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ウッドストックの再来なるか、NFT.NYCという震源地

2021年11月2日〜4日、ニューヨークで開かれた「NFT.NYC」イベント。私自身、NFTのコレクターとして作品を購入するだけではなく、そこから広がるコミュニティ活動に興味を持ち、NFTに関するまとまった情報を吸収したいと参加した。参加してみると、NFTが単なるアート作品の売買だけではなく、地球環境保護やこれからのビジネス、生き方にも影響することを学んだ。

ティーンエイジャーは銀行口座をつくらずともNFTなどを取引するウォレット(トークンの売買・交換をするブロックチェーン上の自分のお財布)があれば生きていけると自らも10代で「Miss Teen Crypto」とハンドルネームを持つ女性がステージ上で熱く語り、期間中に開催されたパーティーは実際、ドルを使わずに仮想通貨だけで運営されていた。会場にいる人々とは、Facebookのようなソーシャルグラフ(人々の関係性)を使わずに、トークングラフ(ブロックチェーン上の活動を軸につながる関係性)を中心にコミュニケーションが進んでいく。

おりしも次期NY市長に選出されたエリック・アダムズ氏が給与をビットコインで受け取ることを発表し、ニューヨークを仮想通貨の取引の中心地とするとの発表があった。ブロックチェーンのビジネス、エンターテインメントの震源地となりそうなニューヨークでのNFTの盛り上がりを当記事では紹介する。

「NFT.NYC」とは

さて、そもそも「NFT.NYC」イベントとは何なのか。このイベントは2019年にスタートし、最初は500人ほどが集まるイベントだったが、3年目を迎えた2021年は5000人を超える参加者が集い、ニューヨークのタイムズスクエア近くの劇場4会場を中心にセッションやミートアップ、展示が行われた。

正直にいうと最初はそれほど期待せず、軽い気持ちで参加したのだが、会場近くのタイムズスクエアのビルボードが、カンファレンス、およびNFT作品でジャックされているシーンを見て、デジタル上の熱狂が街にインストールされていることに興奮しながら会場に入ると、初日のサプライズゲストが、ハリウッドの巨匠の一人であるクエンティン・タランティーノ監督であった。

彼は、アカデミー賞受賞映画である『パルプ・フィクション』の未公開シーン7つをNFT化すると発表しており、さらに会場のテンションが上がった。タランティーノ監督がNFTを活用するニュースは映画業界や映像を扱う人々にも大きなインパクトをもたらすこととなるだろうと興奮したのは私だけではないだろう、NY PostやFortune、CNNでも速報としてすぐにニュースになった。

タランティーノがNFTで変える映画業界

タランティーノ監督のNFT販売の仕組みは以下の通りだ。

パルプフィクションの未公開7シーンをそれぞれNFT化する。それをオークションにかけてファンが入手できるようにする。入手した人はその未公開シーンを自分だけの秘密として取り扱うことも、パブリック公開する公開先も自分で選択できる。いままでエージェンシーなど一部の人間が未公開シーンの権利を扱い、再販ルートを作り販売していたものを、誰でも入手できる仕組みにし、作品の公開方法も自由に選べるようにするので映像コンテンツの流通も変わる可能性がある。監督と作品がファンと直接つながる脱中央集権型の仕組みが映画業界でも起きてきそうである。

タランティーノ監督は「いままでだと未公開シーンの台本などは、美術館のガラスケースのなかで展示されるだけだったが、それをNFTとしてファンとともに盛り上げていけるのはとてもグルーヴィーだ」と語る。クリエイターにとってNFTにするメリットはファンと直接つながることができる、ミドルマン(代理店など)が不要になるという点にありそうだ。

NFT世界のキーワードは「コミュニティ」

カンファレンスに参加して頻繁に出てきたキーワードの一つが「コミュニティ」だ。NFTに限らずブロックチェーンを活用したネットワークでは誰が・いつ・何をしたのか? が透明になるので、トップダウンの命令が不要になる(自律分散型)。その中で大事になるのがコミュニティを自ら育てていく意識だ。誰かが作ってくれるコミュニティではなく、自分自身も参加することにより作り上げるコミュニティという意識。

NFT.NYCカンファレンスは5500人の参加者がお互いに知識を交換しあい、一緒に育っていくコミュニティとも言える。Polygonと言われる新たな環境の勉強会もあるし、横に座った人ともお互いのNFTへの関わり方を共有しながら学び合う。登壇者も例外ではない。ウィキペディアの創設者ジミー・ウェールズは、ウィキペディアのドネーションの仕組みをNFT化する際にどういう方法があるのか?一緒に考えてもらいたいとステージ上から訴えかけ積極的に会場とQAを繰り返す。

