米ニューヨーク市の公共交通機関では新型のOMNY(One Metro New York)リーダーの採用が進み、スマートフォンをかざすだけで電車などに乗れる(タッチ&ゴー)範囲が広がりつつあります。
その新型読み取り機を設置した改札機を通過するだけで、iPhoneやApple Watchをかざしていなくても運賃が引き落とされるという謎の現象が報告されています。エクスプレスカード設定を有効にしたiPhoneやApple Watchでは、Face IDやTouch IDで認証することなくApple Payでさっと運賃が支払えます。日本ではSuicaでお馴染みになっており、通勤や通学で愛用している方々も多いはず。
しかしNew York Postによると、Magen Baggという女性は腰の近くにiPhoneを入れていたところ、MetroCard(チャージ式の磁気カード)をかざしてもApple Payから引き落とされたとのこと。もう1人のMacartney Morris氏は、iPhoneをポケットに入れてMetrocardをスワイプすると、やはりApple Payのほうが読み取られたと証言しています。
MTA(ニューヨークの公共交通機関を運営する組織)最高売上責任者であるAI Purte氏は、約30人の顧客から「iPhoneのエクスプレスカード機能が有効になっている場合の、意図しない引き落とし」の苦情を確認しているとのことです。
さらにMTAとしては「意図しないタップの問題」に対処する解決方法についてアップルと協力中とも述べています。それが用意されるまでの間、アップルは取り急ぎの対策としてはiPhoneの設定アプリでエクスプレスカードを無効にすること([設定]>[WalletとApple Pay]から)を推奨しています。
もっともアップルの担当者によれば、エクスプレスカードが利用できる他の都市では同じような問題が報告されていないとのこと。もしもApple Pay側のシステム的な落ち度であれば、より広範な地域や、数年前から運用されている日本でも数々のトラブルが発生していると思われますが、そうした声は聞こえてきません。
地元メディアThe GothamistはOMNYリーダーの反応が過敏すぎる可能性を指摘していますが、そうであればMTAが感度を調整するだけで事態は解決するかもしれません。タッチ決済はその地域に暮らす住民もさることながら、故郷とはしくみの異なる券売機に慣れない観光客に有り難いシステムだけに、原因の究明を望みたいところです。
2020-01-09 20:11:36