3密と同時に、「ソーシャル・ディスタンス」の概念も普及している(pixabay)
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、欧米で浸透していた「ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)」の概念が日本でも広まりつつあるが、オランダとベルギーの大学の共同チームは8日、「ウォーキングやジョギングなど運動時には不十分な距離だ」とする研究結果を発表した。
今月7日の緊急事態宣言によって、首都圏や大阪、福岡などの7都府県では、不要普及の外出を自粛するよう要請されている。
テレビ番組でも出演者同士が一定距離を取ったり、テレビ電話で別室から中継するなど、人と人との間を1.8〜2メートル程度あけるソーシャル・ディスタンスの認知が広まってきた。
概念は「3密」と同じ
2人でジョギングするときは、前後に並ぶのは避けて(KU Leuven +TU Eindhoven)
しかし、ベルギーのルーヴァン・カトリック大学とオランダのアイントホーフェン工科大学の共同チームは8日、ジョギングや自転車など走っている人の後ろにいる場合は、十分な距離を取らないと空気の流れによって、ウイルス飛沫を浴びる可能性があると指摘している。
バート・ブロッケン教授は、ふたりの人物が向かい合ったり、隣り合ったりするなど、さまざまな位置関係を想定して、ウォーキングやジョギングなどさまざまな運動をした場合、感染者の気道から空気中に放出されたウイルス粒子がどのように動くかをシミュレーションした。
前後に並んで走るリスク
時速4キロでウォーキングした場合のウイルス飛沫の動き(KU Leuven +TU Eindhoven)
その結果、2人が隣り合っている場合は、気流の影響を受けにくいが、前後に走っている場合、前の人から飛沫感染する可能性が高くなることが判明。
安全とされる距離を保つためには、ウォーキングの場合は4〜5メートル、ランニングや自転車でゆっくり走る場合は10メートル、自転車で速く走る場合は最低でも20メートル離れる必要があると言う。また、自転車で前の人を追い越す場合は、20メートル以上離れた別の車線を利用したほうがいいと言う。
外出自粛中は運動不足になって、高齢者は筋力低下や認知機能の衰えが懸念されることから、散歩やウォーキングなどの運動が推奨されている。
ブロッケン教授は「走っている人の背後では、飛行機のプロペラの後ろに発生するスリップストリームと呼ばれる空気の流れができます。このらせん状の気流によって、ウイルスの微小粒子が背後まで運ばれる可能性が高くなります」と指摘して、「私は当面は1人でジョギングを続けます」と話している。
2020-04-10 01:25:14