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2020年後半から21年のIT機器を予測する 5G対政治、Arm対x86、PS5対Xbox Series Xとその影響

9月になり、もうすぐ「新製品発表ラッシュ」の時期がやってくる。スマートフォンやPCなど、ジャンルはいろいろだが、新しいコンピュータが増えることに変わりはない。

 個々の製品がどうなるかを予測するのは、もうあまり意味がないかと思う。噂が正しいかの答え合わせのような部分があるからだ。だが「いろいろな製品が出た結果、今年の年末から来年にかけての市場がどうなるか」を予測することには意味がありそうだ。

 というわけで今回は、「今年の各製品の方向性から予測する、年末に向けた影響」を考えてみよう。

この記事について
この記事は、毎週月曜日に配信されているメールマガジン『小寺・西田の「マンデーランチビュッフェ」』から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年9月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額660円・税込)の申し込みはこちらから。

5GはiPhone頼り、Androidは「魅力あるミドルクラス5G」に注目
まず、大きな影響が出そうなのは「5G」だ。iPhoneが5G対応になるのは間違いない。次期Pixelである「Pixel 5」に5Gモデルが用意されるのも確実だ。

 分離プランの影響で高価なスマートフォンが売れづらくなっているとはいえ、売れる製品の大半は、まだ「低価格なSIMフリーモデル」ではなく、「数年使えるハイエンドモデルを分割払いで購入する」のがメインである点に変化はない。5Gを普及させたい携帯電話事業者としても、iPhoneを大きな梃子(てこ)と考えているのは間違いない。うわさ通り、今年のモデルが久々に大きなデザイン変更を伴うものになるのであれば、注目も大きなものになりそうだ。

とはいえ、5GのエリアがiPhoneの発売時期に充実しているか……というとそれはあるまい。今よりはマシになっているだろうが、4Gと同じエリアで高速通信が可能になるわけではない。それにはさらに時間が必要だ。KDDIやソフトバンクは、4Gの帯域を5Gに転用する「DSS」という仕組みを導入するので、「5G」の表示を見れる機会は増えるだろうが、その仕組み上、5G本来の速度が出るわけではない。DSSを導入しないNTTドコモが「優良誤認を招く」とさかんにアピールしているのは、確かに故なきことではない。

 だが、おそらくはそれよりも、「5Gプラン利用者が増えることで、より使い放題に近い使い方が増える」と考える方が良い。その点も春から変化はないのだが、携帯電話事業者としては、5G対応のiPhoneによって通信費の顧客単価が上がる方が魅力的だろうとは思う。

 一方で、Androidの注目点は、Pixel 5のようなハイエンドスマートフォンではないように思う。5G対応機種は、中国市場での旺盛な(先行投資という意味合いがあると思うが)需要を背景に、5Gのミドルクラスへの移行速度が加速されている。「ハイエンドは高い」というひとにミドルクラスの5G端末を売る、というパターンが増えそうだ。

 二つ折りやハイエンドカメラ搭載の製品は魅力だが、価格の面から、市場では意外と響きづらい可能性がある。「魅力あるミドルクラス5G」がAndroidの主力であり、それがどこまで増えるかが見どころだと思っている。iPhoneのシェアが減る可能性があるとすれば、そういう「魅力あるミドルクラス」の存在感にかかっている。

 ただ、次期首相が確実視される菅義偉官房長官は、ご存じの通り強固な「携帯電話料金引き下げ論者」だ。5Gの普及を推進する時期で、その遅延が他国との競争力に影響するタイミングでありながら、「携帯電話料金を下げよ」と圧力をかけ続けるのは、明らかにマイナスの影響を与えるだろう。端末の普及から回線利用を加速すべきなのだが……。

 なお、VRやARのような方向性は、大きな動きはないように思う。低価格機種などが出て注目される可能性はあるが、劇的な変化にはならない。特に、競争力のあるARグラス、スマートグラスの登場とそのヒットは、2021年後半もしくは2022年が本命で、まだまだ先のことだろう。

 一方で、次期iPhoneを含め、一部のハイエンドスマートフォンでは「来るべきAR機器」を想定した機能が見え隠れする。それらを使ったアプリの萌芽は、今年から始まる。今から助走して、2022年の本番に備えるソフトメーカーが増えそうだ。

