iPad ProにMagic Keyboardが搭載されました。#iPadOnly な仕事環境を追求してきた筆者にとって、ある意味でiPad Proにおける仕事環境構築のひとつの集大成とも言えるこのアクセサリの登場には感慨深いものがあります。
これまでキーボードとタッチスクリーンで仕事をしてきたため、残念ながらトラックパッドにはなかなか指が伸びませんが、iPad Proと最良のキーボードがドッキングしたことは、持ち運べるパッケージとして完成形だと思ったのです。
ただし、欲はいくらでもあります。キーボードはMagic Keyboardよりも幾分安いPFUのHHKBのほうが上質感があります。言ってみればMagic Keyboardは標準キーボードですから。そして12.9インチモデルでの組み合わせで1.35kgになってしまう重量とデスク以外での自立性の低さから、Smart Keyboard Folioとの併用になると踏んでいます。
たしかにMacBook Airよりも重たくなるiPad ProとMagic Keyboardですが、その実力はオールマイティです。
Adobe Lightroomでの写真編集、Adobe Premiere RushやLumaFusionでの快適なビデオ編集から、Apple Pencilでの手描き描画やサイン、そして快適で愛用し続けているMarkdownエディタ&文書管理ツールのUlyssesを全てこなすハイパフォーマンスデバイスは、個人的にはMacよりも自分に合っていると思います。
●「iPadとMacの融合はない」
iPadとMacの融合はない。アップルの首脳はたびたび、このことを確認してきました。ジョブズの時代から、「こうした強い否定は後の肯定になる」というアップルにありがちな法則もちらつく一方、その言葉はこれまで守られてきた印象です。
Macとの融合がない、という前提の中でも、アップルで共通する様々なテクノロジーはお互いを行き来しています。こうしてiPadは、タッチスクリーンを持つ次世代のコンピュータとして進化を続け、iPadOSによって外部メモリ対応やマウス対応を獲得し、ついにMacと同じキーボードがアクセサリとして登場しました。
次はMacの番、ということで2021年に実現するとみられているのが、iPhone、iPadと同じAシリーズチップのMacへの搭載です。
Bloombergなどが報じたところによると、iPhone、iPadよりもさらに高速なチップが3種類用意され、中には12コアのチップもあるそうです。そして2021年に少なくとも1機種のMacが登場する、と伝えています。
「iPadとMacの融合はない」という言葉を信じるなら、Aシリーズ搭載のMacはタッチパネルに対応せず、これまでと同じMacアプリが動作することになります。
一方、現在iPadで実現しているTrueDepthカメラによるセキュリティや、ARへの対応、セルラー通信といったMacで実現していない部分への対応がどうなるのか、期待を寄せてしまいます。
●iPhone/iPadより速いパフォーマンス
現在最新のA13 Bionicチップは、第2世代の7nmプロセス。世界初の7nmプロセスのチップは、1つ前のA12 Bionicでした。インテルの最新チップは10nmプロセスにとどまっており、集積度の点ではTSMCが製造するAシリーズの方が数歩リードしています。
技術力とともに、毎年2億台というオーダーで作られ続けているAシリーズチップの優位性を垣間見ることができます。実際、iPhone SEに搭載されるシングルコアのスコアは、MacBook Airに搭載される低電圧のクアッドコアIntel Core i5を上回り、チップ全体としても同じパフォーマンスを実現しています。
しかしながら、Bloombergの記事は、Aシリーズのチップが「Intelチップの性能に及ばない」点を指摘していました。そのため、AシリーズのMacが導入されても、MacBook ProやMac Proといった上位モデルは引き続きIntelチップが採用されるというのです。
確かに、iMac Proは18コア、Mac Proは28コアのIntel Xeonチップが搭載されるわけで、これに比べると現状6コア、来年のハイパフォーマンスモデルで12コアというAシリーズは見劣りします。
注目は、どの程度のパフォーマンスまでなら、Aシリーズチップがカバーできるのか、です。
2020-04-27 19:37:10