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人権団体アムネスティが糾弾する「コロナ追跡アプリ」の問題

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、各国の政府がスマホのアプリを開発している。しかし、人権団体のアムネスティはこれらのアプリのプライバシー侵害を指摘し、最悪の事例としてバーレーンやクウェート政府の例をあげた。

バーレーン政府のアプリ「BeAware Bahrain」は、ラマダンの期間中に自宅待機を呼びかける国営テレビの番組とデータを共有していたという。番組が主催する懸賞金つきコンテストに応募する際には、このアプリの利用が必須とされていた。

アムネスティによると、クウェート政府のアプリ「Shlonik」もユーザーの位置情報をリアルタイムで追跡し、データをサーバに送信していたという。

ノルウェー政府もデータ保護当局からの批判を受け、リリースしたばかりのアプリを6月15日に配信停止にした。

「バーレーン及びクウェート、さらにノルウェー政府のアプリは、必要以上のデータを収集し、人々のプライバシーを脅かしていた」と、アムネスティのセキュリティ部門のClaudio Guarnieriは述べた。

アムネスティは11カ国の感染追跡アプリを調査したという。対象となったのはアルジェリアやバーレーン、フランス、アイスランド、イスラエル、クウェート、レバノン、ノルウェー、カタール、チュニジア、アラブ首長国連邦のものだった。

その結果、複数のアプリに問題が見つかり、カタールの「Ehteraz」アプリは全ユーザーの位置情報をリアルタイムで収集していることが判明した。しかし、この機能は現在、オフにされている。

バーレーンやカタールのアプリの利用にあたっては、国民ID番号の入力が必須で、当局はセンシティブな個人情報に簡単にアクセスできる仕様だったという。ノルウェーのアプリも、電話番号の入力が必須だった。

ノルウェー政府はデータ保護局の指摘を受けて、アプリの配信を停止した。しかし、アプリを開発した保健当局はこれに反発している。

「我々はデータ保護局の方針には合意しない。しかし、全てのデータを消去し、オペレーションを中止することにした」と、保健当局の担当者は述べた。

「パンデミックはまだ続いており、国民は免疫を獲得しておらず、ワクチンや有効な治療法も存在しない。今回開発したSmittestoppアプリ無しでは、新たな感染拡大を防ぐことは難しい」と担当者は続けた。

ただし、ノルウェーのアプリがプライバシーへの配慮を欠いていたことは確かなようだ。

セキュリティ企業Outpost24の担当者は「これらのアプリは、昔ながらのテクノロジー分野のジレンマを抱えている。わずかな開発期間で、セキュリティに配慮した仕様を実現する必要がある」と述べた。

「拙速な判断を行うと、当初の予想を上回るセキュリティやプライバシー上の問題を引き起こす可能性がある」と彼は続けた。