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マイクロソフトの最先端技術が「コロナ後の世界」を一変させそうなワケ

世界を一変させる〝コロナ後″のテクノロジー

英「ザ・エコノミスト」誌が選んだ「危機に強い大企業」(2020年3月)に、米マイクロソフトが10位にランクインした。

日本経済新聞(3月31日朝刊)に掲載された同誌のレポートは新型コロナウイルスによって危機に瀕する世界経済でなおも力強く成長を続ける企業が紹介され、興味深い内容だった。

深刻な不況をもたらしかねない新型コロナウイルス騒動は、一方でテレワークなどの新しい働き方やライフスタイルを実現させるチャンスになるという指摘がなされている。

こうした「コロナ後の世界」を実現に導くのは人間の意思に他ならないが、筆者はこのほどその原動力となるテクノロジーについて一つの確信を持つに至った。

それはマイクロソフトが力を入れている「アンビエントコンピューティング」である。

筆者は今年1月に開かれたCES2020に参加し、これまで昨今の最先端技術の動向について分析してきた。直近の寄稿(『もはやGAFAすら「安泰」ではなくなってきた、その意外すぎるワケ』)でも述べてきたように今回のCESでは新たな潮流を変える技術革新についてはお目にかかることはできなかったが、実は「次の世界」のテクノロジーの潮流について、ひとつのヒントを発見した。

このCESのカンファレンスなどで頻繁に語られていた概念にそれは色濃く表れていたのである。それこそが「アビエントコンピューティング」である。

これは一言でいえば、意識することなくコンピューターを操作していることを指している。追って詳しく説明するが、CES2020でアビエントコンピューティングという概念を聞いて筆者が思い出したのが、昨年の春に発表されたマイクロソフトの最先端テクノロジーだった。

筆者はこのマイクロソフトのテクノロジーこそが、このコロナ騒動を経て、世界に大きな影響を与える力を秘めていると考えている。おそらく昨今のスマホのようなデバイスを一変させ、産業構造の変革に誘う大きな威力を持っているかもしれないのだ。

今回はそんなマイクロソフトの技術を紹介し、アビエントコンピューティングが浸透した世界を占ってみよう。

マイクロソフト「最先端技術」の衝撃

冒頭から少し仰々しく説明してみたが、そのマイクロソフトの技術とはたいして珍しいものではない。よく知られるバーチャルリアリティである。

しかし、その進化には筆者は驚きを隠せなかった。

いまから約10か月前の2019年5月29日、都内のホテルで開かれたマイクロソフトのカンファレンス「Build 2019」に一人の天才が登壇した。

アレックス・キップマン――。79年にブラジルで生まれた彼は、01年にマイクロソフトに入社。100以上の特許の主要開発者であり、11年に米「TIME」誌で「世界の100人」に選ばれる実績を残している。

さらに同社の「Hall of Legends(伝説の殿堂)」の一人に名を連ねるまさに最高峰のエンジニアであり、マイクロソフトが近年、開発に力を注いだ「HoloLens(ホロレンズ)」の生みの親だ。

この日、アレックスは19年2月に発売された「ホロレンズ2」について説明したが、そのデモンストレーションは圧巻だった。

ホロレンズとは、あなたをバーチャルリアリティの世界に誘うゴーグルのことである。ホロレンズ2には10本の指を認識する機能「ハンドトラッキング」が搭載されており、画面に現れるありとあらゆるアプリを指で操作することができる。

アレックスはカンファレンス会場に用意された画面に自身のアバター(化身)と、もう一人のアバターを登場させ、互いに向かい合わせた。

そしてその2人のアバターに会話をさせ始めたのである。

知られざる「ミックスドリアリティ」の世界

アレックスが英語でなにやら語り始めると、その英語は即座に音声処理がほどかされ日本語に翻訳される。

すると画面に映し出されたアレックスのアバターがなんと流暢な日本語で語り始めたのである。そうして向かい合った二人のアバターはアレックスの口から放たれる英語を翻訳し、互いに日本語で会話を始めたのである。

まさにこれはホロレンズ2を使って、遠方にいる職場の同僚たちとの会議を実現するものだった。しかもそれは世界中の多言語を話す仲間たちとの会話を可能にするものである。

まさにコロナウィルス騒動の中で叫ばれる「テレワーク」や「テレプレゼンス」にうってつけの技術だったのだ。

またこの画面にピアノを映し出して、ハンドトラッキングすれば、その場でバーチャルのピアノさえ奏でることができる。こうしたデモはYouTubeでも公開されている(参照:https://www.youtube.com/watch?v=uIHPPtPBgHk&feature=youtu.be)ので、ぜひ、確認してみてほしい。その世界観に圧倒されることは間違いない。

