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抗マラリア薬の危険性指摘した論文撤回 新型コロナ治療

抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の錠剤を持つ薬剤技師。米ユタ州プロボで(2020年5月20日撮影)。

【AFP=時事】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に抗マラリア薬を使用することに安全性の懸念があるとした論文の著者4人のうち3人が4日、論文を撤回した。論文は先月、英医学誌ランセットに掲載された。

研究は約9万6000人の患者の記録を対称群と比較したもので、抗マラリア薬の「ヒドロキシクロロキン」と「クロロキン」は新型コロナウイルスに効果がないばかりか、死亡するリスクを高め、特に不整脈を引き起こす可能性があると指摘した。

世界保健機関は、この論文を受けて臨床試験でのヒドロキシクロロキンとクロロキンの使用を一時中断した。しかし、データを提供した国と病院に関する情報がないことについて科学者らから疑義が寄せられ、多くの著名な研究者らが公開質問状でこの論文の信頼性について懸念を表明していた。

研究を主導した米ハーバード大学医学部のマンディープ・メフラ教授と、スイス・チューリヒ大学病院のフランク・ルシツカ氏、米ユタ大学のアミト・パテル氏は共同声明で、第三者による検証を試みようとしたと主張した。

患者記録を検証し、研究結果を再現することが求められたが、データを提供した米イリノイ州シカゴの医療データ分析会社サージスフィアが検証への協力を拒否した。

著者3人は、こうした状況を踏まえ「われわれが1次データソースの正確性を保証することはもはやできない」と表明した。

一方で、「新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)でニーズが非常に高まっていた時期に、誠意を持って」研究を行ったと強調した。

論文の著者の1人でサージスフィアの創業者サパン・デサイ氏は、撤回を表明していない。【翻訳編集】AFPBB News