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Amazonの宇宙インターネット計画「プロジェクト・カイパー」をFCCが承認

ネット通販大手のAmazonは2020年7月30日、多数の衛星で世界中にインターネットをつなげることを目指した「プロジェクト・カイパー」について、連邦通信委員会(FCC)から構築とサービス開始の認可を受けたと発表した。

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サービス開始時期は明らかにされていないが、早ければ2026年にも実現する可能性がある。

プロジェクト・カイパーとは?

プロジェクト・カイパー(Project Kuiper)は、Amazonが開発している宇宙インターネット計画で、地球低軌道に大量の衛星を打ち上げ、地球を覆うように配備し、世界のどこでも使用できるブロードバンド・サービスを提供することを目指している。カイパーとは、カイパー・ベルト天体などにもその名を残す、天文学者のジェラルド・カイパー氏に由来する。

現在、開発途上国を中心に、世界の全人口77億人のうちの約半数がインターネットを使えない環境にあるとされる。また米国でも、過疎地などではブロードバンドが通っていない地域がある。

こうした地域すべてに、ケーブルを張り巡らせたり、携帯電話の基地局を建てたりすることは現実的ではない。また、従来からあるような静止衛星を使ったインターネットは、回線速度が遅かったり、距離があることから大きな遅延が発生したりといった短所があった。

そこで近年、大量の小型衛星を地球低軌道に打ち上げ、地球を覆うように配備することで、世界のどこでも、低遅延のブロードバンド・サービスを展開しようという動きがある。衛星の製造や打ち上げなどの低コスト化が進んでいることも、この動きに拍車をかけている。これまでにワンウェブやスペースXといった企業が参入しており、すでに衛星の打ち上げも始まっている。

そんななか、ネット通販大手のAmazonは2019年春、独自の宇宙インターネット計画であるプロジェクト・カイパーを発表。3236機の衛星を地球低軌道に配備し、世界中にブロードバンド・サービスを手頃な価格で提供するとした。

そして2020年7月30日、連邦通信委員会(FCC)は、プロジェクト・カイパーの衛星群(コンステレーション)の展開と運用を承認。これにより、米国内でのサービス提供が可能となった。

サービス開始時期については明らかにされていないが、FCCは認可の条件として、2026年までに衛星の半数、すなわち1618機を、また2029年までに残りの半数を配備することを求めている。

Amazonは現在、ワシントン州レドモンドに設置した研究開発施設において、カイパーの設計・試験を行っているという。同社は同プロジェクトに100億ドル以上を投資するとし、世界中にインターネットを提供するとともに、米国各地で雇用を生み出すことになるとしている。

また、公共機関や民間企業などともパートナーとして連携していくとし、個人に直接サービスを提供するだけでなく、LTEと5Gサービスを新たな地域に拡張しようとしている通信事業者に、バックホール(末端のアクセス回線と中心部の基幹通信網(バックボーン回線)を繋ぐ中継回線)としても提供。これらの組み合わせにより、米国、そして世界中にブロードバンドを拡大していくとしている。

Amazonは声明のなかで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による生活様式の変化を踏まえ、「在宅勤務やオンライン学習、世界各地を結んだ科学者や研究者の活動、災害救助を行う救急隊員、グローバルに事業を展開する企業など、個人から学校、病院、企業、そして開発途上国などで活動する組織などにサービスを提供したい」と説明。AmazonのDave Limp上級副社長は「自宅に信頼できるインターネット環境がないために、仕事や勉強に支障が出ているという話をよく耳にする。プロジェクト・カイパーはこの状況を変え、ギャップを埋めることに役立つだろう」と付け加えた。

また、プロジェクト・カイパーの技術担当副社長であるRajeev Badyal氏は、「プロジェクト・カイパーのような地球低軌道ベースのブロードバンド・システムには、膨大な数の課題がある。しかし、Amazonのネットワークとインフラストラクチャーに関する深い専門知識と、このような巨大な事業に資金を提供できる能力を組み合わせることで、(実現について)楽観的に考えている」とコメントしている。

なお、Amazon創業者のジェフ・ベゾス氏は、宇宙企業「ブルー・オリジン」を経営していることでも知られるが、プロジェクト・カイパーはあくまでAmazonの事業であるとしている。ただ、技術開発や、衛星の打ち上げなどにおいては連携が図られるものとみられる。

過熱する宇宙インターネット開発競争と課題

宇宙インターネットの構築をめぐっては、すでに多くの企業が参入しており、Amazonはむしろ後発にあたる。

たとえばスペースXが構築する「スターリンク(Starlink)」は、すでに約600機の衛星の打ち上げに成功。2020年末にもサービスが始まる予定で、また最終的に4万機以上の衛星を配備する計画となっている。

また、創業時期などで先んじたワンウェブ(OneWeb)は、2020年3月に米国破産法第11章(チャプター11)の適用を申請。その後、7月にインド企業や英国政府などが買収し、再建に向けた動きが始まっている。現在までに74機の衛星を打ち上げており、最終的に約4万8000機(当初は約650機)もの衛星を配備するとしている。

このほか、衛星通信大手のテレサット(Telesat)も「テレサットLEO」というシステムの構築を計画。また、フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)も参入を目指していると伝えられており、今後競争が激化することが予想される。

一方、宇宙インターネットをめぐっては、大量の衛星がスペース・デブリ(宇宙ごみ)となったり、既存の衛星やデブリと衝突したりする危険性が高くなることが懸念されている。これに対して各社は対策に乗り出すとしており、たとえばスペースXは、自動的にデブリの検知や回避ができるシステムを導入したり、運用終了時には早期に大気圏に落として廃棄する方針を打ち出したりしている。

また、大量の衛星が太陽光を反射して輝いたり、電波がつねに全世界に降り注いだりすることによって、宇宙の光学・電波観測に悪影響を与える可能性も指摘されている。これについても、スペースXでは衛星の反射率を下げたり、天文学者のコミュニティとの連携を図ったりなどの取り組みを行っているが、完全な解決には至っておらず、両者がどのように折り合いをつけていくかが喫緊の課題となっている。