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技術と社会の「分断」を越える。スウェーデンのRISEという挑戦

「技術や開発のシーズはあるのに、イノベーションにつながらない」「社会にインパクトをもたらす新事業を創出できない」……そんな壁にぶつかっている日本の企業や組織は少なくないはず。

こうした壁に対して、世界ではどのような挑戦がなされているだろうか。たとえば、テクノロジーによる社会課題の解決、SDGsの達成度などが高く評価される北欧最大の国、スウェーデンでは?

この連載では、”未来のくらしを共創するテック・リーダーを育む”を目的に発足した産業技術総合研究所の人材育成事業「産総研デザインスクール」と、企業やブランドの未来のための変革を支援する専門組織「博報堂ブランド・イノベーションデザイン」とが合同で行った訪問調査をもとに、スウェーデンのイノベーション・シーンをレポートする。

どんなときでも「ニーズドリブン」

今回紹介するのは、1997年にスウェーデン政府により設立された大型研究機関、「RISE(ライズ)」だ。本部はストックホルム郊外に位置するKista Science city内にあり、従業員は約2700人。技術開発や産業研究、認証登録を行う複数機関のネットワークにより構成されており、社会課題の解決を目指す人材に適切な研究環境を提供している。

RISEは国内外に100以上のテストベッドを保有するほか、スウェーデン全体の60%のデモ環境を所有。最先端事例を検証し、また普及させる仕組みが整っており、迅速なイノベーションの促進を図っている。

主な事業は、スタッフをイノベーションのアドバイザーとして派遣するイノベーション・パートナーシップ、具体的なアクションプランの構想を練るテクニカル・イノベーション・システム、さまざまな改革プロセスを援助するためのプログラムを提供するイノベーション・サポートサービスだ。

「RISEは、Competitiveness(競争力を持つこと)、sustainability(持続可能な開発をすること)、needs-driven(社会のニーズを的確に察知すること)という3つのスローガンを掲げています」と語るのは、話を伺ったピェーテル・ユングストランド(Peter Ljungstrand)氏だ。

ユングストランド氏は、3つのスローガンの中でも特にneeds-drivenの重要性を指摘し、「何らかの要因で社会的変化が生じた場合でも、あくまでも市民のニーズに応じて柔軟に対応できる組織であることが重要なのです」と続ける。

政府肝入りの一大組織が、単に先端技術を生み育てていくだけではなく、その技術を確実に社会実装させる未来をゴールとしており、変化に対応できる柔軟性を何より重視している。まさにスウェーデンという国のイノベーション実践力が評価される大きな理由の一つであるように感じられた。

エンジニア視点に偏らない工夫を

そんなRISEのなかに、RISE ICTという部門に属するサブユニット、RISE interactiveがある。

メディアとインタラクションを専門とする研究所で、エンジニアリング、政治経済、芸術文化、デザイン、心理学など複数にわたる専門分野のバックグラウンドを持ち、”多角的な思考ができる”スタッフ20名が、ゲームやアート、エンターテインメントといった側面から、人と技術の関係性や、産業のあり方、倫理や権力問題など、デジタル化が生み出すさまざまな課題に取り組んでいる。

こうした体制を敷く背景にあるのは、ICT技術を考えるうえでは、エンジニア視点だけでなくデザイナー視点が不可欠で、明確な正解の存在しない課題に対して、多角的に、試行、スケッチ、戦略的アプローチが必要とする考え方だ。

実際にRISE interactiveから生まれた事例として、前述のユングストランド氏と友人の認知心理学者が開発した「インターネット精神療法」や、ユーザーの一日の運動量によって表情や態度が変わる犬型ロボットの開発などがある。