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幾度にも渡る却下の末、占星術を取り入れたStruckの出会い系アプリがApp Storeに登場

Apple(アップル)の元エンジニアらによって開発されたStruck(ストラック)と呼ばれる新アプリは、Co-Star(コー・スター)を利用する人々向けのTinder(ティンダー)のような存在になることを望んでいる。言い換えると、これは占星術ベースの出会い系アプリである。しかし、AppleがこのアプリをApp Storeへ受け入れることを承認するまでに、Struckを開発したスタートアップは数カ月間にわたって10回近くも再提出を繰り返さなければならなかった。占星術関連であること、または単にオンラインデートアプリであることを理由に、同アプリは審査過程でほぼ毎回「スパム」として分類され、却下されてきたのだ。

Struckを却下するにあたりAppleが常に持ち出したのが、App Store審査ガイドラインの第4条第3項であった。その内2回だけは例外で、それはアプリの目的とは無関係なものだ。(1度目は不安定なAPIを使用しているというのが却下の理由で、2度目は訂正が必要なテキストに関するものだ。その時点では、開発者はStruckを「ベータ版」としていた。)

Appleガイドラインの第4条第3項は、混乱を引き起こすと考えられるアプリや、スパムとみなされるアプリをApp Storeから排除するための条項である。原則として、この条項はクオリティーの低いアプリに対しAppleが主観的な判定を下すことを許可するものであり、同ガイドラインは理に適っている。

現時点で、ガイドラインには開発者は「すでに飽和状態になっているカテゴリーは回避すべきである」と書かれ、またApp Storeは「おなら、げっぷ、懐中電灯、占い、出会い系、カーマスートラなどのアプリがすでに十分にある」ことを開発者に伝えている。

Appleは同文書の中で「質の高い体験を提供しない」アプリはすべて却下すると述べている。

また同ガイドラインは3月に改訂され、出会い系アプリに対する基準がさらに引き上げられ、またとりわけ「占い」アプリに関する厳格なルールが設けられた。

Struckは不運なことに、新しい規制のターゲットになってしまったのだ。しかし、このアプリは出会いのプロセスの中に占星術を取り入れてはいるものの、全体的なデザインやビジネスモデルは怪しげな「占い」アプリとは一線を画すものだ。

実際、Struckは後にサブスクリプションや追加機能が関わってくる可能性のある収益化モデルさえ実装していない。

むしろStruckは、Tinderのような人気アプリに代わる体験を提供するよう、慎重かつ細心の注意を払って設計されているのだ。同アプリは、有色人2名、LGBTQ+1名を含む女性主体のチームにより開発されており、主流の出会い系アプリとは似ても似つかない。

例えば、Struckの場合、オンラインデートを見かけで判断する形式のゲームにならないようにしている。まず、ユーザーの出生占星図や座相を元に、マッチ(相性が良いと思われる相手)が推薦される。しかしこのアプリを使った体験を楽しむのに占星術を心から信じる必要はない。同社のウェブサイトには、オープンな考え方の持ち主であれば誰でも同アプリを単純に楽しめる、と書かれており、宣伝文句には「疑いを持っている方もぜひどうぞ」とある。

Tinderや他のアプリは、心理的トリックを用いてユーザーがアプリに入れ込んでしまうように仕向ける傾向があるが、Struckはユーザーがロマンスや会話に集中できるよう、プロセスをゆったりしたものにしようとしている。Struckの場合、顔写真のカタログを際限なくスワイプしていくような形はとらない。アプリから送られてくるマッチは一日に4人までで、そのうちユーザーがメッセージを送ることができるのは1人だけである。

同アプリの全体的な目標は、ユーザーがただ単に写真での見た目を判断するだけではなく、相手の優先順位や価値を分析する時間を持ってもらうことなのだ。

つまりこのアプリはユニークで深い思慮に基づいて作られており、App Storeが提供すべきアプリであって、締め出すべき類のものではないのである。

「私たちはAppleで働いた経験があり、技術的なバックグランドを持っています。私たちは断固として高品質で優れたユーザーインタフェースとユーザーエクスペリエンスを提供しようとしていました」とStruckの共同創設者兼CEOのRachel Lo(レイチェル・ロ)氏は説明する。「これらは私たちがベータ版で大いに力を入れた点でした。ですからAppストアに提出後、まさか突き返されるとは思っていませんでした」。

