崩れ落ちた天井に散乱する無数のがれき――。原子力規制委員会は26日、2011年に水素爆発を起こした東京電力福島第1原子力発電所3号機の内部調査の映像を公開した。事故後の内部の詳細な映像が公表されるのは初めてで、事故原因の分析に役立てる。
「(放射)線量が高いので離れて」。原子力規制庁の職員6人による12月12日の内部調査は、放射線量を随時確認しながらの作業となった。11年の東日本大震災の津波の影響で3号機は炉心溶融(メルトダウン)と水素爆発を起こした。
爆発の影響で5階建ての原子炉建屋の屋根や壁の一部が吹き飛んだ。規制庁の職員は1階から建屋に入り、階段で3階まで進んだ。3階に近づくほど散乱しているがれきの量が増えた。
3階では天井のコンクリートが崩れ落ち、内部の鉄筋がむき出しになっていた。4階までの階段も壊れていた。建物を支えるはりも損傷が確認された。
「時々空が見えている」「爆発の影響を受けて天井が下がっている」――。映像に入っている規制庁職員の声は生々しい現場の様子を伝えていた。4階か5階で水素爆発が起き、爆発の力で3階天井に大きな力がかかって壊れたとみられる。
内部の放射線量は事故直後に比べて下がったとはいえ、1時間あたり数ミリ~150ミリシーベルトにのぼった。約15分にわたった内部調査での被曝線量は最大3.72ミリシーベルトだった。一般の人の年間被曝(ひばく)限度の1ミリシーベルトを上回った。
規制委は約5年ぶりに事故分析検討会を再開し、議論に必要な情報を集めるため内部調査を実施した。同検討会では大量の放射性物質が漏れ出た経緯や緊急時に使う設備の作動状況などを分析している。20年中をメドに報告書をまとめる予定だ。
2019-12-26 05:41:02