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「Wi-Fiってなに?」日本人の大多数が、意外と理解してない問題

「Wi-Fi」と聞いて、何を思い浮かべますか?

IT機器に詳しくない人と話す際、認識の違いに驚かされる言葉がいくつかある。

特に最近、SNSなどでも話題になることが多いのが、「Wi-Fi(ワイファイ)」という言葉を聞いて思い浮かべるものの違いだ。

どう違うのかについては、あえてのちほど述べることにするが、この「Wi-Fi」の捉え方の違いは、単に技術を理解している/していないの話にとどまらず、生活のなかで通信がどのようなかたちで存在し、浸透してきたか、という流れと課題が見えてくる。

もはや耳にしない日がないくらい日常に浸透したWi-Fiについて、今回はあらためて深掘りしてみることにしよう。

「Wi-Fi」の正しい意味、知っていますか?

まず、質問から。——「Wi-Fi」とはなんだろう?

あなたなら、どう答えますか?

ちなみに、正確な定義は次のようなものになる。

〈無線を使って機器間の通信をおこなう、俗に「無線LAN」とよばれるもののうち、特に「IEEE 802.11」として定められた規格に適合し、さらに、業界団体である「Wi-Fi Alliance」の認証を得た製品に使われる「ブランド名」〉

情報量が多すぎてややわかりづらい定義なので、少しシンプルにしてみよう。

「IT機器を無線でネットにつなぐ際に使う『無線LAN』の愛称」、といった感じだろうか。

Wi-Fiとは、「IT機器を無線でネットにつなぐ際に使う『無線LAN』の愛称」といったようなものだ photo by gettyimages

だが、Wi-Fiという言葉に対し、まったく別の意味合いとして捉えている人々もいる。そして、その場合のWi-Fiとは、かなりの確率で「インターネット接続を提供する回線」のことだと思われている。

代表的なのが、次の例だ。

よく聞く「間違い」

「ご自宅ではどのWi-Fiをお使いですか?」

筆者も体験したことがあるが、家電量販店の店頭や、電話などを通じておこなわれるインターネット回線のセールスで、このように聞かれることがよくある。

技術的に正しい認識をもっている人であれば、このような質問に対し、「使っている機器のメーカー名か規格の名前でも答えるのだろうか」と思うだろう。しかし、もちろんセールスを持ちかけた側は、"そんなこと"を聞きたいわけではない。

彼らが訊ねているのは、「ご自宅でお使いのインターネット回線は、どちらの会社のものですか?」ということなのだ。

これは、明確に間違った認識であり、誤った訊ね方だ。おかしいと感じ、笑い話にする人もいるだろう。

だが、次の言い方についてはどうだろう?

では、「この店にWi-Fiありますか?」は?

「このホテルには、Wi-Fiありますか?」

特におかしくはない。

同様に、「この店にはWi-Fiあります?」「ウチ、Wi-Fiあるから使っていいよ」という言い方もするだろう。

多くの場合、これらの聞き方は「自由に使えるインターネット接続は使用可能ですか?」ということを指しており、「どんな機器を使っているのですか?」という意味にはならない。

Wi-Fiという言葉を定義どおりに使うこともあれば、「インターネット回線の有無」という意味で使うこともあるのは間違いない。それは、我々の身のまわりに「Wi-Fiでつながることを前提とした機器」があふれ、インターネットにつなぐための当たり前の技術として浸透しているからに他ならない。

「Hi-Fi」を覚えていますか?

冒頭で述べたように、Wi-Fiは本来、「無線通信をおこなう機器で使われている通信規格を示すブランド名/愛称」である。「IEEE802.11」という国際規格があり、それを一般化する過程で業界団体が「わかりやすい名称はないか」ということで定めたものであり、言葉自体には特に意味がない。だが、確かにわかりやすいから、ここまで浸透したのだろう。

ちなみに、その「わかりやすさ」には理由がある。

その昔、高音質なオーディオのことを「High Fidelity(音源に忠実な、高い再現性)」という言葉の略称として「Hi-Fi」とよんだが、その語感にヒントを得て、「Wi-Fi」と名付けられたものだからだ。

