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「新型MacBook Pro」は何がそれほどスゴイのか

14インチと16インチのサイズが用意されたMacBook Proの新シリーズ(写真:アップル基調講演ビデオより筆者作成)

アップルはアメリカ時間10月18日(日本時間10月19日未明)にオンラインでイベントを開催し、新型となる高性能ノート型コンピューター「MacBook Pro」14インチ(23万9800円~)と16インチ(29万9800円~)を発表した。

これまでインテル製チップを搭載してきたが、新モデルではアップル自社製のチップに置き換え、高性能化と省電力化の両立を推し進めた。

オンラインイベントに登壇したアップルのティム・クックCEO(写真:アップル基調講演ビデオより筆者作成)

アップルは2020年6月の世界開発者会議「WWDC20」で、Macをインテルから自社製チップ「Apple Silicon」へ2年計画で移行させることを発表し、2020年にM1チップを搭載するMacBook Air、MacBook Pro 13インチ、Mac miniの3モデルを発表した。

2021年春には同じM1チップを用いてカラフルな新デザインの24インチiMacを登場させ、一体型デスクトップの自社チップ化に着手してきた。

エントリーモデルのラインナップをM1チップに置き換えたことで、プロ向けに匹敵する性能を備えながらもバッテリー持続時間が驚くほど長くなる進化を遂げたが、メモリー搭載量やグラフィックス、本体の拡張ポートの数などから、プロ向けのApple Siliconの登場が待たれていた。

今回のMacBook Proは、新しい2つのチップと、2つのサイズのディスプレーを備えた新デザインで、いくつもの問題解決に取り組んだ。

今回のMacBook Proに搭載されたのは、M1 ProとM1 Maxと呼ばれる、2つのチップだ。いずれもM1の延長線上にあるチップで、CPUコア、グラフィックスコア、メモリー搭載量などを増加させ、性能を大幅に向上したものだ。

M1
8コアCPU / 7コアもしくは8コアGPU / 16コアニューラルエンジン / 8GBもしくは16GBユニファイドメモリー

M1 Pro
8コアもしくは10コアCPU / 14コアもしくは16コアGPU / 16コアニューラルエンジン / 16GBもしくは32GBユニファイドメモリー

M1 Max
10コアCPU / 24コアもしくは32コアGPU / 16コアニューラルエンジン / 32GBもしくは64GBユニファイドメモリー

ちなみに今まで存在していたM1のiMacやMacBook Airでは、メモリ8GBモデルでも、4Kビデオを快適に編集することができる性能を誇る。

今回メモリの増加に加え、M1 Proではメモリ帯域幅を200Gbpsとしているが、M1 Maxでは倍の400Gbpsとしており、大容量データの処理にさらに有利に働くと考えられる。

インテルを搭載しているMacBook Pro 16インチと比較すると、M1 Pro・M1 Maxともに、プロセッサーの性能は2倍。グラフィックスの性能はM1 Proで2.5倍、M1 Maxで4倍に達する。

今回追加されたM1 ProとM1 Maxは、M1から倍々でチップを拡大させた結果、数百万円のシステムで実現する性能を、省電力ノートブックに内蔵することに成功した(写真:アップル基調講演ビデオより筆者作成)

しかし性能差は14インチMacBook Proでより顕著で、インテル搭載の13インチMacBook Proと比べて、プロセッサー性能は3.7倍、グラフィックス性能は最大13倍にも達する。

16インチモデルと同じM1 Maxを搭載できるMacBook Pro 14インチは、今回の新製品の中で最も性能向上を体験することができる製品と位置づけられる。

省電力性の別の尺度

MacBook Airなどの処理性能を求めない製品の場合、普段の仕事や学習の中で、どれだけ長時間バッテリーが持続するかがポイントだった。

特にリモート会議やオンライン授業など、長時間のビデオコミュニケーションが日常となる中、例えば大学の授業(90分)を5コマ充電なしで受けられるなどのスタミナが、M1搭載MacBook Airが支持されるポイントだった。

確かに省電力であることは、バッテリー持続時間も左右するが、一方で、同じ電力で出せる性能という尺度でも評価することができる。特に映像制作やグラフィックスなどを扱うクリエーティブ業界のプロにとっては、電力が限られるモバイル環境で発揮できる性能の高さが重要になる。

アップルによると、CPUについては、同じ30Wで発揮できる性能がインテルチップの1.7倍、GPUに至っては7倍だとしている。またGPUについて、同じ性能を発揮する場合、M1 Proで70%少ない電力で済む。

負荷の少ない作業ではM1と同様により長時間バッテリーを持続させることができ、また少ない電力でより高い性能を発揮するため、電力が限られるモバイル環境でもより高いパフォーマンスが得られることになる。

