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ブロックチェーン、信用スコア、PoC、トークンエコノミー、RPA、2020年注目のビジネスキーワード

株式会社ユニメディアのCTOの森川敬一です。CTO歴20年の私ですが、新卒で入社した会社は大手SIerで製鉄所の週間製造計画を作るシステムの保守開発を行いました。そこのシステムは1950年くらいから動いてるシステムでした。なので、このおかげで他人のソースコードを読み込む力がついたと思ってます。言語もCOBOL※1だったり、IBMのホストコンピューター上で動くものでした。当時は、間違って無限ループを書こうものならシステム管理者に大目玉を食らうくらいCPUの利用単価が高い時代でした。

今では個人のPCがループしようが個人に迷惑がかかるだけです。本当にコンピュータはムーアの法則※2の通り、コモディティ化したなぁと実感します。今では、一人一台パソコンだけでなく、スマートフォンというコンピュータを常時接続で持ち運ぶ時代です。前回は5Gの話をしましたが、今後は1個人が複数台のコンピュータ(IoT等)と多接続されている時代に変わっていきます。更に、その複数台のコンピュータ同士が相互作用する時代になります。その中でテクノロジーの流れも多種多様に変わっていくと思われます。今回は、今後の流れで重要となるテクノロジーのキーワードの解説を中心に、身近な活用例や今後の傾向も紹介します。

1. ブロックチェーン

ブロックチェーン(Blockchain)は、一言でいうと分散型台帳システムの事。ブロックチェーンの技術は、サトシナカモトが開発したとされ、分散型の台帳(データ)の形をとるため、非常に改ざんされにくく、耐障害性の高いシステムです。仮想通貨(ビットコイン等)のシステム基盤としてブロックチェーンが利用されています。中央集権を妨げる事ができデータ改竄が不可能な事から、ビットコイン等の仮想通貨で使われています。

IoTとブロックチェーンは非常に相性が良いです。IoTのセンシングデータをブロックチェーンのスマートコントラクトと結びつけることで様々な自動契約処理が行えます。例えば、ワインの輸入を依頼した場合にワインの温度管理にも利活用できます。違約条件等をスマートコントラクトに記述し、IoTにより温度データがブロックチェーンに保存されることで改ざんされず、契約外の温度になった場合には、自動的に値引き決済が可能です。SCM(サプライチェーン)でも有効なシステムといえます。

最近では、ブロックチェーンの「いつ、誰が参照したか」が判る取引記録に着目した企業が顧客情報管理に導入を進めている動きもあり、様々な分野での実用化に向け、注目が集まって技術です。こういった企業の動きから、弊社においてもブロックチェーンを利用したファイルサーバーの提供を行っています。ファイルを暗号化し複数サーバーに分割保存し、アクセス権限もブロックチェーンで管理できるので非常にセキュアなファイルサーバーです。今まではブロックチェーンと言えば仮想通貨というイメージでしたが、今後はビジネスシーンでも活用が進んでいく技術と言えます。

2. 信用スコア

個人のコンテンツ使用状況、支払い履歴などをもとにAIがビッグデータを解析。その個人の「信用力」をスコア化する事によりサービスの提供をレベル分けする仕組みを指します。Fintechでは、取引・利用状況のデータを元に融資などの金融サービスを提供します。シェアリングサービスでは、利用者同士の評価により信用スコアが形成されサービス内での信用力としても利用されます。

中国では官民一体となり信用スコア事業が推進されていて、アリババの『芝麻信用(セサミクレジット)』は、中国の社会に定着化しています。信用スコアは、1.金融サービス等の利用特典に使われる場合と、2.シェアリングエコノミー等の信用力として使われる場合があります。1の場合は、スコアによって利率が良かったり枠が大きかったりします。2の場合は、スコアが悪いと利用自体が出来ない可能性も出てきます。そのため、理不尽な評価を外す仕組

みも必要であり、ユーザー評価以外の評価方法も必要とされます。日本でも既に信用スコアサービスが始まっているものの、まだ根付いてはいません。なぜならば、中国アリババの様なビッグプレイヤーによるビッグデータが存在して初めて意味を持つ仕組みだからです。先日のヤフーとLINEの経営統合により実現される可能性は高まりましたが、モバイルペイメントの普及も大きなキーファクターとなっています。しかし、未だにキャッシュレス化比率が20%前後の日本では、厳しいのかもしれません。

中国では偽札が横行しており、銀行のATMから偽札が出てくることもあるなど紙幣自体の信用力が非常に低いと聞きます。そのため電子決済が普及したというのも当然と言えるでしょう。お店側からすると偽札の可能性があるから電子決済を希望する、消費者もお釣りが偽札の可能性があるから電子決済を希望する。あっという間に電子決済が普及する訳です。

