社会現象にもなったPayPayの「20%還元」。キャッシュレスが盛り上がった 筆者撮影
2019年を振り返る上で、欠かせない話題の1つがキャッシュレスです。大型の還元キャンペーンや10月の消費増税に伴うポイント還元が後押しになり、幅広い年齢層に広まりました。
その中でも勢いがあるのは、アプリを用いたスマホ決済です。大盤振る舞いのキャンペーンが終わった後、果たしてどこまで日常に普及するのでしょうか。
■「Pay」に振り回された2019年
2018年12月に始まったPayPayの「100億円キャンペーン」のように、当初の盛り上がりは家電量販店などに限られていました。しかし商店街やスーパーが導入したことで幅広い年齢層に訴求。2019年は、多くの人がキャッシュレスを「自分ごと」として理解した1年になりました。
PayPayはサービス開始から13ヶ月で1900万人が登録した
QRコード決済だけでなく、JCBはQUICPayの利用でカードごとに最大1万円、イオンカードは最大10万円の還元を実施するなどの大盤振る舞いが続きました。タイミング良く買い物ができた人は、かなりトクをしたのではないでしょうか。
一方で、良いニュースばかりではなかったことも事実です。鳴り物入りで登場した「7pay」はセキュリティ上の問題が露呈し、1ヵ月で終了に追い込まれます。PayPayもシステムダウンによる混乱がありました。
失敗に終わった「7pay」。その後、ロゴは削除された
都心のコンビニでもまだ現金払いをする人は多く、キャッシュレスといってもクレジットカードや電子マネーの利用が大半です。QRコードなどを用いるスマホ決済は5%程度に過ぎないとの指摘もあります。ただ、注目すべきはその勢いです。
■スマホ決済アプリが最重要の存在に
QRコード決済は当面の手数料無料を打ち出すなど低コストを売りにしたことで、これまで現金のみだった店舗がいきなりスマホ決済に対応したことに驚いた人もいるのではないでしょうか。
将来的には各種手数料を引き上げることで回収に走るのではないか、という見方はあるものの、そうした手数料ビジネス以上に重要になってきたのが「データ活用」の方向性です。
たとえばFacebookは誰もが無料で使っていますが、そこには莫大なデータが集まっており、広告やマーケティングに活用できる大きな価値があると評価されています。同様に、スマホ決済のアプリには個人の属性や行動範囲、趣味嗜好に関するデータが集まってきます。
PayPayが目指す「スーパーアプリ」。活用されれば莫大なデータが集まる
各事業者がアプリの強化に躍起になる理由がここにあります。スマホ決済のアプリではクーポンや割り勘、他のサービスを利用できるミニアプリなど多彩な機能を提供できる上に、データに基づいて利用者にアプローチできる双方向性を備えています。
アプリを用いた決済としてまずはQRコードが普及しましたが、Eコマースやモバイルオーダー、顔認証など、オンラインとオフラインの両方に可能性は広がっています。アップルが米国で発行する「Apple Card」のように、アプリと密接に連携するクレジットカードにも期待が高まっています。
2020年には登場予定の「Kyash Card」。アプリとの連携機能が期待される
■2020年はミニアプリや金融にも注目
これから先、最大勢力になりそうなのがヤフー・LINE連合です。2020年10月の経営統合を目指す両社が勢いに乗る前に、ドコモ、KDDI、楽天といった携帯キャリアを中心に、さまざまな事業の提携や統合が進むと予想されます。
2019-12-31 18:59:59