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フォルダブルの次は「ローラブル」 5G普及を後押しする大画面スマホを中国メーカーが開発中

Samsungの折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold2」が発表された。ディスプレイ表面が硬度を増し、閉じたときのアウトディスプレイが大型化されたことで使い勝手が大きく高まった。1台でスマートフォンとタブレットを兼用するフォルダブルタイプのモバイルデバイスは、Galaxy Z Fold2の登場で再び注目を集めようとしている。そしてSamsungに追い付こうと中国メーカーも新しい製品の開発に余念がない。

→Samsungが「Galaxy Z Fold2」の詳細を発表 初号機から何が変わった?
折りたたみスマートフォンではSamsungがHuaweiをリード
Samsungが2018年冬に発表した初代折りたたみスマートフォン「Galaxy Fold」を追いかけるように、Huaweiは「Mate X」を2019年2月に発表した。2020年2月にはマイナーチェンジモデル「Mate Xs」を発表しグローバル展開も行っている。しかし筆者の居住する香港でも利用しているMate XやMate Xsのユーザーを見かけることはめったにない。

 また、初代「Galaxy Fold」は関係者が40万台~50万台の販売数だったと話しており、目標だった100万台には届いていない模様。さらに世界初の折りたたみスマートフォンだったRoyoleの「FlexPai」も実売数は不明だ。このように2019年に発売された各社の第1世代の折りたたみスマートフォンは、プロトタイプあるいは実験的モデルという位置付けの製品に終わっている。

しかし3社の中で最も製品購入者数の多かったSamsungは、初代モデルの弱点をGalaxy Z Fold2できっちりと改善して完成度を高めている。閉じたときは6.23型の大画面スマートフォンとして使え、開けば7.6型のタブレット画面に3つのアプリを表示可能、さらにヒンジは自由な角度で折り曲げられるので机の上において「く」の字の形で使うことも可能だ。

HuaweiもMate Xsの後継機「Mate X2」(仮称)で、Samsungと同じディスプレイを内側に折りたたむ方式に転向し、ユーザー体験の向上を図るといわれている。しかし米国からの経済制裁を受け、スマートフォンの今後の生産の見通しが不透明な状況では、先進的な機能を搭載した製品よりも確実に売れる製品に注力する必要がある。そのためMate X2が発表されるとすれば早くてもMate Xsの発表から1年後、2021年の2月になるのではないだろうか。

なお2021年は、毎年バルセロナで開催されていたMWCが6月にリスケジュールされた代わりに、6月開催のMWC上海が時期を早めて2月に開催される予定だ。MWC上海は中国の最新の通信技術をアピールするイベントだけに、その目玉としてHuaweiが最新のスマートフォンを発表する場としてもふさわしい。

とはいえ、HuaweiのMate X2が登場する前に、SamsungのGalaxy Z Fold2が折りたたみスマートフォンに興味を持つ全世界のユーザーの目を一気にひきつけ、ニッチなその市場を寡占してしまうだろう。Huaweiにとっては「ポスト・スマホ」である折りたたみスマートフォンをいち早く市場に投入することが難しい。このままではSamsungとHuaweiの折りたたみスマートフォンの競争はSamsungが1歩も2歩もリードを広げそうだ。

山折り式のフォルダブルディスプレイの完成形「FlexPai 2」
だが、折りたたみスマートフォンを開発しているメーカーはこの2社だけではない。ヒンジ部分の折り曲げ半径が大きく、技術的なアピールにとどまったFlexPaiを出したRoyoleが、9月に後継モデル「Flex Pai 2」を発表した。Flex Pai 2はヒンジの曲げ半径を1mmとすることで閉じたときに隙間がなく完全に閉じるデザインとし、ポケットにもすっぽりと収まる薄さを実現した。また、本体は合金製として強度と高級感を高めている。

