2月18日から21日までの4日間、幕張メッセにてHCJ2020が開催された。HCJ企画展示である「サービス業向け次世代技術EXPO」「キャッシュレスTech」では、少子高齢化による人手不足、コストダウンによる人員削減など多方面に課題を抱えるホテル業界向けに、多くの省力化ソリューションが展示されていた。
NSJブースでは、チェックインからアミューズメントまでセルフで行なえるソリューションを紹介。キオスク端末は多言語に対応し、パスポートチェックやクレジットカードによる支払いまで宿泊客がセルフで手続きできるのが特徴。
AirHostブースでは、リモートロックと組み合わせたセルフチェックイン、チェックアウトソリューションを展示。チェックインをするとスマートロックの解除キーがメールで送られ、チェックアウトまでコードが有効になる仕組み。
スキャナーやキオスク端末を製造販売しているPFUでも小規模事業者向けに、パスポートのスキャンとOCRを行なえるスキャナー「fi-800R」と「fi-65F」を展示していた。「fi-800R」は、パスポートの厚みに対応して、高速でスキャン。パスポートに含まれるMRZ(Machine Readable Zone:機械読取領域)をOCRし、旅券番号や氏名、国籍など情報をメタデータとして抽出しインデックス情報として出力できる。
「fi-65F」は平面型スキャナーで、増刷したパスポートなどにも対応。標準ではMRZのOCRには対応しないが、導入に際して個別相談を受け付けるという。これらのスキャナーは、小規模宿泊施設のフロント業務への導入を想定しているほか、自動チェックイン装置の構成部品としても訴求してゆきたいということだ。
ロボティクスコーナーでは、ユニークなものから実用性の高いものまで、多くのロボットが紹介されていた。
オチュアは、自走式サイネージにオペレーターの姿を映し出した接客ロボットを展示。複数拠点の接客を遠隔地から行なえるというものだ。
アスラテックが展示していた香港Rice Robotics社が開発したデリバリーロボット「RICE(ライス)」は、香港のホテルで試験的に導入されている。ルームサービスで頼んだ飲料などのお届けものを客室までデリバリーするというものだ。奇しくも、コロナウイルスで人と人との接触を避けなければならない現在の状況において活躍が期待されているという。
かつてロボットの出展はスタートアップが多かったが、今回は大手企業の出展も目についた。富士通は、接客と調理を行なう異なるタイプのロボットを紹介していた。
接客ロボットの「ロボピン」は、背面ディスプレーとスピーカーで来場者とコミュニケーション。ロボット自身はLEDランプとジェスチャーで対話体験を提供するというものだ。
調理ロボットは、ロボットアームを駆使してコーヒーを淹れたり、レンジを使った調理を行なう。ロボットアームに取り付けられたタブレットの画面に表情が投影され、調理ロボットもコミュニケーションに参加するのがユニークだ。
ベンチャーやスタートアップでは、精度やスピードなどテクノロジー面に偏った提案になることが多いが、テクノロジーのプレゼンテーションとは直接関係ないユーザー体験やコミュニケーションを含めた総合パッテージとして提案してきたのが斬新だ。
もうひとつの大手、ソフトバンクロボティクスも、オフィス用床掃除ロボットを紹介。人手で掃除する場合と比較して、ダストを舞い上がらせたり掃除ムラを減少させることが可能。実際に試験導入も始まっているという。近い将来、オフィスビルで終業後このようなロボットが掃除をする風景が見られるかもしれない。
2020-04-16 20:03:33