一方、日本の紙幣の偽造防止技術は非常にレベルが高く、日本では紙幣自体の信用度が非常高い。そのため、電子決済の方が信頼度を上回る事が出来ないと言えます。これは、技術が高すぎたためのイノベーションのジレンマ。しかし電子決済が進まないという事は、購買ログデータが集まらないという事であって、今後のマーケティングで日本は世界で遅れた国になる可能性が非常に高いと考えられます。

3. PoC

Proof of Conceptの略称で概念実証を指します。新しいアイデアや企画が実現可能なのか、効果が有効なのか、マーケットニーズがあるのか等をβ版、試作品の様なモノで試してみるといったもの。似た言葉では、「リーンスタートアップ」や「アジャイル開発」があり、小さく作って大きく育てる様な意味も持ちます。新しいサービス企画時は、リスク回避、難易度調整の面からもPoCを行うのが一般的です。

注意点としては、PoC自体が目的となってしまう事。最終ゴールのための通過地点であると認識しながら、成功・失敗に関わらず結果分析を十分行い最終ゴールに向かって改善を行う必要があります。弊社でも様々な企業からの相談が多いため、ブロックチェーンのPoCサービスを始めました。ブロックチェーンは様々な革新的な使い方の可能性がありますが、技術主導で考えすぎるとサービスとしては意味のないものになってしまう可能性もある。世の中には、それブロックチェーンの意味ないでしょ…というサービスが山程存在します。ブロックチェーンの強み、良さを理解しながら、その強みを最大限に生かせるサービス設計を支援していく必要性を私は常々感じています。

4. トークンエコノミー

ブロックチェーン上でトークンを発行し、そのトークンを法定通貨の様に利用する事ができる経済圏のことです。法定通貨の場合は、国(日本では日銀)が通貨を発行し、国内に流通させていますが、この通貨と同じく流通されるのがトークンとなるため、仮想通貨とも呼ばれています。

ブロックチェーンの特徴でもある「改ざん耐性」「自立システム」「耐障害性」により実現されています。従来利用されてきたポイントは、発行元が一元管理するためボラティリティ(変動率)がないと言えます。トークンの場合は、オープンにやり取りができるためボラティリティも高く、価値の流動性が起こります。通常は、サービスのステークホルダーにトークンが配られ、このトークンがサービスの中で様々な使われ方をされます。サービスの人気が高ければトークンの価値が高まり、サービスの人気が下がればトークンの価値は下がることになります。

この様に、サービスを使うためのチケットの様なトークンをユーティリティトークンと呼び、一方、会社や事業の証券の役割を指すトークンをセキュリティトークンと呼びます。いずれも法定通貨のように価値を持ち経済圏が出来上がります。セキュリティトークンであれば、証券の代わりなので相性が良いのですが、ユーティリティトークンの場合は、経済圏の構築がとても難しい。大きな経済圏を構築しなければ非常に限定的なトークンになってしまうのでトークン発行にあたっては、トークンの利用方法によるボラティリティ設計等も必要であり、トークンエコノミーは事前にしっかり設計が必要となります。昨今生まれてきた考え方でもあり、実用化に向けて色々と工夫が必要な状況と言えます。

5. RPA

Robotic Process Automation の頭文字で、今まで人手で行っていた作業を、ソフトウェアがロボットの様に自動化するサービスを指します。従来でも様々な作業の自動化は行われてきましたが、ツールがコモディティ化した事と、AIにより人の判断が必要だった部分も自動化する事が可能となり普及が始まっています。

RPAは、正確で早く作業量も多いため非常に生産性が高いものの定形以外の作業が苦手とされてきましたが、AIを組み合わせることで人に近い判断が行える様になってきています。このRPA+AIはIPA(Intelligent Process Automation)と呼ばれます。単純なワークフロー処理だけでなく、テキスト、音声、画像分析や高度な機械学習により「脳」をもったデジタルレイバーとして働いてくれる様になってきています。

RPAやIPAは、パッケージだけでなくスクラッチ開発も含めれば、想定以上の自動化が可能なため様々な分野で導入検討は必須となってきています。そして導入にあたっては、BPR(業務プロセス改善)も含めて行う方が、効果が高くなります。弊社でもAI+RPAのシステム構築を幅広く行っており、人手作業で3日かかっていた設計作業を1時間に短縮できた事例もありました。時間による業務効率化に加えて、人手ではないのでミス自体が起こない、そして疲れないので24時間365日働いてくれるというメリットも非常に大きいです。

今後もこれらのテクノロジーを筆頭に、企業のデジタル化や働き方改革はもちろん、日常生活の中でもテクノロジー活用が進んでいくと予測されます。

※1.事務処理などのプログラミングに使う言葉のひとつで、今でもCOBOLで作られたプログラムが現役で動いているものもあります。
※2. 1965年にインテル創業者の一人であるゴードン・ムーアが論文上で唱えたもの。「半導体の集積率は18か月で2倍になる」という半導体業界の経験則です。