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高齢者にこそスマホを、AIを! 84歳のデジタル伝道師が説く「チャンス」

1935(昭和10)年生まれ、84歳の若宮正子さんは、60歳のころにパソコンを初めて購入して夢中になり、80代からプログラミングを学んで82歳のときにゲームアプリを開発した。今では「ICT(情報通信技術)のエバンジェリスト(伝道師)」として活動している。本書「老いてこそデジタルを。」は、その一環としての著作。「人生100年時代」といわれ、高齢期の過ごし方がさまざまに議論されているなか、高齢者の側からの貴重な提案の一つだ。

「老いてこそデジタルを。」(若宮正子著)1万年堂出版

「世界最高齢アプリ開発者」

勤務していた会社で定年間近の58歳のときパソコンを購入した。定年後は90代の母親を自宅で介護することに決めていて、パソコンがあると家のなかにいても社会とのつながりを維持できると聞いたことがきっかけだったという。そして「たくさんのよき友人と出会い、多くの情報を得ることができた」ものだ。

「日本だけでなく、世界とつながるインターネットは、間違いなく私の生活を、豊かなものにしてくれた。自由に羽ばたける翼を手に入れたような感覚」。その経験から、高齢期を迎えてからのシニアライフを有意義に過ごすため、社会問題化している孤立を避けるためにも「ICTリテラシー」が大切と考えるようになり、エバンジェリストを買って出た。

パソコンやインターネットに精通するようになってからは自宅でシニア向けパソコン教室を開いていたが、デジタル社会の進化に合わせて若宮さんの守備範囲も伝道活動も拡大。パソコン、ネットにとどまらず、スマートフォン、SNS、AI(人工知能)などに興味の対象を広げ、ついには、82歳のときにiPhone(アイフォーン)のアプリを開発し、2017年には米アップルの世界開発者会議で「世界最高齢アプリ開発者」と紹介された。

さらに18年2月に国連総会で、高齢化社会とデジタル技術の活用をテーマに基調講演を行い、政府の「人生100年時代構想会議」にも選ばれている。19年にはG20 の関連イベントでスピーチ。18年末には、アップル表参道店(東京都渋谷区)で、同社のティム・クックCEO(最高経営責任者)と再会し、広く「デジタル系」であることを印象づけた

自宅ではAIスピーカーをフル活用

デジタル機器といえば、高齢者の多くは自分たちには縁がないと思いがち。いろいろなものを使いこなすためには、説明書を丹念に読み込んだり、店の担当者ら詳しい人から説明を受けたりする必要があり、若宮さんは、「やはり『難しい』と感じる方も多いでしょう」と理解を示す。高齢者は若い世代より国語力に優れているが、若宮さんによると、「マニュアルなどを読みながら、手順を追って作業をする」という「実用国語」が苦手なのだという。

だが、それであきらめてはいけないとシリをたたく。それは「私たちは、すでにデジタル機器に囲まれて生きている」から。シニア世代も「もう慣れるしかない」と明るく割り切って進むしかないのだ。しかも今後は、デジタル化がますます進み利便性が高まるなかで、高齢者にも追い風が吹き始めているから、これからはチャンスなのだ。

若宮さんが「これぞ画期的!」と感動したものがある。まさに追い風を感じさせたモノ。それはAIスピーカーだ。通信が5Gとなるこれからはますます、身の回りのあらゆるものがネットでつながり、それらをAIスピーカーを通じて言葉で操作することができる。

「AIはどんな言い方をしても分かってくれます。ですから、操作手順を覚える必要がない。『これはすごいな!』と思った」と、若宮さん。「『間違ったらどうしよう』『通じなかったらどうしよう』なんて心配しないで大丈夫」と励ます。方言が心配な人には「あらかじめ登録しておけばいい」とアドバイスを忘れていない。

若宮さんは自宅ではAIスピーカーをフル活用。テレビもロボット掃除機も声を発してオン・オフ操作をしており、スケジュール管理も任せているという。今後は顔認識を使って名前を教えてくれるようになれば、ますます高齢者には役立つと予想。こうしたデジタルテクノロジーは、高齢者の自助の切り札であり、エバンジェリストとして開発や利用の拡大を訴えているという。

本書では、インターネットの接続など基本的なことから、キャッシュレス決済までカバーしたスマホの使い方、セキュリティーをめぐる注意点、シニアの機能を補完するデジタル機器などまでを概観。多くのことについてアナログとの対比で説明され、わかりやすい。高齢者向けではあるが、両親などでデジタルになじみ切れない高齢者が周囲にいる人にとっても、説明のための参考書になる。