アップルは複数のミニLEDやミクロLED搭載製品を準備中とみられていますが、それを裏付ける新たな噂が報じられています。台湾の業界メディア経済日報によると、アップルは台湾の新竹サイエンスパーク(新竹化学工業園区/台湾のシリコンバレーと呼ばれる地域)に約100億台湾ドル(約360億円)を投資する予定とのことです。さらに台湾を拠点とするサプライヤーのEpistarおよびAU Optronicsと協力して新工場を建設し、ミニLEDとミクロLEDディスプレイを製造すると伝えられています。
ミニLEDとミクロLEDはどちらも新世代のディスプレイ技術ですが、名前は似ていても異なるものです。
まずミニLEDとは、液晶ディスプレイ直下に置くバックライトに用いられる技術のこと。細かく分割されたバックライトとローカルディミング(部分駆動技術)を組み合わせて「エリアごとにバックライトの消灯」を可能とし、それにより有機ELパネルなみの純度の高い黒を表現しながら省電力も期待できます。
それに対してミクロLEDは画素を構成するRGB1つ1つを極小のLEDとして、それぞれが有機ELのように自発光する技術です。彩度は有機ELに近くて消費電力は液晶の10分の1程度とされ、高リフレッシュレートや広視野角も実現するもの。良いことずくめのようですが莫大な数のミクロLEDを画面に敷き詰める必要があるため(4Kテレビの場合は約2500万個)記事執筆時点では高コストが見込まれています。
今年3月、有名アナリストMing-Chi Kuo氏はアップルが少なくとも2021年までに6つのミニLED製品をリリースする予定だと述べていました。その中には14インチおよび16インチMacBook Pro、新型のiMac Proや12.9インチiPad Pro、10.2インチの(エントリーモデルの)iPadおよび7.9インチのiPad miniといった、興味がそそられる数々の未発表製品が含まれています。
Kuo氏は既存のディスプレイをミニLEDバックライト型に置き換えるメリットとして、薄くて軽い製品デザインになることを挙げていました。それらは14インチMacBook ProやiPadといったモバイル製品の使いやすさに多大な貢献をもたらすとも思われます。
かたやミクロLEDに関しては、上記のように大画面では高コストが予想されるため、まず小画面(のためLED総数が少なくて済む)の次期Apple Watchに採用されると推測されています。
工場に投資というと一般消費者には縁遠いようにも思えますが、アップルがジャパンディスプレイへの出資額を倍増したことも、将来のiPhone生産に深く関わるとみられています。噂のミニLED採用14インチMacBook Proが、また実現に一歩近づいたと夢見たいところです。
2020-05-12 01:42:03