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ソニーがなぜクルマを作るのか?幹部のコメントから狙いを読み解く

毎年1月に米国ラスベガスで開催されているエレクトロニクスの総合展示会「CES」には、近年大手自動車メーカーもブースを構えるようになり、まるで"コネクテッドカーの展示会"のような色彩を強く帯びはじめている。今年はソニーが初めて自社で開発した自動運転技術のコンセプトカーを出展したことで大いに注目を集めている。

自動運転の安心・安全を高める

ソニーがコンセプトカーを出展した意図と、これに載せた技術の内容を紹介しよう。

ソニーは今から2年前のCES 2018で自社のセンサー技術を複数組み合わせて、自動運転の安心・安全を高める「Safety Cocoon」というコンセプトを発表している。その中核を担うのがソニーが得意とするイメージングセンサーであり、2020年のCESには現在開発を進めるソリッドステート式LiDAR(レーザー光による測距技術)、および車の中に乗る人物や物体を検知・認識してジェスチャーコントロールによる直感的な操作などを可能にするインフォテインメントシステム向けのToF(Time of Flight)センサーなどを組み合わせて、合計33個のセンサーを新しいコンセプトカーに配置した。

ソニーの社長 兼 CEO、吉田憲一郎氏が登壇するステージでコンセプトカーがお披露目された

ADAS(先進運転支援システム)の自動運転技術のレベルは搭載される技術によりレベルが0から5まで段階的に分けられている。今回ソニーが展示したコンセプトカーには、ドライバーの運転をサポートする段階までの「レベル2+」の実現を視野に入れたセンシングシステムが組み込まれている。完全なモックアップではなく、車輪が回り走ることもできるが、自動車としての安全基準をクリアしていないためナンバーは取得できないという。

年内には日本や米国を含む地域でナンバーを取得できる段階までさらにブラッシュアップを図り、公道走行を実現する考えだと、コンセプトカーの設計を担当したソニーのAIロボティクスビジネスを担当する川西泉氏が、日本人記者を集めたグループインタビューで答えている。

なお川西氏はソニーのaiboの開発責任者としても知られている人物だ。今回のコンセプトカーもaiboと同じく、ソニーのデザイン部門であるSony Designが手がけている。図面をベースに、カナダのマグナ・インターナショナルなどパートナーが協力してコンセプトカーとして形にした。CESの発表時点で世界にたった1台しかないコンセプトカーだという。

ソニーが自動車メーカーになる考えはない

今回のコンセプトカーでは自動運転の安心・安全だけでなく、ソニーらしい「快適なエンターテインメント」への取り組みを「VISION-S(ビジョンエス)」と名付けて、今後も推進していく。

CESの会場ではコンセプトカーに試乗して、ソニーが提案する次世代モビリティのためのエンターテインメントが体験できる。ひとつはフロント側ダッシュボードをぐるりと囲むように配置されたパノラミックスクリーンだ。自動車の走行ステータスや5G通信を活用する情報・エンターテインメントがディスプレイに表示され、画面のタッチなど直感的な操作で様々なオペレーションを実現するイメージだ。

前面ダッシュボードに広がるパノラミックスクリーン

車内では「360(サンロクマル) Reality Audio」という、ソニー独自の技術を使った立体音響エンターテインメントのサウンドが視聴できる。カーオーディオシステムによる車載対応のサラウンドシステムは特に珍しいものではないが、今後自動運転の技術が本格的な進化を遂げてきた時に、運転から解放されたドライバーによりリッチなコンテンツ体験を提供するレベルでの技術競争が繰り広げられることが現時点から予想される。

ソニーの360 Reality Audioは音源の位置をオブジェクトとして空間の中に配置して、様々な動きを付けることでよりリアルな立体感が楽しめる技術だ。現在ホームオーディオ、ポータブルオーディオ向けとしても展開を進める360 Reality Audioもパッケージにして、ソニーらしいハイグレードな車載エンターテインメントもパッケージにした、自動運転車を含む「次世代モビリティのためのプラットフォーム」をCESで披露することが、今回展示したコンセプトカーのミッションだ。

コンセプトカーはソニーが単独で開発したものではなく、大手の自動車部品、半導体メーカーのパートナーとの協業により実現している

ソニーの川西氏はグループインタビューの中で記者からの質問に対して「ソニーが自動車メーカーになる考えはない」と明快に答えている。ただ、一方ではソニーが得意とするITテクノロジーの目線から、従来にはない新しいモビリティを開発・提案できる可能性については積極的に追い求めていきたいとも話している。

コンセプトカーのデザインも今回はスポーツタイプの車両としているが、その形をいかようにでも変えられる可能性についても示唆している。ソニーらしい自由な発想が今後のモビリティ革命に一石を投じることになるのか楽しみだ。