パソコンにスマホと、電子情報機器が全盛の時代にあっても、紙のノートは健在だ。むしろ電子機器の普及で、肉筆で書くことの良さを実感する人が増えているかもしれない。
同時に、電子機器の便利さのせいで、紙のノートの限界に潜在的な不満を持っている人も多いはずだ。例えば、商品企画を考えていて、横罫でなく方眼に書きたくなった時や、何冊もたまったノートを企画会議のたびに持参する時など、それを痛切に感じることだろう。
キングジムが送り出す新コンセプトの電子ノート
今回紹介するキングジムの「フリーノ」は、手書きのノートの良さと電子機器が持つ利便性を兼ね備えることで、紙のノートの使い勝手改善をねらった新製品だ(発売は来年春の予定)。
「フリーノ」の外観は極めてシンプル。電源のスイッチと(暗い場所で使う)フロントライトのスイッチが上部にあり、下部にはmicroSDカードのスロットとUSBポートが1つずつある。本体の色は、従来の電子ノートでは主流であった白や黒ではなく、マットベージュになっている。「日常に溶け込むナチュラルな色合い」ということで、この色を採用したそうだ。持ち運びや保管の際に使うカバー(別売)の素材も、同様の理由からクラフトペーパーを使用。風合いが心地よく、使うほどに馴染んでくる特徴がある。また、これはスタンド機能も備えている。
「フリーノ」の外観(注:開発時のサンプル製品)
6.8インチの画面には、Kindle端末などで実績のあるE Ink社の最新の電子ペーパーディスプレイを採用し、16階調のグレースケールで紙のノート並みの見やすさを実現している。また、スリープ時も、画面に表示された内容がそのまま保持される(スリープ時の画面はカレンダーにするなど設定可能)。もちろん、書き心地も抜群。筆圧は4096段階を検知できるそうで、鉛筆・ペンで紙に書くのと遜色ないほど、なめらかで細やかなタッチで書くことができる。
手帳としても使える多彩で充実した機能
「フリーノ」で基本となる「Note」の主な機能は以下のとおり。
① 色の濃淡、鉛筆・ペン・筆の種別、四角形や丸などを描くモード、線の太さを設定。
② デジタルペンをドラッグすることで最大15列×15行の表を作成。
③ テキストボックス内にキーボードでテキストを入力。
④ デジタルペンで範囲を指定して、その部分を切り取って移動。
⑤ 線ごと消すモードと部分消し(サイズ変更可能)の2つのモードから選択
⑥ 背景となる横罫、To Doリスト、デイリー、方眼、ドット方眼など、12種類のフォーマットから1つ選べる(自作のフォーマットは最大で4種類追加可能)。下写真参照。
手帳でおなじみのものを含め12種類+自作4種類のフォーマットが選択可能
このほかに、直前に書いたものをキャンセルしたり、保存したノートをタイトルやタグから検索する機能も備わっている。
もう1つ要となるのが「Calendar」機能。手帳のマンスリーと同じ体裁で、特定の日付をデジタルペンでタッチすると、画面がデイリーに切り替わり、その日のタスクやスケジュールを書き込める。
「フリーノ」の「Calendar」画面
また、「Documents」には、外部から取り込んだPDFファイルを保存でき、開いてデジタルペンで書き込むことも可能だ。外部ファイルのやり取りは、microSDカードや付属のUSBケーブルを介して行うほか、内蔵の無線LANによってオンラインストレージサービスのDropboxとデータを共有することも可能。
PDFファイルを取り込んでデジタルペンで書き込むことができる
一生使えそうな容量と使い心地の良さ
ちなみに、内蔵メモリには約1万3000ページのノートと約2000 MB相当のPDFデータを保存できる(注:2019年12月下旬時点の情報で今後仕様変更の可能性あり)。ノートがいっぱいになるという心配は、まず無用だ。
キングジムの開発担当によれば、「フリーノ」の商品企画の構想は10年近く前には始まっていたという。しかし、当時の電子ペーパーの技術では描画速度に難があり、社内で見送られた。だが、商品化の青写真に技術が追いつき、ついに形になった。本製品には、アナログならではの良さにこだわりを持っている開発者の想いが、随所に込められている。
「フリーノ」は、2020年2月28日までクラウドファンディングのMakuakeで、専用カバーのセットで予約販売中(2020年4月末までの発送予定)。人気が高く、「超絶早割価格」は完売しているが、Makuake限定価格はまだ空きがある。興味がある方は、サイトをチェックしてみよう。
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編集部注:クラウドファンディングには立案会社の問題でプロジェクトが頓挫する可能性や支援金が戻らなくなるリスクも稀にあります。出資に当たっては、お客様ご自身でご判断いただきますようお願い致します。
2020-01-02 19:26:58