iPhone SEの2020年モデルが発表されました。外観はiPhone 8相当、チップセットを強化するなどして機能を高めつつ4万円台からの衝撃的な価格で日本では大きな人気となりそうです。エントリーモデルでもトリプルカメラや大型ディスプレイが当たり前という中国メーカーのAndroidスマートフォンと比べると、スペックに物足りなさを感じる消費者も多いかもしれません。しかしアップルはこのiPhone SE新モデルでiPhoneユーザー層の拡大を狙っているのでしょう。
中国の各スマートフォンメーカーは2020年に入ってからも新製品を次々と投入しています。特に中国国内向けの5Gスマートフォンは低価格モデルが相次いで出ており、ファーウェイの「Honor 30」は2399元(約3万6000円)から、OPPOの「Reno 元気版(Youth)」は2999元(約4万6000円)から、Vivoの「S6」とZTEの「AXON 11」は2698元(約4万1000円)からといずれも3000元を切っています。さらにはシャオミの「RedMi K30 5G」が1999元(約3万円)からと、日本円で5万円以下の製品でも5G対応モデルが次々と出ています。
iPhone SEの中国価格は最低モデルが3299元(約5万円)で、各社の5G低価格モデルより若干高いもののほぼ肩を並べるレベルに抑えて登場します。それまでの最低価格はiPhone XRの4799元(約7万3000円)でしたから、より手軽にiPhoneを買えるようになったわけです。
アップルの販売戦略は、新製品が出ると旧モデルを値引きして低価格モデルとして販売してきました。iPhoneの性能が比較的高かった数年前ならばそのやり方でも十分消費者の満足度を高めることができましたが、前述したように今や5Gスマートフォンが3万円台から買える時代になっています。中国メーカーがスマートフォンの機能で先を進む中、iPhoneの旧モデルの魅力は以前よりも落ちてしまっています。
iPhone SEのスペックは4.7インチディスプレイ、上下に幅のあるベゼル、顔認証は無く指紋認証のみ、カメラ画素数は1200万でフロントカメラも700万画素と、数値だけを見ると目新しさは感じられません。とはいえスマートフォンをSNS中心に日々のコミュニケーションツールとして使うなら必要最低限のスペックは満たしているでしょう。
なによりもiPhone 11シリーズと同じ最新のA13 Bionicチップを搭載したことでレスポンスは高速化されています。すなわちコスパを重視した最新モデルであり、最高のスペックは求めないけれども快適に使える最新のiPhoneを欲しいと考える層をターゲットにしているわけです。そのメインターゲット層はiPhone 6やiPhone 7など古いモデルを使っているユーザーと言えるでしょう。
2020-04-17 18:17:02