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実録「分子ロボット」開発成功記 世界最小ロボットが医療を変革する

ロボットといえば、人間が乗って操縦するもの? ラジコンのように遠くからでも操縦できるもの? それとも、最近お店でよく見かける人型の人工知能(AI)ロボットのようなもの?

これらは比較的大きな機械だが、もっと小さな、たとえば体の中で活躍して難しい病気の治療ができるような「分子ロボット」をつくる研究も進められている。

北海道大学大学院理学研究院の角五彰(かくご あきら)准教授は、これまでのような機械によるロボットではなく、「化学的な部品(分子)」を組み立てた「分子ロボット」をつくり、生体内で任務することを目指して研究を続けている。そして研究の結果、世界最小の分子ロボットをつくることに成功した。
(サイエンスライター 大谷有史)

分子ロボットの動力源は「ATP」

ロボットを動かすためには3つの要素が必要とされている。ロボットの動力となる「駆動系」、命令を与える「知能・制御系」、そして命令のオンとオフを切り替える「センサー」だ。

 

分子ロボットの構造。キネシンと微小管が「駆動系」、DNAは動きを制御する「知能・制御系」、光を当てると形が変わる分子は「センサー」となって命令を切り替える(北海道大学、関西大学などの研究グループ提供 )

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角五さんらがつくった小さな分子ロボットを動かす「駆動系」として働く部品は、私たちの体の中で物質を運ぶ役割をもつ「キネシン」と、キネシンが移動するときの足場となる「微小管」という組み合わせのタンパク質に注目して作られた。

キネシンは「動く」性質をもっており「モータータンパク質」とも呼ばれている。この研究でモータータンパク質が注目された理由は、エネルギー源にある。

モータータンパク質は「ATP」という物質をエネルギー源としている。ATPは生物のエネルギー源でもあるため私たちの体の中に豊富に存在している。

生体内にある物質をエネルギー源にするのだから、生体内で病気の治療などの任務を行うことを考えたときにエネルギー供給の心配をしなくてもよい。これは大きな利点だ。

初めてつくった「ATPをエネルギー源とする分子ロボット」が動き回る動画を見て「僕にとっては最高の癒し系動画です」と角五さんは笑う。

だが、ここに行きつくまでには「学生時代にかじっただけ」というバイオテクノロジーに関する論文や参考書を読みあさりながら、数多くの試行錯誤を重ねたのだという。専門外の知識も学びながら実験を繰り返した日々は苦労の連続だったかもしれないが、その成果は着実に形になってきた。

「DNA」を用いた指揮系統

モータータンパク質に対して「どのように動くか」という指令を伝える「知能・制御系」には、DNAが使われた。ヒントは、ある講演会での現・関西大学化学生命工学部の葛谷明紀(くずや あきのり)教授の講演にあったという。葛谷教授はDNAそのものを合成したり、DNAの振る舞いを制御したりする研究をしている。

DNAは生体内で遺伝情報の保存と伝達を担う物質だ。アデニン、グアニン、シトシン、チミンという4種類の塩基と呼ばれる分子がたくさんつながった鎖が2本1セットとなっている。

この2本はそれぞれ「らせん」を描きながら、片方の鎖のアデニンがもう一方の鎖のグアニンと、同じようにシトシンがチミンと結合した「二重らせん構造」で存在している。