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Googleが「瞬時に天気予測が可能なシステム」を開発

正確な天気予測は「非常に難しい」とされていますが、機械学習は天気予測の精度を向上させることができるのではないか、とかねてから研究者は指摘してきました。Googleがこのアプローチに着手しており、新たな論文によると、Googleの研究者は最大6時間後までの正確な降雨予測を1km単位で「毎分」計算できる技術を開発したとのことです。

既存の技術の多くは天気予報の作成までに1時間を要し、より複雑なデータを作るにはさらに長い時間がかかることもあります。このことから、Googleの新技術は「大きな進歩」だと研究者はみています。

近年は地球上で暮らす多くの人々が予測不可能な天候パターンに振り回されており、私たちが気候変動に適用するためには即座に予測が可能な天気予報が必須ツールだと研究者は考えているとのこと。短時間で予測が可能になることで危機管理が可能になり、資源や人命の損失を防ぐことが可能となるためです。

既存の天気予測技術には、雲の動きを読み取る「オプティカルフロー」と、詳細な物理学ベースの天候システムのシミュレーションを作り出す「シミュレーション予測」というものがあります。しかし、この2つ、特にシミュレーション予測は計算上の負荷が大きくなるという問題を抱えています。たとえばアメリカ政府による天気予測では毎日気象観測所から送られてくる100テラバイトのデータを処理していますが、予測を行うためにはスーパーコンピューターを数時間稼働しなければなりません。このため、1日の中で予測を行える回数が限られ、その結果、古い予測データが公開されてしまうことになります。

一方で既存技術の1つであるドップラー・レーダーはリアルタイムで降水量を予測しますが、その精度は完璧とはいえません。以下の画像は、上が衛星によって示された雲の位置、下がドップラー・レーダーで測定された雨の位置を示しますが、2つにはずれがあることがわかります。

Googleの研究者はアメリカ海洋大気庁(NOAA)による2017年から2019年のレーダーのデータを集めてAIモデルの訓練を行ったとのこと。研究者が新しい手法と従来の2つの手法でパフォーマンスを比較したところ、新しい手法は従来の手法と同程度か、それ以上の予測を行ったそうです。特に、6時間後以降の天気予報についてAIモデルは優れた結果を出したと示されています。

なお、この論文は記事作成時点で査読が行われておらず、商用システムにも組み込まれていませんが、将来的な可能性は「非常に有望」とされています。