しかしAppleは同アプリを却下したのである。最初にアプリを提出した5月以来、Struckは合計9回の却下にあうこととなった。審査者は同アプリが占星術ベースの出会い系アプリであるという理由だけでスパムのレッテルを貼り続けた。その後チームはアプリが承認されることを願って占星術の要素を取り除いてみたのだが…うまくはいかなかった。最終的に、1人の審査者が彼らに対し、Struckは出会い系アプリであるため認められないと言ってきたのである。

「このプロジェクトは終了するしかないのかもしれない、と考えたのを覚えています。本当に打開策がなかったのです」とロ氏は言う。Struckチームは最後の手段として、彼らの苦境や、アプリの品質を考えた場合にいかにAppleの却下が公平さを欠くものであるかなどを訴える内容の投稿をインスタグラムで行った。それに加えて、ロ氏が指摘するように、Appleからの却下はアプリに関連付けられた性差別の色合いを帯びていた。

「占星術が女性が大勢を占めるカテゴリーであることは明白です。私はガイドラインに記載された『おなら、げっぷ、占いアプリ』というフレーズを、問題ありとして取り上げました。私はその言い回しと、実際に占星術を認めている世界のほとんどの人々にとってそれがいかに失礼か、という点を強く非難しました。

テック業界における創設者のコネクション、以前Appleに務めていたというステータス、彼らの弁護に立ち上がってくれたジャーナリストの存在をもってしても、Struckは承認を得ることができなかった。

ところが最終的に、AppleのバイスプレジデントLisa Jackson(リサ・ジャクソン)氏によるWWDCに関する投稿に、数人のアプリ支援者がコメントを残したところ、理由は定かではないが突如として青信号が灯ったのだ。 インスタグラムへの投稿が功を奏したのかどうかはわからない。アプリの審査者でさえ、なぜ今になって同アプリが承認されたのか、問われても説明することができなかったのである。

これらの一連の却下や突然の承認を経験したことで、創設者らはAppleによる現時点でのApp Storeの運営方法に幻滅し、政府がAppleの事業に対し独占禁止法の観点から調査を実施することを支持している。調査が行われれば、新しい規制が制定される可能性がある。

「私たちには手立てがありませんでした。Appleのような巨大企業が小さな開発会社を事実上圧迫するのは本当に間違っていると感じました」とロ氏は言う。「今後どうなるのかはわかりませんが、このアプリが成功し、多様性のある優良な事業をそこから生み出すことができたらと思っています。しかし重要なのは、開発に9ヶ月もの時間をかけた私たちに、アプリを配信する機会さえ与えられていなかった点です」。

Appleは占星術ベースのアプリを鼻であしらうような扱いをしているが、Struckや、Struckに影響を与えたCo-Starのようなアプリを楽しむのに、占星術を心から信じる必要はない。これらの比較的新しい占いアプリは、ユーザーの将来を占うことに力を入れているというよりは、ユーザーの感情や世界での立ち位置、対人関係対を調べるためのフレームワークを提供することに力を入れているのだ。この結果、Co-Starは2019年に500万ドル(約5億3000万円)のシードラウンド資金を獲得した。Co-Starは、この分野でのトップ10アプリの中で消費者の支出額が2018年度と比べ65%も跳ね上がったことを受け、昨年投資家が熱心に追っていた多くの占星術アプリの1つである。

Struckは最終的にはTinderとは異なる、そして価値のあるなにかを市場に届けたいと考えている。

「私たちは典型的なストレートの男性たちに対抗したいと思っています。Tinderがいわゆる伝統的な女性的アプリだからです」とロ氏は述べた。「今は2020年です。すべての出会い系アプリがスロットマシーンのようであるのは私たちにとってショッキングなことです。私たちは、自らの声を持ち、女性が安心して使えるようなものを作りたいと願っています。そして、性別で分かれた私たちのユーザー層がそれを証明したと思います」。

どのくらいの期間かは定かではないが、Struckは現在App Storeで公開されている。

最初にサービスが提供されるのは、ベイエリアおよびロサンゼルスで、金曜日にはニューヨークでも使用可能となる。同アプリは、ユーザーフィードバックに基づき、需要が見込まれるより多くの市場に徐々に展開されることになる。