繰り返しになるが、Wi-Fiそのものにはなんの意味もなく、Hi-Fiとも特に関係はない。単に「わかりやすい語感のものを」という理由で名付けられたものが、広く人口に膾炙しただけだ。

Wi-Fiの名称は高音質なオーディオ「High Fidelity(音源に忠実な、高い再現性)」の略称「Hi-Fi」の語感にヒントを得て名付けられたが、「語感」以上の関連性や意味はない photo by gettyimages

一方で、Wi-Fiが「インターネット回線そのもの」を指す言葉であるかのようにイメージされるようになったことにも、もちろん理由がある。

それも3つだ。

「Wi-Fi=ネット接続」の間違い

1つには、前述のように、ホテルやファストフード店などで、「ここではWi-Fiが使えます」といった表現が広まったことだ。

Wi-Fiで機器がインターネットにつながるためには、次の2つの条件を満たす必要がある。

インターネット回線がある

その回線に、Wi-Fiに対応した「親機」にあたる機器が接続されている

厳密にいえば、「Wi-Fiはあるが、インターネットにはつながっていない」環境もあるのだが、多くの場合には「インターネットにつながる」ことを期待されているわけで、「ここではWi-Fiが使えます」といわれたら、「インターネットが使えます」と同義になる。

「ここではWi-Fiが使えます」といわれたら、「インターネットが使えます」と同義ととらえるだろう photo by iStock

自分で自宅のネット環境を整える人にとっては、「Wi-Fiは自宅内の機器のこと」と素直に理解できるが、そうした経験がなく、今後もする必要がない人にとっては、「ネットが使えます」以上の意味をもちづらいのが実状だ。

「あの機器」の普及も弊害に

「Wi-Fi=インターネット回線」のイメージが広まった理由の2つめは、「モバイルWi-Fiルーターが普及した」ことにある。

モバイルWi-Fiルーターとは、携帯電話回線を使ってインターネットに接続する機能をWi-Fiルーターの中に組み込み、コンパクトに持ち運べる機器にしたものだ。

「えっ、当たり前の製品じゃないの?」と思うかもしれない。だが、十数年前にはそうではなかったのだ。

当時はスマートフォンの登場以前であり、屋外でインターネットを使うには「ケーブルで携帯電話とPCなどをつなぐ」のが一般的だった。それが面倒ということから、機器どうしを無線接続する方法が模索され、結果として一般化したのが、現在のモバイルWi-Fiルーターである。

コンパクトで軽量な機器を持ち運ぶことで、どこでもすぐにインターネットが使えることから、一時は相当な勢いで売れた製品だ。

携帯電話事業者の罪

その後、携帯電話端末自体にモバイルWi-Fiルーターの機能を「ソフトとして搭載」するようになったのが、「テザリング」だ。テザリングは、特にスマホの普及で一般化した(ただし、実際には、モバイルWi-Fiルーターとテザリングの登場は時期が重なっているところもあり、どちらが先と明確にいうのは難しい)。

ここで重要なのは、携帯電話事業者がモバイルWi-Fiルーターを、屋外のみならず「自宅でも手軽にネットに接続できる機器」として積極的に販売したことだ。

確かに、これはお手軽ではある。

固定回線を自宅用に契約する場合には、工事や機器の設置等が必要なことが多い。これがモバイルWi-Fiルーターなら、自宅に携帯電話回線の電波が届いているかぎり、契約して機器を自宅に置くだけですむ。

現在は規制がかけられているものの、かつては契約を条件に携帯電話事業者から多額のキャッシュバックが提供されていたこともあってか、若い層を中心に広く普及した経緯がある。

こうした機器はその後、フルネームの「モバイルWi-Fiルーター」ではなく、略称的に「Wi-Fi」とよばれるようになっていった。そのためか、ある一定の層にとっては、Wi-FiといえばモバイルWi-Fiルーターのこと……というイメージが強いようだ。

スマホが普及した結果、現在はモバイルWi-Fiルーターではなく、スマホのテザリング機能で用を済ます人も多くなっている。だが、その使用法でさえ、「Wi-Fi」とよばれることがある。

「モバイルWi-Fiルーター」に加え、スマホが普及した現在は、スマホのテザリング機能を使うことも「Wi-Fi」とよばれることが増えてきた illustration by gettyimages

