2019年は改正電気通信事業法(改正法)が施行され、モバイル業界でさまざまな動きがあった。分離プランが義務化され、端末値引きに制限も加えられた。携帯キャリアは分離プランに適した新料金プランを発表したが、端末代金も含めたトータルの額では本当に値下げになるのか、と疑問を抱く部分もある。2020年に5Gサービスが始まる中で、分離プランを軸としたルールは、本当にユーザー目線で考えられたものなのか。
改正法の中身を決めたり整理したりする場でもあった「モバイル市場の競争環境に関する研究会」に有識者として参加している、野村総合研究所 パートナー(テレコム・メディア担当)の北俊一氏と、企 代表取締役のクロサカタツヤ氏にじっくりと語っていただいた。聞き手はITmedia Mobile編集長の田中聡。
分離プランのよしあしは長い目で見る必要がある
―― 2019年の大きなトピックは「分離プラン」だと思います。2018年に「4割値下げ」の話が政府から出て、2019年に3キャリアがそれに応じたプランを出してきました。その一連の流れをご覧になって、ユーザーにとって本当に正しい施策だったと思いますか?
→解約金の値下げ、端末割引と長期利用割引の規制――総務省の新政策は何が問題なのか?
クロサカ氏 正しい/正しくないでいえば、正しい施策だったと思っています。ユーザーのためになる施策、政策だろうと賛成している立場としては当然、正しいと考えています。ただ、まだ始まったばかりです。これまで端末と通信サービスが一体の商品として認知されてきた歴史があり、それが大きく変わったわけですから、ユーザー自身が戸惑っていたり、概念が分からなかったりすることもあると思います。ですから一言で言うと、長い目で見ようと。ユーザーとしても、最終的にこの施策がよかったかどうか、まだ腹落ちしないのは自然でもありますね。
2020-01-09 23:29:51