起したDonald Cameron氏をはじめとする開発者側の原告は、アップルが提示した「さらなる柔軟性とリソースを提供する提案」に合意したと伝えられている。今後App Storeの新しい規定は裁判所の司法審査手続きを経た後、全世界のすべての規模のアプリ開発者に適用される。

iOSアプリ外での追加提案が可能に

今回発表されたApp Storeの主要なアップデートの中で、特に注目したい事項がひとつある。それはデベロッパが”iOSアプリ以外の支払い方法”に関する情報をユーザーに共有できるようになるというものだ。

App Storeでは従来、デベロッパが同様の行為を行うことに対する制限が設けられており、このルールを含むApp Storeのシステムを不当としてアップルを訴えているデベロッパがある。今回アップルは「デベロッパから合意に至るための有用なフィードバックやアイデアを得た」ことを理由にルール変更に踏み切った。

今後は大小の規模を問わず、すべての開発者はiOSアプリの外で、顧客の同意を得たうえで取得した電子メールやSMSの連絡先へ独自にコンタクトを取り、アプリに関連するサービスのオプションを提案したり、アプリ外購入を可能にする自社サイトのリンクなど伝えることができるようになる。

iOSアプリの外で行われた購買活動について、デベロッパはアップルに手数料を支払う必要はない。ただし、デベロッパがユーザーと個別にコミュニケーションを取る際には事前に同意を得る必要があり、アップルはユーザーがこれに同意しない権利も確保されなければならないと注意を喚起している。

このルール変更により、アップルを訴えていた大手デベロッパとの係争が収束に向かう可能性も見えてくる。実際にiOSアプリの外にユーザーを導き、独自の決済システムによる追加のサービスを提案するデベロッパも早々に現れるだろう。

一方で筆者が過去に取材した小規模開発者からは、App Storeを通じてユーザーにアプリやサービスを提供できることにより、煩雑な顧客情報の管理や決済処理をセキュアにできることをメリットとして挙げる声も多くあった。大規模開発者が持てる「インフラ力」の差がサービスの質にも反映され、引いてはアプリを利用するユーザーにも大きなインパクトをもたらすことになるのだろうか。

その他のApp Storeのアップデートに関連するトピックスを確認しておこう。

App Storeから購入できる有料アプリ、アプリ内課金やサブスクリプション料金の価格は現在の100以下の種類に収まっている。2022年末までにはそのバラエティが500以上に拡大される。開発者には商品やサービスの価格設定に自由度が増すことで、より戦略的な価格設定が打ち出しやすくなる。ユーザーにとってもまた、より安価で質の高いサービスに出会える機会が増すことになるかもしれない。

アップルは1億ドルの小規模開発者支援基金を設立することも同日に発表した。本件は米国内のデベロッパ向けに限定した施策であり、特にパンデミックの影響を受ける小規模開発者を支援することを目的としている。内容はApple Developer Programに登録を済ませている開発者を対象に250ドルから上限3万ドルの範囲で支援金を提供するというもの。米国以外の地域で同様の支援基金を設立するかは今のところ言及されていない。

ほかにも「App Store Small Business Program」として本年初からスタートした小規模開発者の支援策も、今後少なくとも3年間は現行の形のまま継続する。年間収益が100万ドル(約1億円)以内の開発者に対するApp Storeの手数料率は15%に削減される。同様にApp Storeの検索機能についても、現状の通り高品位なアプリを公平に探せるシステムを今後3年間は最低限維持することをアップルは和解案に盛り込んだ。

現在アップルのWebサイトには審査を経て却下されたアプリの数、無効化されたユーザーとデベロッパのアカウントの数が公開されている。このデータを参照したうえで開発者がアップルに対して異議を申し立てることができる仕組みも維持する。

2008年に約500本のアプリを揃えてローンチしたApp Storeは今年で13年を迎えた。現在App Storeには227の国と地域に拠点を構える3000万以上のデベロッパが集い、180万以上のアプリがプラットフォームから配信されている。アップルが発表した今回のアップデートを、デベロッパがビジネス拡大の機会として今後どのように活用していくのか、動向に注目する必要がありそうだ。