Apple Silicon以降に次いで今回重要だったのがディスプレーの刷新だ。今回、iPad Pro 12.9インチモデルにも採用されたLEDバックライトを備える液晶ディスプレー、Liquid Retina XDRとなり、13インチモデルは14インチへとサイズが拡大した。

見所となるディスプレーには、新しいミニLEDバックライトを搭載し、コントラスト比を高めつつ、発色のよい液晶パネルを活用している(写真:アップル基調講演ビデオより筆者作成)

iPhoneでは有機ELディスプレーを備えており、高いコントラスト比を実現してHDRビデオ(ハイダイナミックレンジ)の撮影と再生に対応している。しかしMacでは、Apple純正の60万円以上となるのPro Display XDRを選ばなければ同様のコントラスト比の表示ができず、HDRビデオの編集環境としての進化が求められてきた。

今回、バックライトを独立制御し、黒=消灯とすることでコントラストを高め、HDR表示に対応させることでこの問題を解決した。同時にiPhone 13 Proでサポートした可変リフレッシュレートのPro Motionもサポートし、120Hzまでの素早い動きにも対応させた。

縁取りは3.5mmに縮小され、ディスプレーで敷き詰められる迫力がある。そのため、画面上部中央にはカメラを避けた画面の切り欠き「ノッチ」が用意された。iPhoneよりは小さいものの、Appleは画面が描けているデザインを「一つの意匠」として展開していくようだ。

MacBook Proにおいては、macOSでつねに画面上部に表示されるメニューバーを切り欠きの高さに合わせて表示することで、コンテンツの表示領域をより広く確保する「ボーナスエリア」との考え方だ。

ポートを復活させ、使い勝手も向上

今回5年ぶりにデザインが見直され、より直線的なデザインが採用されている。しかし新しいデザインの本質はゼロから考え直された熱設計であり、M1が発生するわずかな熱を、より静かにゆっくり回転するファンによって効率的に排出する仕組みとして採用されている。

側面から見ると、ディスプレー側は直角、本体下側は丸みを帯びた意匠となっており、ディスプレーを開くと今度はディスプレーの上の角が丸く、下の角が直角。角と丸のパターンが合わせられている点も細かい配慮が光る。

本体のデザインも刷新され、HDMI端子、SDXCカードスロットが搭載された(写真:アップル基調講演ビデオより筆者作成)

2016年のデザインでは、上位モデルの13インチも16インチも、左右に2つずつのThunderbolt 3ポートがあり、充電や拡張機器の接続はこのいずれかで行わなければならなかった。

そのため、ネットワークやディスプレー接続に変換コネクタが必要で、本体のデザインは極めてシンプルながら、ユーザー体験はシンプルさを欠いていた。

今回は左側に電源専用の磁石で吸い付く電源ポートMagSafe、右側には映像出力で標準的なHDMI、さらにデジタルカメラなどから画像を取り込む際に多用するSDXCカードスロットが用意され、変換コネクターやUSBハブなしでも拡張性が確保された。

誰もが振り向く性能

Macはインテルチップに移行して以来、その性能向上のペースをインテルに委ねてきた。しかし2015年頃、ちょうどiPhoneの大きな成功が顕著になるにつれ、ユーザーからはMac軽視の声が高まるようになり、ユーザーの求める性能を満たせないジレンマが続いてきた。

同時に、クリエーティブプロに人気のあるアドビ製品が、サブスクリプションモデルへ転換し、それまでMacを使ってきた人も自由にWindowsに乗り換えてアプリを使える環境が整ったことから、ビデオやグラフィックスで処理性能を求めるユーザーはWindowsに移行する人が増えてきた。

今回のMacBook Proは、そうした人たちをどのようにしてMacに引き戻すか、というミッションがあると考えており、そのためには妥当な価格と使い勝手の良いデザイン、そして何より、圧倒的な処理性能を実現しなければならない存在だった。

実機でのベンチマークや実際のパフォーマンスは次週以降お届けするが、既存のApple SiliconであるM1の性能を考えると、クリエーティブプロを振り向かせるには十分な訴求力があると評価できる。

同時に、14インチの最も価格が安いベースモデルについては、学生やビジネスパーソンにもおすすめできる。特にディスプレー品質は、高いコントラスト比と発色の良さがある。また1080pに強化されたFaceTime HDカメラは、M1 Pro/Maxの画像処理エンジンによって、非常に美しい映像でリモート会議やオンライン授業に参加でき、しかもバッテリーもビデオ再生で17時間、ワイヤレスインターネット利用で10時間と非常に長持ちだ。