またホロレンズ2はマイクロソフトのホームページで参照することができる(https://www.microsoft.com/ja-jp/hololens)。これを使えば、工場の製造現場での製造工程を補佐したり、医療現場でも外科手術を補佐して、実際の工程を画面で確認したり、患部の映像を大画面に映し出したりすることができる。

現在はビジネスの世界にすでに浸透し始めているが、早晩、一般社会に進出してくることになるだろう。

ではこのホロレンズが社会実装されたら、どのような世界が現れるのか。ちょっと想像してみよう。

映画「マイノリティ・レポート」の世界

筆者はここまでこのホロレンズの技術をバーチャルリアリティとして紹介してきたが、マイクロソフトはこれを「ミックスドリアリティ(複合現実)」と呼んでいる。

つまりバーチャルの世界と現実世界をミックスした世界が「ミックスドリアリティ」だ。

このバーチャルの世界とリアル世界が融合すると3次元の空間で人々が活動することになる。あらゆるデータが目の前に現れ、AIがそのデータを駆使して可能性を予測する。それが画像化され近未来を映し出す世界観は、映画「マイノリティ・レポート」(米・02年)で描かれた世界が現実になるということだ。

スマホのデバイスは一変し、ゴーグルがデバイスの主流となるだろう。人々はこれまでスマホによって片手を制限されてきたが、これからは両手が自由になる。作業をしながらデバイスを利用することが可能となるのである。

すでに見てきたように、作業をしながら様々な情報に触れることができるホロレンズは製造業や医療現場で浸透し始めているが、それは冒頭で紹介したように、デバイスを身につけていることすら感じさせないアンビエントコンピューティングの世界が実現していることを意味している。

また一般社会に浸透すれば、たとえば漢字の書き取りをしながら、ホロレンズ上に現れる辞書を使って感じの検索が可能になる。ホロレンズで資料を参照しながら、ブラインドタッチで文章を書く人も現れるだろう。

街で遭遇するあらゆる物体の情報はゴーグルの画面上で検索が可能となり、やがてそれは道を歩く際のナビ機能や、交通事故につながるリスク情報が常時、その人の画面上に届けられることになるだろう。

さらにIoTによってあらゆるものと繋がることで、冷蔵庫の中身や洗濯機の状況や、お風呂の湯加減までホロレンズを介して情報が届けられ、会社に居ながらにして自宅の家電を操作できるようになるだろう。冷蔵庫の中身を補充するのは、スーパーに行かなくても可能。アマゾンに即座に注文できるというわけだ。

存在が「テレポーテーション」してしまう…!?

コロナ禍に見舞われている今の社会において何より重要なのは、先述した通りに「テレプレゼンス」が可能になるということである。これは人々の働き方を劇的に変えることになるだろう。

マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは「テレプレゼンスとは遠隔地に存在を転送する技術である」と語っているが、つまりはテレポーテーションが可能となるということだ。

自宅に居ながら会議に参加し、自宅に居ながら対面したときと同様に濃密な打ち合わせが可能。しかも言葉はあらゆる言語に変換可能だから、東京の自宅に居ながらにして、中国、アメリカ、ブラジル、アフリカのパートナーのもとへテレポーテーションし、会議やパーティに出席することができる。

世界との距離は限りなく近くなり、グローバリゼーションが一気に進むことになる。

アンビエントコンピューティングは、なにも最近になって表れた用語ではなく、コンピューターの世界では古くから使われてきた言葉である。それがCES2020で語られた背景には、5Gが目前に迫っていることがある。

4Gと比べ約100倍の速度で、大容量の通信が可能となる5Gが実現することは、自動運転やIoTによってあらゆるものにつながるコネクティッドフリーの世界が現実になることである。

そしてもう一つ。CES2020で語られたキーワードに「Holistic(ホリスティック)」があったことをお伝えしておこう。

人類はテクノロジーに負ける…のか?

ホリスティックとは、直訳すれば「全体論の」などという形容詞だが、その概念には自然との調和、バランスなどが含まれ健康にもつながる意味を持つ言葉だ。

これがテクノロジーにおいては「統合」という意味合いで使われ、ミックスドリアリティのようにバーチャルとリアルの相反するもの同士を統合するという意味もある。

とりわけCES2020でキーワード化されたホリスティックは、テクノロジーがライフスタイルと融合した際にどのようにバランスを取り統合されるのかという課題を含意していた。

というのはバーチャルリアリティやミックスドリアリティは、少なからず否定的に捉える人がいるからだ。つまり便利になりすぎて、人間にストレスを与え、その能力を削いでしまうという考え方である。