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分子雲中で多数の有機分子がコマのように回転しているのを理科大などが発見

東京理科大学などの研究チームは8月25日、天の川銀河の中心方向のいて座に位置する分子雲「Sgr B2(M)」の周辺において、宇宙空間における有機分子の代表的な1つである「アセトニトリル(CH3CN)」が、45%という割合でコマのように回転していることを発見したと発表した。

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同成果は、同大学研究推進機構総合研究院の荒木光典研究員/プロジェクト代表、日本大学工学部総合教育物理学教室の高野秀路 教授、上智大学理工学部物質生命理工学科の久世信彦 教授および小山貴裕 共同研究員、国立天文台天文データセンターの亀谷和久 特任専門員、群馬大学大学院理工学府理工学基盤部門の住吉吉英 教授、東京理科大学理学部第一部化学科の築山光一 教授らの共同研究チームによるもの。詳細は、「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society」に掲載された。

複雑な有機分子の起源は、生命の誕生にも関係するため、天体化学および宇宙生物学における重要な問題の1つとされる。そうした有機分子の起源を探る手がかりとなるのが、宇宙空間におけるその分布だ。これまでの観測において、天の川銀河の中心部と銀河円盤の両方の星形成領域において、多くの複雑な有機分子が確認されてきた。

高密度の分子雲には、原子2~3個からなる小さなものから複雑な有機分子まで、さまざまなものが存在している。ただし、希薄な分子雲においては、小さな分子に偏っており、そうした分子雲中に存在する複雑な有機分子の正確な量については今のところよくわかっていない。豊富に存在するが検知できていないだけなのか、もしくは本当に量が少ないのか、さらなる研究が必要だという。

希薄な分子雲において複雑な有機分子の検出を難しくしているのが、希薄なために分子同士の衝突する頻度が低いということがまず1つ挙げられる。それに加え、放射によって冷却されるため、複雑な有機分子の輝線の検出が難しいということもある。そこで共同研究チームでは発想の転換を行い、有機分子の輝線そのものではなく、光源(電波源)を背景にした有機分子の吸収線を用いる手法を用いることにしたとする。

輝線とは分子や原子から放射される特定の波長の電波のことだ。一方の吸収線とは、連続スペクトルを有する恒星や銀河(恒星の集まり)などの光源(電波源)から出た光(電波)が、分子雲を通過する際、そこに存在する原子や分子によって特定の波長だけが吸収されることによって生じる、連続スペクトル上で電波強度が部分的に減少することをいう。つまり吸収線を観測するということは、例えるならその物体そのものを見るのではなく、その影を見るという手法である。

なお、この手法の課題となるのが、観察したい分子雲の背後に強い光源がある必要があること。そこで今回は、天の川銀河内の中心方向にある分子雲「Sgr B2」の中でも輝線と吸収線の分離が比較的容易に行いやすいSgr B2(M)領域を観測対象として選択。加えて、重量級の恒星の形成領域であるオリオン大星雲のIRc2、W49N、W51なども、国立天文台の野辺山電波観測所 45m電波望遠鏡を活用して吸収線の探索が行われた。その結果、IRc2、W49N、W51においてアセトニトリル(CH3CN)に加え、プロピン(CH3CCH)のシグナルが確認されたのとする。

ターゲットとされたSgr B2(M)の吸収線を確認するためには、光源となるSgr B2(M)のコアから輝線の形を推定する必要があったが、プロピンの輝線プロファイルからそれが求められ、Sgr B2(M)のコアからの輝線とアセトニトリルの吸収線の区別に成功したという。

また共同研究チームは、検出された純粋なアセトニトリルの吸収線プロファイルに基づき、Sgr B2(M)のエンベロープ(天体の周囲に広がるガス)の運動温度と放射温度、そしてアセトニトリルの柱密度の推定にも成功したという。

これらの結果から、Sgr B2(M)のエンベロープにおいては、アセトニトリルが45%という割合でコマのように炭素鎖軸を中心に回転していることが判明。通常、回転しているアセトニトリルの割合は2%ほどであり、今回の45%という割合は特殊な振る舞いだとしている。

研究チームでは、このアセトニトリルの特殊な振る舞いを考慮することで、アセトニトリルの量や分布を正確に把握できるようになるとしているほか、アセトニトリルは宇宙空間に存在する有機分子の代表的な1つであることから、今回の成果は、宇宙空間における有機物の量や分布をより詳しく知る上で重要な意味を持つともしている。

なお、荒木 研究員/プロジェクト代表は、「地球外に広がる宇宙という未知の空間を解明することは、人間の知的好奇心を満たし、宇宙、地球、生命の根源に迫るものです。また、地球上の生命は、原始地球への彗星衝突により、分子雲から運ばれた有機物を原料として誕生したとする説が有力視されています。そのため、宇宙空間の有機物を知ることは生命起源へのアプローチにもなります」として、今後の研究に意欲を示している。