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苦境が続くファーウェイ、その急成長を支えたデザインの力とは?「HUAWEI P」シリーズのチーフデザイナーが語る開発秘話

国内初のAndroid搭載スマートフォンが発売されてから11年と少し。この間、スマートフォンメーカーの勢力図は大きく変化した。初期の頃トッププレイヤーだったメーカーの多くが姿を消す一方で、台頭したのが中国メーカーだ。かつて中国製品は安かろう悪かろうと言われたこともあったが、今や中国メーカー製のスマートフォンをそんな風に見ているユーザーはほとんどいないだろう。多くの独自技術を採用したハードウェアに、使い勝手を追求したソフトウェア。高いコストパフォーマンス、洗練されたデザイン……イメージを大きく変えた立役者の一人と言えるのが、ファーウェイだ。

スマートフォンのカメラとデザインの進化を牽引したPシリーズとは?

2014年6月に初めて独自ブランドのスマートフォンで国内SIMフリー市場へ参入した同社は、2年後の2016年にランキング上位に躍り出る。ターニングポイントとなったのは、ライカ製のダブルレンズを搭載した『HUAWEI P9』。ライカらしいエモーショナルな写真が撮れる2眼カメラとともに、スリムでスタイリッシュなデザインも注目を集めた。以降『HUAWEI P』シリーズは今日まで、スマートフォンのカメラとデザインの進化を牽引し続けている。

ご存じのようにファーウェイは現在、米国の対中国政策により苦境に立たされている。日本を含むグローバルでのスマートフォン事業は、当面かなり厳しい状況になると予想される。一方で、現在発売中の『HUAWEI P40 Pro 5G』は、独自のアプリストアを採用するなど万人受けするモデルではないものの、『HUAWEI P』シリーズの最新モデルとして、4面を曲げた有機ELディスプレイに、明るく高精細かつ、超広角から50倍ズームまでサポートする4眼カメラを搭載。AIを用いて通行人やガラスケースの写り込みを除去できる独自機能も備え、まさに最先端テクノロジーの詰まった、現時点では最高峰のひとつと言えるスマートフォンになっている。

スマホ最高峰クラスのカメラ性能を搭載する『HUAWEI P40 Pro 5G』

今回DIMEでは、歴代の『HUAWEI P』シリーズのデザインを手がけてきた、チーフデザイナーのクエンティン・ティン氏に独占インタビューを敢行。同社のブランドイメージ向上にデザインが果たした役割から、最新の『HUAWEI P40 Pro 5G』に込めた、こだわりまでを聞いた。

──ファーウェイのスマートフォンのデザインは、ライカと協業した『HUAWEI P9』を境に大きく変化したと感じています。デザインを考える上でどのような変化があったのでしょうか?

クエンティン氏:我々は独自ブランドのスマートフォンとしては後発ですが、ビジネスの発展に伴って、デザインでもっと自分たちのストーリーを伝える必要があると考えるようになりました。そのアイデアを探求する中で、ある視点の変化がありました。それはスマートフォンは単なる道具ではないということです。私自身を例にとってみても、1日に100回以上ロックを解除し、6〜7時間使用することもあります。これほど頻繁に使用する電子製品は、ほかにありません。そのことに気づいて、我々はスマートフォンを友人やパートナーのように考えるようになりました。どうすればこの道具で仕事や生活の効率を改善できるかだけでなく、その体験やフィーリング、美的センスも表現したいと考えるようになったのです。

──スマートフォンをデザインする上で、最も大切にしていることは何ですか?

クエンティン氏:その質問に答えるには、スマートフォンをデザインする際に、我々が何から始めるかを説明する必要があるでしょう。我々はもちろん、スマートフォンがより多くの便利さをもたらすように願っていますし、プレミアムであることも望んでいます。また消費者の好みを理解するためにファッショントレンドを観察し、調査も実施しています。しかし、それらはデザインを始めるスタート地点ではありません。我々はまず、消費者にどのような体験や気持ちを伝えたいかを社内で話し合います。場合によってはこうした議論が、約1か月続くこともあります。このプロセスは小説などのキャラクター形成のプロセスとも似ています。スマートフォンは単なる道具ではなく、人々の友達やパートナーになるもの。だから我々はこのキャラクター形成の課程を、とても大切にしているのです。

──現在ファーウェイには『HUAWEI P』シリーズと『HUAWEI Mate』シリーズという、2つの主力モデルがあります。 2つのキャラクターの違いを教えてください。

クエンティン氏:『HUAWEI Mate』シリーズは、テクノロジー企業としてのファーウェイを体現するシリーズです。芸術の歴史を紐解くと、そこには2種類の美学がある。ひとつは人類の科学技術の進歩と合理性に基づく美学です。『HUAWEI Mate』シリーズこのイメージに基づいて、ディープカーブディスプレイなど強力なテクノロジーによる合理化されたデザインを採用しています。一方『HUAWEI P』シリーズは、人間の本性や感性に基づくもう1つの美学をイメージしています。たとえば『HUAWEI P40 Pro 5G』で採用したシルバーフロストカラーは、デザイナーの自信の経験や感情に触発されて生まれました。どちらもファーウェイの主力シリーズですが、それらが伝えるフィーリングは異なるため、遵守する美の道も異なっています。

光の当たり方で表情を変えるシルバーフロストカラー

──デザインはファーウェイのブランドイメージの向上に大きく貢献していると思いますか?