「ギガ対策」という病

そして、最後の3つめの理由が、これまでの2つの要素によって、「さまざまな場所で、Wi-Fiによるインターネットサービスがごくふつうに提供されるようになった」ことだ。

先ほども述べたように、ホテルやファストフード店、コンビニなどのさまざまな場所で、Wi-Fiを使った無料インターネットサービスが提供されるようになっている。

携帯電話回線でインターネットサービスを利用する際には、月々に使えるデータ量(いわゆるギガ数)に制限がある場合が多い。また、スマホをもっていない子どもなどの場合であれば、そもそも自由にインターネットが利用しづらい。

そのような背景を考えると、料金節約の観点からも、ある程度自由にインターネットが使える「無料のWi-Fiがある」環境は重要度を増してくる。テザリングやモバイルWi-Fiルーターで、友人に「ギガをおすそ分け」することも増えてきた。

そのような状況から、「ここ、Wi-Fiある?」「ちょっとWi-Fi借りていい?」といった会話が当たり前になっていったわけである。

今や多くの人が日常で使う言葉ではあるが、Wi-Fiのもつ元々の意味からは少々ズレていることを理解しておいていただきたい。

無料ネットサービスはなぜWi-Fiなのか?

言葉は生き物であり、人々の生活を反映して意味が変遷していくものでもある。

そういう意味では、「Wi-Fi=インターネット接続」……というニュアンスに変わってきたのは、テクノロジーにおける「言葉は生き物である」ことの好例、といえるのかもしれない。

だが、やはり「Wi-Fi=インターネット接続」という理解は間違いであり、たとえ日常会話のなかでそのように使う場面があるとしても、正しい認識をもつことが望ましいのは間違いない。

その理由は、さまざまなトラブルにつながる可能性が存在するからである。

Wi-Fiとは、あくまで家屋内・建物内などの「特定の場所にある機器をネットワーク化する」ためのものだ。このような存在を、「ローカルエリア・ネットワーク(LAN)」という。家庭内やオフィスにおける、複数の機器を連携させる際には必須の考え方だ。

家庭内に1つの機器しかないのならかまわないが、複数の家族がいたり、複数の機器を使用したりする環境にあるのなら、やはり「家の中にLANがあって、それがさらにインターネットにつながっていく」という正しいイメージをもっておくことは重要だ。

家庭でも安全かつ便利に機器を使うには、「Wi-Fiはインターネット接続のこと」という理解では齟齬が生まれ、トラブルも生じやすいからだ。

ホテルやファストフード店などの無料インターネットサービスにWi-Fiが使われているのは、「LANを使いつつ、不特定多数向けの接続を提供するのがいちばん低コストであり、誰もが簡単に使える」からだ。

Wi-Fiとは「特定の場所にある機器をネットワーク化する」ためのもので、「=インターネット接続」ではない illustration by iStock

「Wi-Fi要りませんか?」を禁止用語に

一方、Wi-FiによるLANは、家庭やオフィスなどの「接続する機器どうしが見知らぬ他人のものではなく、セキュリティが担保されている」ことを前提としたものなので、不特定多数向けに使う場合には本来、セキュリティ上の配慮が使う側にもサービスを提供する側にも必要とされる。Wi-Fiという普及した技術を使い、さまざまなところで気軽にインターネットが使えるのはとても便利なことだが、野放図に使うと、こちらもやはりトラブルの元となりうるのだ。

そもそも、インターネット回線を「Wi-Fi要りませんか?」というような、ラフで、かつ正しくない表現で加入を促すのは慎んでもらいたいと思う。正しい知識によらない勧誘は、トラブルを生む要因になるからだ。

日本の場合、若い単身家庭では出費を抑えるためか、いわゆる「固定インターネット回線」をもたない層が増えている。だが、テレワークが増えたり、教育がオンラインでおこなわれたりするようになってくると、「携帯電話網だけでは厳しい」という実状も明らかになってきている。

「Wi-Fiを買った」という感覚で、モバイルWi-Fiルーターを使ってインターネットに接続しつづけるのは決して望ましいものではない。「自分が使っているのはどういう回線か」「使っている回線はコストとニーズが合っているか」をきちんと理解して使うことが必要なのだ。