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全てのiOSアプリが中国から締め出される可能性が高まっている

中国とアメリカの緊張の高まりにより、これまで法の「抜け穴」を使って中国で運営を行っていたAppleのApp Storeが閉鎖に追い込まれる可能性がある、海外ニュースメディアのThe Informationが新たなレポートで指摘しています。

2020年8月1日、Appleは中国のApp Storeから3万個以上のアプリを削除しました。Appleは7月8日にアプリ開発者に対して「中国の規制要件を満たしていない場合はゲームを削除する」という予告を送っており、削除は予告を実行に移した形です。

中国では、有料ゲームや課金のあるアプリをアプリストアに公開する前に、開発者がライセンスを取得する必要があります。しかし、App Storeではこれまで「ライセンスの申請後、承認を待っている状態」でアプリを公開することが可能でした。この「抜け穴」を使って開発者は当局の承認を得ていない状態のアプリを公開することが可能でしたが、Appleはポリシーの変更によってこの抜け穴をふさいだわけです。

削除された約3万個のアプリのうち90%以上がゲームだったとのこと。大量削除によってApp Storeのゲームアプリは17万9000個となりましたが、うち16万個は無料アプリとなっています。

この動きはTikTok排斥を始めとする、中国とアメリカの間の緊張を受けたものとみられています。アメリカではTikTokの使用を禁じる法案が可決されましたが、Bloombergによると、中国でアメリカ企業に対して報復が行われる可能性が高まっているとのこと。報復を懸念したAppleは先手を打って、長年放置されていた抜け穴をふさいだとみられています。

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しかし、中国のApp Storeは、それ自体が抜け穴に依存しているという指摘もあります。中国で事業を行う外国のアプリストアは、中国国内にパートナー企業を持つ合弁事業である必要がありますが、Appleはパートナー企業を持たずApp Storeを自らが運営しています。またサードパーティーの開発者による全てのアプリも事前に現地の法律に従うよう検閲を受ける必要がありますが、Appleはこの規則に従っていません。なお、Androidアプリなどを扱う他の中国のアプリストアは、この規則に従っているとのこと。

Appleは2013年にApp Storeの中国法人を設立することを検討していましたが、「App Storeに対するコントロールを失う」と判断されたことから、設立には至りませんでした。その後、2018年に法人登録を行いましたが、中国当局から必要なアプリの承認が行われたことはないそうです。

情報筋によると、中国当局はApp Storeにより深く干渉できるようAppleに譲歩を求めていますが、Appleの役員たちはそれを拒否しているとのこと。この問題が解決されない限り、中国当局が中国のApp Storeを閉鎖するリスクは考えられるとレポートでは示されています。