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サイト閉鎖で情報消滅、その前に。Webコンテンツの永久保存を考える

インターネットの「ビックウェーブ」が日本にやってきて早20数年、今年(2022年)には、国立国会図書館が所蔵する貴重な絶版本を「個人向けデジタル化資料送信サービス」として、インターネット経由で閲覧できるサービスを開始した。絶版本の内容も、より手軽に見られる時代になった。一方、書籍化されていないインターネットの情報・コンテンツはどうなるのであろうか?

はるか昔に書き込んだteacup掲示板の内容、初めてジオシティーズで制作したホームページ、思い出深いインターネットのニュース記事、これらの情報は残っているだろうか。残っているものは少ない気がする。

そもそも当時は、書き込んだ本人や制作者、そしてデータを預かる側も、未来永劫、保存することは考慮していなかったように思う。

もちろん、Internet Archiveが運営する「Wayback Machine」等で、昔のコンテンツの一部を見ることはできる。

こころみに「Wayback Machine」で「https://www.amazon.co.jp」と入れると、アマゾン(ジャパン)2000〜2022年の過去ページのいくつかが見られることがわかる。スナップショットが撮られている日には緑丸がついている。

試みに2001年3月9日をクリックすると、当日のアマゾン ジャパンのトップページがあらわれる。右側に表示される「Amazon.co.jp和書トップ100」のランキングの第1位は、2000年11月刊行の大ヒットセラー『チーズはどこへ消えた?』だ。

だが、これから先、自らの意思を持って未来に残したいと思っている書き込みやホームページ、記事といった情報・コンテンツを残す手段はあるのだろうか。

「現代の焚書(ふんしょ)」?

ときとして、為政者は都合の悪い情報を封印するために本を燃やす行為、焚書を行ってきた。

インターネット時代においても、都合の悪い情報を権力で消したり、情報にアクセスができない状態とするような行為が存在する。

ただそもそも、情報を預けていたサービスが停止したり、ドメインやサーバの管理者が死去することによって、情報を保管することが存続できなくなることが出てくるだろう。

それは、いわばまったく意図しない言論制限とも言えなくないだろうか。

実際、先に挙げたteacup掲示板は今年(2022年)の8月1日でサービスを終了することが発表され、ジオシティーズは既に2019年3月31日でサービスを停止している。また、メディアでは、2022年3月31日でサービスを終了した「TechCrunch Japan」の記事は、もう見ることが出来ない。

2000年代初頭(Web2.0の時代)には、著作者がインターネット上で手軽に著作権に対する意思表示を行うことができる「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」が出来、著作物の再利用が促されたが、著作権に対する意思表示そのものが、著作物を残していく手法となるわけではない。

では、なぜ意図しない、そういった「言論制限」が起こるのか。理由の多くは情報を維持することにお金がかかるからであろう。無料掲示板や無料ホームページ、メディアを維持する裏には、何かしらのビジネスモデルが動いている。加えて、サービスを運営するソフトウェアの保守やメンテナンスのコストも負担せねばならない。ドメインやサーバの維持には、元来コストがかかっている。

コスト負担なきところに維持なし。喩えるなら「墓じまい」に近い。面倒を見る人がいなくなった情報は墓に行くのではなく、墓自体がなくなるのだ。

ただ、冒頭の「〜情報・コンテンツを残す手段はあるのだろうか」の答えとして、たとえば、古くは先にも述べたInternet Archiveの「Wayback Machine」、最近では「Web魚拓」や「Evernote Web クリッパー」といったサービスを利用してページを保存しておけば、万が一プラットフォームがサービスを終了した後でも情報を閲覧することは出来るだろう。

だが、今後、インターネット上の情報・コンテンツを「保存」するためには、どんな道があるのだろうか。期待を込めて考えたのが以下の3つである。

1. NFTによる生き残りへの道

2021年3月、ジャック・ドーシーによる世界初のTweet(投稿)が、約290万ドルで落札された。

情報に値段が付いたという点において、この意味は大きい。落札されたTweetはNFTにより「本物」であることが保証されている。保有者の意図によっては、今後、世界初の本物のTweetを見るには、対価を払わなければいけないかも知れない。

インターネットにおいて、文字や文章の引用は画像の引用に比して、緩い傾向があるように思われる。これからの時代(Web3の時代)は、過去の文字や文章の引用に対して適切に課金できるようになるかも知れない。情報・コンテンツを維持するコストの原資が捻出できる可能性があることは、大きな転換点を予感させる。

2. 事前の売却(証券化)による生き残りへの道

2020年12月、ボブ・ディランが自らの楽曲の著作権を数億ドルで売却した。

真意はディラン本人しか分からないが、様々な意図があったであろう。創造者たる著作権者が存命中に著作物の価値を確定し、その価値の対価を受け取る。存命中に対価を使って社会貢献することも可能であるし、死後に意図しない使われ方や無用な相続争いを避けることもできる。

翻ってインターネットの情報・コンテンツはどうであろうか。

今後、現在掲載されているインターネットの情報・コンテンツが、第三者から見て、将来的に収益を生むと判断できれば、事前に買い取ることにより(証券化)、その第三者が新たな著作権者となって、その情報・コンテンツを残していくこともあるだろう。

折しも日本政府は著作権者が不明の著作物の利用について、2023年の通常国会での法改正を検討している。著作権者が不明の場合は一時的な窓口を作り、事後に見つかった場合はその利用料を還元する仕組みなどを検討しているという。

一方、著作権者は著作権者(本人)が所在不明となる前に価値を確定し、その対価を事前に受け取る流れが出る可能性も大いにあるように見える。

3. コストの先払いによる生き残りへの道(「樹木葬的」発想 )

あなたの情報・コンテンツに対して、現時点で誰も価値を見出さなかった場合はどうだろう。そのときに考えたいのは、自ら先払いすることによる維持コストの負担だ。

あなたが一定期間コンテンツを残したいと思ったら、その期間にかかるであろうコストを事前に払っておく。ドメイン・サーバの代金を数十年分を支払っておくことができれば、その期間、情報・コンテンツは維持できる。

これは納骨期間が決まっている樹木葬(墓石の代わりに樹木を墓標とする葬り方)的な考え方と一致する。

インターネットの「ビックウェーブ」が日本にやってきて早20数年、これから先、著作権者不明や維持が困難になった情報やコンテンツが増えてくるであろう。

今回挙げた以外にも様々な方策で情報・コンテンツを未来に残していくことを考えていくことが望まれる。当然、残すべきではない情報・コンテンツを除外していきながら。