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アップル、iPhoneロック解除めぐりトランプ大統領と対立

たとえ大統領でもあなたのiPhoneのロックは解除できない

アップルはプライバシーをブランド価値にしようとしています。アップル自身は、個人の情報が守られることを『人々が有する当然の権利であり、繰り返し常に確認されるべきこと』としています。

プライバシー重視の姿勢はスティーブ・ジョブズ時代から貫かれている基本的な考え方ですが、これをあえて声高に言うようになった背景には、Facebookを通じてCambridge Analyticaがユーザー情報を流用し、選挙キャンペーンに活用したスキャンダルが明るみに出たこともきっかけでした。

アップルのプライバシー担当者はほぼ毎年日本を訪れており、アップルの考え方をメディアに対して説明しています。その中で、アップルはユーザーデータを活用したビジネスをしないため、「GAFAとして一緒にしないでほしい」という印象的なフレーズを述べていました。

アップルがそう言っている理由とその対策、そして米国政府や捜査当局との軋轢について考えていきましょう。

●個人のデータはなぜ吸い取られているのか?

オンラインサービスやアプリの多くはログインします。ログインすることでサービスのサーバにアカウントが作られ、そこにデータを蓄積していく箱ができあがります。

これによって、どんな端末からログインしても自分のデータにアクセス出来るし、手元で頻繁にバックアップを取る必要もありません。これが現在のモダンな、そしてモバイルを前提としたコンピューティングの世界です。

サービス側は、使い始める際に基本的には無料にして使い始めるためのハードルを極力下げ、広告を販売して収入を増やそうとしてきました。フリーミアムモデルです。

もっと機能を制限なく使いたい、よりたくさんのデータを蓄積したいという場合、有料プランのオプションを用意します。しかしそう簡単に有料プランへ移行してくれるわけでもありません。Googleには個人向けにも企業向けにも有料プランがあります、FacebookやInstagramなどは、Twitterは有料プランすら用意していません。

つまり広告を販売していくことで運営費を賄おうとしています。その広告価値をどのように高めるのか?が問題になります。

例えば、高校生にマンション販売の広告を出したり、女性に男性用下着の広告を出すと、誰もが「的外れ」だと思うはずです。ユーザーの頭にははてなが飛ぶし、それで広告費を費やされたら広告主だって怒ってしまいます。勝ってくれそうにない人のために広告費を払いたくないからです。

そこで、ユーザーの個人情報や行動の情報、それらがにじみ出る投稿の情報を参照して、その人に合った広告とマッチングさせます。これが、現在のオンライン広告の非常にかいつまんだ説明となります。

より多くのユーザーの情報を集めれば、その精度は高まっていきます。どんな情報を検索したのか、どんな製品のページを見たのか、誰とどこに遊びに行ったのか……。無料で広告が表示されるSNSを見ている時だけでなく、ニュース記事を開いたときにも、こうした情報が収集されていることに、アップルはGAFAのなかでほぼ唯一、警鐘を鳴らす存在となっています。GoogleもFacebookも、そうは言えないのです。

●エッジ・コンピューティングとプライバシー

アップルの基本的な方針は、ユーザーの情報を極力収集しない、端末から外に出さない、というものです。そのため、iPhoneを使っているとしょっちゅう許可を求められます。

カメラを起動するとき、写真のアルバムへのアクセス、連絡先のアクセス、そして位置情報の利用……。特に位置情報はiOS 13でうるさくなりました。「このアプリが何回、あなたの位置情報を参照した。このまま許可しておいていい?」とユーザーに言いつけてきます。それだけ、ユーザーが知らないところで情報が使われていることを、知ってもらおうとしています。

またアップルは、Safari、マップ、カレンダーなどを使う場合、ログインしなくてもSiriを通じて端末内から情報を発見したり、アプリ同士で情報を連携させる利便性を実現しています。写真アプリも、夜充電している間に、自動的に写真を端末内で解析し、被写体を言葉で検索できるように準備しています。

そのために、アップルはiPhone Xから、ニューラルエンジンと呼ばれる機械学習処理のためのプロセッサを搭載し、端末内で機械学習処理、AI学習の恩恵に授かれるようハードウェア開発をしています。ちなみにこの流れは、グーグルもPixelで追随するようになりました。

こうして、クラウドに頼らず、iPhoneの中で情報を賢く活用できる仕組みを実現しつつあります。これをエッジ・コンピューティングと呼んでも良いでしょう。iPhoneのロックを解除できる利用者本人のみが、それらの情報にアクセスできる原則を実現しているのです。

●ロック解除の協力を

一般の人からすれば、クラウドにデータを座れず、モダンなコンピューティングを実現できるアップルの取り組みは評価できるかもしれません。しかしそのロック解除の意味を大きくしていることが、捜査関係者にとっては煙たい存在となっています。

2019年12月、フロリダ州の海軍基地で起きた銃撃事件について、その容疑者が持っていた2台のiPhoneがロックされた状態で、捜査当局が中身を見られない状況が発生しました。そこで、米国のウイリアム・バー司法長官は、アップルにロック解除の協力を求めています。

iPhoneのロック解除はご存じの通り、ユーザーの生体認証(顔もしくは指紋)を用いるか、ユーザーが設定したパスコードを入力しなければなりません。設定によっては、6桁の数字ではなく、普通のパスワードのようなアルファベットや数字、記号の組み合わせに変更することもできます。無闇に間違えると、一定時間iPhoneが操作を受け付けなくなりますし、10回間違えるとiPhone自体のデータを削除することもできます。

つまり、6桁の数字のパスコードであっても、総当たりで解除する方法は現実的ではありません。そこで捜査当局は、パスコードロックを回避する「バックドア」を用意するよう求めています。しかしアップルはこれを拒否しています。

アップルがiPhoneのバックドアを拒否したのはこれが初めてではありません。2015年12月に発生したサンバーナーディーノ銃乱射事件でも、FBIが犯人のiPhone 5cのロック解除を要求し、アップルがこれを拒否。別の方法でFBIがロック解除に成功したとの報道も出ました。

アップルのこの姿勢には、GoogleやFacebook、Snap(Snapchat運営会社)なども支持を表明しており、物理的なプライバシー保護は、テロ事件の捜査よりも重要であるとの考えへの理解が拡がりました。