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iPhoneの体験を変えるiOS 14の新機能──「5つの進化」に注目

アップルが今秋に無料のソフトウェアアップデートとして提供を予定するiOS 14のパブリックベータが公開された。iPhoneによる体験を変える新機能の一部を試したファーストインプレッションを報告しよう。

iOSのパブリックベータは正式リリース前に開発中のソフトウェアを一般公開し、多くのユーザーに試用協力を得ることを目的としている。Apple Beta Software Programに登録すれば誰でもiPhone 6s以降の対応端末にインストールして無料で試せる。

ただし、あくまで開発中のソフトウェアであるため動作が不安定な箇所があったり、インストール後に予期せぬ不具合が発生する場合もある。現在メインとして使っていない古いiPhoneなどサブ機を用意して、これに導入して試すことをおすすめしたい。

※なお本記事中で紹介するiOS 14パブリックベータの画面は取材に基づく特別な許可を得て掲載している。

1. iPhoneにたまる一方の情報・アプリの整理整頓が楽になる

初期パブリックベータを試用して、筆者は次に挙げる5つの点でユーザー体験の変化に注目した。

ひとつはホーム画面の整理整頓が容易になることだ。近年はiPhoneのディスプレイが大型化して画面占有率も上がり見やすくなった。すると気が付かない間に、ホーム画面が無数のアプリで埋め尽くされて雑然としていることがある。

iOS 14では新規にインストールしたアプリを種類・目的別に自動分類して、ホーム画面をスワイプした最後のページにまとめてくれる「Appライブラリ」が加わった。新規に追加したアプリはホーム画面に表示させず、Appライブラリからのみ参照できるようにする機能もできたので、ホーム画面はかなりすっきりと整理できる。

Appライブラリのカテゴリ分類が例えば「エンターテインメント」のようにややざっくりとしているので、「動画」と「音楽」のように細かく分けてアプリを管理したい場合は従来からある「フォルダ」分けの機能を併用するといいだろう。

インストールしたアプリをホーム画面に表示せずに「Appライブラリ」だけに並べることもできる。Appライブラリのカテゴリー分類は比較的ざっくりとしているので、例えばエンターテインメントは動画と音楽、テレビなどを分けてアプリを管理したい場合は「フォルダ」を使うといい。

「ウィジェット」もデザインを一新した。ウィジェットのカードには情報が全面に表示され、カードのサイズも大中小から選んでホーム画面に配置できる。天気やニュース、フィットネスなど各アプリを起動しなくてもホーム画面を一瞥するだけで情報が確認できてよい。あとはサードパーティーのアプリやサービスもウィジェットとして数多く揃えたい。

ホーム画面の中にデザインが一新された「ウィジェット」が配置できる。

2. ピクチャ・イン・ピクチャで画面を有効活用

動画コンテンツのピクチャ・イン・ピクチャ表示にいよいよ対応した。NetflixやApple TVの動画を視聴しながら、同時にメールやメッセージを読み書きしたり、Web検索などマルチタスクがこなせる。通勤時間に電車の中で動画を見ながらメールに返信するといった芸当も可能になる。ウィンドウはiPhoneの画面内に任意の位置へ動かすことができる。画面を拡大せずに動画の一時停止操作も行える。

ピクチャ・イン・ピクチャはFaceTimeビデオ通話にも対応する。例えばバックグラウンドで企画書のファイルを開いて見ながら動画で内容を詰めたり、リモートワークのツールとしてFaceTimeの柔軟な活用手段が広げられそうだ。

動画の再生開始後、iPhone SEはホームボタンのシングルクリック、ホームボタンのないiPhoneは画面のスワイプアップジェスチャー操作でピクチャ・イン・ピクチャのウィンドウが立ち上がる。再生と一時停止、ウィンドウの場所移動も調整できる。

音声アシスタントのSiriを呼び出すと、現在はiPhoneの画面全体を占有してしまうユーザーインターフェースを見直した。iOS 14では画面の下にSiriのアイコンだけがコンパクトに表示される。Siriで言葉の意味などを調べながらWebを見たり、メールを書き進めるなど連続したタスクどうしの移行がスムーズにできた。

新しいSiriのコンパクトUI。画面全体を覆うことなく、下の方にSiriのアイコンが小さく表示される。Web検索の結果など、タップすると詳細が見られる。

3. 新アプリの「翻訳」と「睡眠」の完成度は?

iOS 14にはアップル純正の「翻訳」アプリが追加される。日本語を含む11の言語から2つの言語を選んで、音声またはテキストを入力してリアルタイム翻訳ができる。

日本語から英語への翻訳を試してみたところ、短いフレーズの翻訳は精度・速度ともに十分に実用的だと感じた。長目の文章については所々にまだ誤訳も散見された。今後のブラッシュアップを期待しよう。新規に追加された「翻訳」アプリ。11の言語の音声/テキストによるリアルタイム翻訳に対応している。