クエンティン氏:はいそう思います。私たちの仕事は何世代にもわたる製品のデザインを通じて、ブランドイメージを豊かにすることです。 そのために個々の製品が断片化しないよう、統合的にアプローチしています。例えば『HUAWEI P20 Pro』のトワイライト、『HUAWEI P30 Pro』のブリージングクリスタル、および『HUAWEI P40 Pro 5G』のシルバーフロストが好きなら、次の新製品がもたらす新色が楽しみになるのではないでしょうか。そんな風にデザインはブランドのイメージを構築し、製品購入の際の意思決定に大きな影響を与えていると思います。

──多眼カメラや5Gなど次々と生まれる新しいテクノロジーを、どのようにデザインに統合しているのでしょうか?

クエンティン氏:実際にスマートフォンほど速いサイクルで、新しいテクノロジーを取り込んでいる製品はほかにないでしょう。新しいテクノロジーは新たなデザインの可能性ももたらします。その好例が『HUAWEI P40 Pro 5G』のクアッドカーブオーバーフローディスプレイです。

スマートフォンのディスプレイには、指が滑らかで快適にすべる手触りが求められます。私はそのような快適な触覚体験を実現したいと思ってきましたが、以前のテクノロジーではそれができませんでした。ディスプレイは10層を超える素材で構成されているため、これまでは一方向にしか曲げられなかったのです。

折り紙でイメージしてもらうとわかりやすいですが、長辺と短辺を両方曲げると角にはしわが発生します。それが10層もの素材で構成されたディスプレイとなればなおさら、角を曲げるのがいかに難しいかは言うまでもありません。それを今回、テクノロジーで実現できました。デザイナーは常にテクノロジーによる制限と可能性のトレードオフを行い、バランスをみつける必要があります。

上下左右のディスプレイを曲げたクアッドカーブオーバーフローディスプレイ

──『HUAWEI P40 Pro 5G』は約6.58インチのディスプレイを搭載しています。スマートフォンの大画面化が進む一方で、日本には小型モデルを求める声も根強くあります。スマートフォンをサイズについての考えを聞かせてください。

クエンティン氏:それはまさに、スマートフォンのデザインの矛盾でもあります。スマートフォンは手のひらに快適に収まるサイズであることが求められる一方、人々はより良い体験のためにより大きな画面を望んでいます。狭額縁なフルビューのディスプレイと、折りたたみ式スマートフォンの開発のきっかけとなったのは、まさにその矛盾です。私個人としては、スマートフォンを昔のように小さくするのではなく、新しいテクノロジーでより良いソリューションを見つけたいと思っています。

──スマートフォンのライフサイクルは短く、2年ほどで買い換えられます。このことはデザインにどのような影響を与えていますか?

クエンティン氏:実際に私たちの調査でも、多くの消費者は2年ほどでスマートフォンを買い換えています。メーカーは2年後を見据えて、機能の選択とトレードオフを行う必要があるでしょう。ファーウェイではそのためにR&Dチーム、ハードウェアチーム、ソフトウェアチームと多くの意見交換や議論を行なっています。急速に変化する業界では、日々知識を更新する必要があります。

たとえばスマートフォンは1日数時間も使用するため、5グラム重いだけでも大きな負担になります。人々がより軽いスマートフォンを必要としていることは、私たちをより多くの新しい素材や可能性を試すように駆り立てます。スマートフォンの消費者の短い買い換えサイクルは、設計者に多くの課題をもたらす一方で無数の可能性をもたらし、この業界を非常に興味深いものにしていると思います。

── フランスほか複数の国にデザインセンターを構えていることは、ファーウェイのデザインにどのような影響を与えているのでしょうか?

クエンティン氏:仰るように私たちは深セン、上海、北京、西安などの中国の主要都市のほか、日本、韓国、フランス、イギリスなどの海外にデザインセンターをグローバルに展開しています。各国のスタッフが、様々なデザインコンセプトやアイデアを日々提供し合っています。各国のデザインセンターと設計チーム間でブレーンストーミングセッションやディスカッションを行うこともよくあります。当社のグローバルデザインセンターは、さまざまな視点を取り入れ、多様な見解を奨励するために設立されました。多くのデザインは、このような異なるチーム間の協力の結果と言えます。

──最後にクエンティンさんが尊敬するデザイナーがいれば、教えてください。

クエンティン氏:尊敬しているデザイナーは何人もいます。たとえば近年、驚異的なデザインを生み出している佐藤オオキさん。彼は最小限の合理化されたデザインアプローチと言語で自分のアイデアを伝えることに優れています。もちろん、三宅一生さんのような日本の初期の世代のデザイナーも尊敬しています。