「SATOSHI NAKAMOTOについて最初に書き込まれたものをNFT化するのはどうだろう?」「ウィキペディアを支えるNPOの活動をNFT化するのはどうだろう?」「DAO的な組織はウィキペディアにも当てはまるのだろうか?」などなどアイディエーションが積極的に進んでいく。

NFT作品のオーナーたちが集まるミートアップ

「コミュニティ」を感じるシーンは他にもあった。同じNFT作品を有するもの同士が集まるミートアップも積極的に行われていた。猿の作品を展開する「Board Ape Yacht Club」はオーナーだけが参加できるパーティーや販売会などを行っており、街中にはBAYCのトレーナーを着た人達をよく見かけ、フィジカルな世界(NFT界隈の言葉でいうとIn Real Life [IRL] )にもNFTの影響が浸透しているシーンを多数目撃した。

私自身も「MeebitsDAO」の創業メンバーとして参加しているので、自分のアイコンを使ったAR写真をツイッターやMeebitsDAOメンバーのコミュニティに共有したり、日本人の8歳のアーティストが作った「Zombie Zoo」のオーナーが集まるミートアップにも参加した。

「Zombie Zoo」のミートアップにはニューヨーク、ロサンゼルス、モントリオールからオーナーたちが参加したのだが、Discord上でコミュニケーションをし、同じNFT作品を所有するもの同士なので、初対面にもかかわらず最初から打ち解けて話を進めていけるのでとても居心地が良かった。Zombie Zooの作品をなぜ購入したのか聞いてみると、8歳の日本人の男の子が作っていることに興味を持ったという意見や、作品そのものがキュートで大好き、などとの答えが来た。蜂の作品を持っているロサンゼルスの写真家は「色使いと構図が最高だ。キャンバス上に小さく蜂が描かれてその背景が真赤に染められている、この大胆さが良い!」と絶賛をしていた。

NFTは所有物をまとめて表現できるもの

NFTが高額で取引されているニュースを見て「NFT=投機目的」とみる人もいるとは思うが、実際には違う。作品そのものに惚れることもあれば、そのコミュニティに属している喜びを得ることもできる。一つの自己表現の場とも言えるだろう。

シリコンバレーの投資家のビル・タイは「NFTは自分自身、および自分の所有物をまとめて表現できるものであり、ここ30年ほどのテクノロジートレンドのなかでも大きなインパクトをもたらすものである」と語る。このインパクトを知らないビジネス界隈の方々が多いので、金融界のダボス会議と呼ばれる「ミルケン・インスティチュート」の会議にてNFTの重要性を語って来たそうだ。一部のギークだけのものから、大きなビジネス界へのうねりも作りそうな印象を受ける。カーボンニュートラルの取り組みも積極的に行うサービスも生まれてきている。

ブロックチェーンがあれば銀行口座はいらない

さて、8歳の日本人アーティストがNFTで作品を販売する「Zombie Zoo」の事例もすごいが、ティーンエイジャースピーカーのMiss Teen Cryptoの発言も非常にインパクトがあった。これから不要になるものとして「銀行口座」や「紙の証書」などをあげていく。彼女の意見はこうだ。銀行口座はある程度の年齢にならないと作れないが、ブロックチェーン上のウォレットは年齢に関わらず作ることができ、そこで作品を売り生計を立てることができるので銀行口座は不要になるのではないか? と。

また、卒業証書を紙でもらう意味がわからない、とも語る。卒業証書もウォレット上にNFTとして登録してくれれば、持ち歩きができる証明書になるのに、紙のままでは家にあるので証明書を持ち歩けない、と。

これからNFT関連のビジネス(例えば上記の紙の証明書をNFT化するなども一つのビジネスになりそうだ!)が増えてくるとドルや円ではなく仮想通貨を使ってビジネスをし、生活をする層もでてきそうである。ニューヨークが仮想通貨のモデルシティーとなるのであれば、なおさら、である。フィジカルなグッズとNFTの連携などもNFT.NYC会場でも体験でき、リアルとデジタルの融合の接点を作るのもNFTなのかもしれない。

会場にはローリングストーンズ紙の編集者も居て、このNFTの盛り上がりは1960年代のウッドストックのようだ、とも語る。ロックンロールのトレンドを作ったウッドストックと同じように、このNFT.NYCが次世代のカルチャーを生み出す震源地となりうるだろう。日本のNFT関連プレイヤーが増えて、来年NFT.NYCに多くの日本事例も発表できることを期待したい。