11の言語はデータベースをiPhoneにダウンロードしてオフライン利用もできるので、海外旅行に出かけた時などiPhoneがオンラインになっていなくても、とっさの場面で翻訳アプリが役に立つだろう。

「睡眠」は「ヘルスケア」アプリの中に新設された新機能だ。秋に正式リリースを予定するwatchOS 7をインストールしたApple WatchとiPhoneのペアで真価を発揮する。iPhone単体でも睡眠時間をモニタリングしたり、セットした起床時間に優しく起こしてくれるアラームなど一部機能が利用できる。

ヘルスケアに追加された新機能の「睡眠」。良い眠りを得るために、iPhoneの睡眠モードへのスイッチングなども設定できる。

就寝前にリラックスできる音楽を聴いたり、読書の時間を持って緊張を解く「ルーチン」(就寝準備)の機能をセットしておくと、就寝時刻が近づいた時にiPhoneのスリープ画面で知らせてくれる。Apple Watchも加われば、睡眠の質を高めるための意識をどれほど高められるのか楽しみだ。

良い眠りを得るための「就寝準備」も新機能として加わる。就寝時間が迫ってくると、リラックスして過ごすためのコンテンツにアクセスしたり、あらかじめ設定したショートカットがスリープ画面に表示される。

4. iOS連携でAirPods Proに「サラウンド再生」や「聴覚支援機能」が加わる

左右独立型のワイヤレスイヤホンとして人気を独占するアップルの「AirPods Pro」にも、今秋に予定する無料のソフトウェアアップデートにより新機能が加わる。

そのひとつである「空間オーディオ」はワイヤレスイヤホンで臨場感あふれるサラウンド音声が楽しめるようになるという技術だ。さらにイヤホンに内蔵する加速度センサーとジャイロスコープのデータを元に、ユーザーの頭や身体の向きを検知しながら正確な音像定位を再現する「ダイナミック・ヘッドトラッキング」を組み合わせて、没入感の高いコンテンツ体験を引き出す。

AirPods Proが秋のアップデート後に「空間オーディオ」をサポート。サラウンド再生に対応する。

現時点のiOS 14のパブリックベータとAirPods Proの組み合わせではまだ体験できない2つの新機能が加われば、AirPods Proが他社のワイヤレスイヤホンをさらに圧倒するデバイスになるだろう。

ユーザーの耳の聞こえ方にAirPodsのサウンドを最適化できる「ヘッドフォン調整」は今のiOS 14パブリックベータで試せた。

iOSの設定から「アクセシビリティ」に入ると、AirPodsのメニュー内にヘッドフォン調整が新設されている。AirPodsを耳に装着した状態でガイダンスに従って簡単な聴力テストを行うと、主に高音域の聞こえ方を補正したプロファイルが作られ、AirPodsに保存すると繰り返し利用できる。

ユーザーの耳の聞こえ方に合わせてAirPodsのサウンドを自動調整する「ヘッドフォン調整」も新規に追加された機能。

AirPods Proには高性能な「外部音取り込み」機能がある。イヤホンを身に着けた状態でも内蔵マイクがピックアップした周囲の環境音がクリアに聞こえる画期的な機能だが、新機能のヘッドフォン調整が併用できるようになれば、補聴器を身に着けることには抵抗感はあるものの、耳の聞こえ方を改善したい人々のための聴覚支援機器としてAirPods Proがより広範な層のユーザーを獲得するかもしれない。

次期iPhoneに「LiDARスキャナ」は搭載されるのか

AR(拡張現実)に対応するアプリやコンテンツの開発に必要なアップル独自のフレームワーク「ARKit 4」も提供が始まっている。iOS 14が正式リリースを迎える頃には、いくつかのARKit 4をベースに開発されたAR体験も出揃うことを期待したい。

ARKit 4には新しいDepth APIが導入される。これは現在、iPad Proが搭載する「LiDARスキャナ」がキャプチャできる高度な深度情報を活かすアプリを開発するためのツールだ。当然アップルは独自の画期的なAR体験に触れられるデバイスをiPad Pro以外にも拡大してくるはずだ。次期iPhoneのフラグシップモデルの中にはLiDARスキャナを載せたモデルも揃うとみてよいだろう。

LiDARスキャナによって得られる深度情報を活用したり「ARKit 4」のフレームワークをベースに開発されたARアプリ・エンターテインメントが秋以降に充実することを期待したい。

現在のiOS 14パブリックベータではまだ試せない機能も多くあるが、ハードウェアとしての次期iPhoneの形もおぼろげに見ながら、再び大きな変化を迎えようとしているiPhone体験にひと足早く触れてみる価値は十分にあると思う。