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リモートからも脳のイメージング装置を利用できる技術で神経科学の深化を目指すKernelが約53億円調達

ロサンゼルスに拠点を置くバイオサイエンスのスタートアップであるKernelがGeneral Catalyst、Khosla Ventures、Eldridge、Manta Ray Ventures、Tiny Blue Dotらの投資家たちから5300万ドル(約56億7000万円)を調達した。これはKernelにとって初めての外部資金となるが、それでもシリーズCなのは創業者でCEOのBryan Johnson(ブライアン・ジョンソン)氏がこれまで5400万ドル(約57億7000万円)の資金をKernelに投資してきたためだ。ジョンソン氏は最新のラウンドに外部投資家たちとともに参加した。

今回の資金調達は、同社の脳の活動を記録する生体に負担を与えない非侵襲的な技術への「オンデマンド」アクセスをさらに規模拡大するために使われる。同社の技術は主に2つのアプローチあり、Kernelはそれらを別のプロダクトとして区別している。Fluxは脳内の中性子の集団的活動によって生じる地場を検出するもので、Flowは脳内の血液を測定するものだ。これらはいずれも研究者や医療従事者が脳の働きをモニターするときの重要な信号だが、これまでは侵襲的で高価なハードウェアを使用せねばならず、脳の手術が必要になることもあった。

Kernelの目標はその技術を広く普及することであり、「サービスとしての神経科学(Neuroscience as a Service、NaaS)」を提供している。それにより有料クライアントがリモートからでも脳のイメージングデバイスにアクセスできるようになる。2020年初めにKernelは、このプラットフォームを一般的な顧客にも提供することを発表している。

SFのように思えるが、この技術は実際に、これまで密室のような環境で行われていた極めて高価で、専門的だが被検者にとって危険でもあった技術を、オンデマンドで誰にでも利用できるようにする試みだ。これは、多くのヒトゲノム企業がビジネスや研究コミュニティのために、ヒトのゲノム配列決定の速度と利用可能性の進歩を利用して、同じようなことをしようとしているのと似ている。

ジョンソン氏の長期目標は、神経科学の分野での理解をより深めることだ。

「意識的なものと潜在意識的なものを問わず思考と感情を定量化できれば、理解や健康、人間の向上につながる新しい時代が訪れる」とジョンソン氏はプレスリリースで述べている。

確かに脳内部の働きは、多くの研究者にとって今だにその大部分がわかっておらず、特にそれらの働きが私たちの認識や感覚に行動にどのように反映されているかという点では謎が多い。Kernelのプラットフォームのようなものがあれば、もっと多くの人が脳の働きの背後にある科学を研究することが可能になり、神経科学のまだ解明されていない領域の説明を提供できるようになるだろう。