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「バイオ業界のクラウド」、米Culture Biosciencesが15億円調達

米サンフランシスコに本拠を置くバイオテクノロジーベンチャー、カルチャー・バイオサイエンシズ(Culture Biosciences)が、シリーズAの資金調達ラウンドで1500万ドル(約15億円)を集めた。同社はインターネットに接続したバイオリアクター(生物反応器)を用い、物質の分解や合成などの実験の代行サービスを手がける。新たに得た資金により、バイオリアクター能力を3倍に増やす計画だ。

カルチャー社は高価なバイオリアクターを多数そろえ、そのラボをオンラインポータルを通じて顧客に貸し出している。いわば、「バイオ業界版アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」のようなサービスだ。これによって同社は、バイオ製造に伴う煩雑さを軽減し、顧客が高額な設備投資をせず、より早く製品化を実現できるようにすることを目指している。

バイオリアクターは細胞の培養に使われ、その細胞からはほぼ何でもつくり出すことができる。合成生物学における最近のブレークスルーにより、研究者は生きた細胞をかつてないほど正確にプログラミングできるようになっているからだ。

カルチャー社の共同創業者で最高経営責任者(CEO)のウィル・パトリックは「私たちが今日直面している課題の多くは、合成生物学と(細胞などを材料として複雑な生物学的生成物を作り出す)バイオファブリケーションが答えを握っている」とみている。ただ、ラボ規模の発見をしても、それをより大規模な、商業的に実現可能な製品にするのに苦労する企業を数多く目にしてきたという。

同社はすでに、遺伝子組み換え微生物を生産する米ザイマージェン(Zymergen)、酵母から卵白を作る米クララ・フーズ(Clala Foods)といった注目企業にもサービスを提供している。顧客にはこのほか、新薬候補を開発する米ネクター・セラピューティクス(Nektar Therapeutics)、微生物を活用してパーム油の代替品を作る米C16バイオサイエンシズ(C16 Biosciences)、マイクロバイオーム(細菌叢)のエンジニアリングを手がける米ブースト・バイオームズ(Boost Biomes)なども名を連ねる。

スケールアップのボトルネックを解消
カルチャー社のビジネスモデルは信頼に基づくものである。同社は事業拡大に伴い、所有するバイオリアクターの数(近く300台を超えそうだという)を顧客の需要に応えられるようにしなくてはならない。必要に応じて迅速に容量を変えられる、信頼性の高い「クラウド型ラボサービス」を提供することにより、同社は顧客が長期的には経費を大幅に抑えられるようにしたいと望んでいる。

「私たちの使命は、バイオプロセスの研究者がワークフロー全体を当社のアプリで管理できる、エンド・トゥー・エンド(端と端を結ぶ)プラットフォームを構築することです」とパトリックは説明する。研究者との話から、スケールアップに際しては「(実験室などでの小規模な)ベンチスケールのバイオリアクターラボが主なボトルネックになっている」ことが分かったという。その問題を解消するのが同社のサービスだというわけだ。

パトリックによると、現在の顧客基盤は大まかに言えばバイオ医薬が6割、バイオテクノロジーを工業に応用する工業バイオテクノロジーが4割だという。ただ、いずれその比率は逆転すると予想する。「工業バイオテクノロジーは巨大な分野で、非常に大きなチャンスがあります」

科学者やエンジニア、イノベーターが、より少ない労力でより多くのことができるようにするプラットフォームは、すでにホットな分野となっている合成生物学をさらに活気づけることになりそうだ。筆者もカルチャー社のようなディスラプター(創造的破壊者)の存在から、生物学分野の革命はさらに続くという希望を新たにしている。

なお、カルチャー社による今回の資金調達には、カルティビアン・サンドボックス・ベンチャーズ、ザ・プロダクション・ボードなどが応じた。筆者もDCVCのオペレーティングパートナーとして同社に出資している。