iPadとApple Pencilをイラストや漫画制作に実用しているプロも珍しくないなか、アップルが現実の世界の色をサンプリングして描画に使える特許を申請したことが明らかとなりました。
米特許商標庁(USPTO)が16日に公開した「カラーサンプリングスタイラスを備えたコンピュータシステム」なる特許は、「カラーセンサーを備えている可能性がある」コンピュータ用スタイラスを記述したものです。
このカラーセンサーは、異なるカラーチャンネル(色の成分の情報)を測定できる複数の光検出器を備えており、花のような現実世界のオブジェクトから色を検出してサンプリングできるとのこと。またスタイラスには色の検出を助けるためのライトも装備できるとされています。
特許には直接にApple Pencilには言及されていませんが、細長い本体や先端部などを備えたデザインや、先端部をタッチセンシティブな画面で使える仕様はそのものです。カラーセンサー部分は、スタイラスの末端や先端、または上述したライトガイドとも結合できると記述されています。
現実世界から拾った色は、描画アプリのカラーパレットに入れて、ブラシに色を割り当ても可能。そうした絵を描く以外にも、ディスプレイやプリンターの調整、健康関連の測定、ホームプロジェクタを使う壁塗料の色識別など、他の目的にも転用できることが示唆されています。
すでに光学式カラーサンセーを実用している製品は存在しています。たとえば、Sphero Specdrumsミュージックリングがその1つ。指にリングをはめてタップして色を読み取りサウンドに変換して「色で演奏する」製品ですが、おそらく将来のApple Pencilに実装される場合はより精緻な仕様となるはず。
アップルのようなIT大手企業は毎週のように多数の特許を申請や取得しており、実際に製品化や実用化にこぎ着けるのはごく一部に過ぎません。しかし現実の写真や絵から色を抽出し、フォトリアリスティックな描画やイメージ通りの色を出したいというプロのニーズは確実にありそうです。
2020-07-17 22:04:37