Arm対x86が本格的に始まる
PCは当面好調だ。教育とテレワークによってニーズに対する見方が大きく変わってきたからだ。

 正直な話をすれば、日本において「PC不要論」がなぜここまで広がってしまったのか、よく分からない部分がある。仕事以外にプロダクティビティを要する作業が少なく、それらはPCがなくてもいい……という誤解はそろそろ解消されないといけない。スマートフォンでもタブレットでもプロダクティビティの高い使い方はできるが、PCでやるよりずっと高いリテラシーを必要とするのは、ご存じの通りである。

 一方で、デバイスとしてのPCやタブレットの変化は、今年の年末よりもうすこし先のことになるだろう。

 変化の軸は「x86対Arm」だ。AppleがApple Siliconに移行し、Windowsでも Arm系採用拡大の動きが見える。5Gとの関係もあり、「どこでも通信ができて消費電力が低い」PC(Mac)は増えるだろう。ソフト互換性の問題はもちろんあるが、数年である程度の解決に落ち着くのは間違いない。本格的に「CPUも含めてPCを選ぶ」時代がやってくる。

実のところ、コロナ禍以降の「移動が減る」という影響は、PCに大きなインパクトがある。モバイル的なデバイスのニーズが落ちるからだ。移行が強制されるMacはともかく、Windowsについては、よりパワーがある低価格な製品をx86系(IntelだけでなくAMDかもしれないが)の製品が選ばれる可能性は高い。だから、Arm系プロセッサを広げようとしているQualcommの狙いは、そこまでうまくいかない可能性もある。

 個人向けPCにおける「ゲーミング」用途の拡大も見逃せない。数量の増加により、ゲーミングノートPCの価格も10万円台に下がって、かなり一般的なレベルになってきた。Intelの第11世代Core iプロセッサや、AMDのRyzenに内蔵されるGPUも、ゲーミングPCの人気に引きずられるように向上している。

 Arm系を使うMacも、パワーを落としては意味がない。「モバイルではあるが実はパワフル」な製品になるのは間違いない。

 こうした部分も含めた「PCのパワー向上」は、今以上に、来年に向けて明確になるだろう。選択の難易度は上がるが、来年は「PC周りが面白い」年になる。

PS5・Xbox Series Xヒットの形は「過去のゲーム機」とは違う可能性が
今年の年末といえば、新型ゲーム機の登場するタイミングである。出荷量に懸念はあるが、注目の製品であることに変わりはない。

 実のところ、単にゲームをするなら、今のPS4やPCでいいと思う。特にPCについては、先ほど述べたようにゲーミングPCの低価格化もあるし、年末以降は新世代プロセッサによって「普通のノートPC」でもそれなりのゲームが楽しめるようになっているだろう。

 では何のためにPS5やXbox Series Xを買うのか? そのプロモーションをSIEやMicrosoftがどう展開するのかがポイントになるだろう。

筆者は「より快適である」「よりシンプルなハードウェアで没入感を高められる」のが差別化点になる、と考えている。ロード時間の短縮は分かりやすいメリットだが、ヘッドフォンだけで立体音響が楽しめることなども大きい。ゲーミングPCと違い、「何も難しいことを考えなくてもいい」点が一番の違いである。

 とはいえ、トレンドは海外のPCゲームと共通する部分があり、市場構成も欧米主導なのは間違いない。日本のクリエイターの取り組みも、PS4のローンチ時にくらべると改善しているが、「日常的にゲームをしない人にも注目してもらう」ような、分かりやすいムーブメントを作る状況に欠ける部分はある。

 ひとつ追い風があるとすれば、Fortniteを含めた各種「バトルロ(ワ)イヤル系」ゲームのブームだ。それらを快適に楽しむものとして、日本の場合、ゲーミングPCよりはゲーム機の方がマスに近い。

 「PS5でバトロワをするのは快適」という話が動画配信などで盛り上がると、それがひとつのきっかけになる可能性はある。そうした流れは、過去のゲームの売れ方とは違うもの、といっていい。そうしたブレイクの傾向に注目しておくと面白いものが見れるのではないか……と予想している。