ソフトバンクグループ傘下にある世界最大手の半導体設計企業・Armが、売却されることになるのではないかと報じられています。Armの開発するARMアーキテクチャはAppleも採用しているため、「AppleがArmの買収に乗り出すのではないか?」と一部でウワサされていたのですが、Bloombergが「AppleはArmの買収には興味がない」と報じています。
ソフトバンクグループは2016年にArmを買収。買収額は約3兆3000億円にものぼりました。買収当時、同グループの孫正義社長は「モノのインターネット(IoT)時代を迎え、各種デバイスに組み込まれるArm設計の半導体の拡大が見込まれる点で、長期戦略としては理にかなっている」「たかが3兆円だ」と語りました。
しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルが独自に入手した情報によると、ソフトバンクグループはArmの完全あるいは部分的な売却、もしくは株式公開(IPO)などの複数の選択肢を検討しているそうです。ただし、売却検討はあくまでも検討の初期段階にあるとのこと。
AppleはiPhoneやiPadに搭載するAシリーズのSoCでARMアーキテクチャを採用しており、WWDC 2020の中で発表したMac向けの独自開発プロセッサ「Apple Silicon」でもARMアーキテクチャが採用されることになると見込まれています。
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Bloombergの最新の報道によると、AppleはArmの買収についてソフトバンクグループから話を持ちかけられたそうですが、同社は「買収には興味がない」と明確に返答したそうです。情報筋によると、Appleは「Armによるライセンス提供業務は同社の事業構造にはあまり適していない」と判断した模様。加えて、ArmがAppleにとっての競合他社にライセンスを提供していることを考えると、AppleがArmを買収するというのは現実的な考えではないと判断したようです。
一方、グラフィックカードなどの半導体を製造するNVIDIAはArmの買収に関心を示しているとBloombergは報じています。また、ソフトバンクグループはArmの売却についてNVIDIAとの協議に失敗した場合、株式公開に向けた動きを強めるのではないかと情報筋は話しているそうです。
Armの売却はこれまでのチップ業界で最も大きな取引となる可能性がありますが、独占禁止法に関する精査を引き起こす可能性が高いというのも事実です。そのため、Armの買収を検討している企業は、ARMアーキテクチャのライセンスをこれまで同様他企業に提供し続けることを証明しなければいけない、とも指摘されています。
2020-07-23 02:24:27