Mate XsやFlexPai 2のようにディスプレイを外側に折りたたむ構造は、1枚のディスプレイを「開くと大画面」「閉じると小さい画面」として両用できる。ヒンジ部分もディスプレイに覆われるため、そこをタッチセンサーとして使うことも可能だ。FlexPai 2はヒンジ部分にアプリのショートカットアイコンを配置し、よく使うアプリをすぐに呼び出せる。閉じたときは両面がディスプレイとなるため、ディスプレイを若干ずれるように折りたたむ構造とし、余白の部分にカメラを配置すれば、ディスプレイ上にインカメラを搭載せずに済む。

 FlexPai 2は開いた際に最大3つのアプリを起動できる新しいUI(ユーザーインタフェース)も搭載して、使い勝手を高めている。初代モデルは欠点ばかりが目立ったが、新製品では唯一懸念されるのが閉じたときの両面のディスプレイの強度くらいだろうか。FlexPai 2のフォルダブルディスプレイの実際の仕上げがどの程度なのかが気になるところだ。FlexPai 2はまず中国市場で発売されるが、Huaweiの新製品が出てこなければ。Mate XsやMate X2の潜在顧客を一気に奪うかもしれない。

ディスプレイを引き出せる「ローラブルディスプレイ」をTCLが開発中
折りたたみスマートフォンは、本来なら1枚の板であるディスプレイを曲げることから、その開発に各社が苦労している。Samsungはサムスンディスプレイから、Huaweiは中国BOEからフォルダブルディスプレイを調達している。一方、サムスンディスプレイの競合となるLGディスプレイからは、まだフォルダブルディスプレイの商用化の話は出てきていない。LGは折りたたみスマートフォンではなくディスプレイ2枚を組み合わせた「LG WING」を出すなど、ディスプレイそのものをたたむことよりも、複数のディスプレイを組み合わせたスマートフォンをしばらくは投入するようだ。

また、3つ折りタイプの折りたたみスマートフォンのコンセプトを過去に発表していたTCLは、その次のステップとしてローラブルディスプレイの実用化を進めている。2020年9月頭にドイツ・ベルリンで開催されたIFA2020のプレスカンファレンスで、TCLは次世代スマートフォン用のローラブルディスプレイのコンセプトを紹介した。

ローラブルディスプレイを搭載したスマートフォンは、本体を横に引き出すと内部に巻いて収納されていたディスプレイが伸び、タブレットスタイルになる。折りたたみスマートフォンのようにヒンジ部分を開閉する必要がなく、スマートフォンサイズとタブレットサイズの切り替えも手軽にできる。とはいえ、曲げることですら難しいディスプレイを巻き取り、さらに引き出したり収納させたりする構造は容易に開発できるものではない。

それでも、スマートフォンの使い方が今後「動画ファースト」になれば、大きい画面で動画を見たいと考えるユーザーが増えるだろうし、動画を見ながらSNSをチェックするといった具合に、複数のアプリを使うことも当たり前になっていくだろう。Androidスマートフォンは画面分割で2つのアプリを同時に使えるものの、現状のスマートフォンのディスプレイサイズでは使い勝手はいまひとつ。Samsungはアプリの上にポップアップウィンドウで別のアプリを起動できるようにするなど、複数アプリを使いやすく同時利用できるUIを開発しており、スマートフォンでも2つ、3つのアプリを同時に使うことがこれから一般化してくだろう。

折りたたみスマートフォンやローラブルディスプレイ搭載のスマートフォンなら、シングルアプリを使うのは閉じたとき、複数アプリを使うのはタブレットスタイル、という使い分けもできる。また複数アプリを表示したまま外部ディスプレイにミラーリングを行えば、簡易的なPCとしても使えるだろう。

 現状のスマートフォンでは、1つのアプリを使っている間は他のアプリが使えない。しかし複数アプリが同時に使えるようになれば、自社コンテンツとサービスを併用してもらえる機会が増える。スマートフォンのさらなる大画面化、複数アプリの同時利用はハードウェアやサービスを提供側も積極的に展開したいと考えているのだ。

 ローラブルディスプレイは実はLGも開発を進めているという。LGは既にテレビで巻き取り式ディスプレイの商用化に成功しており、今後はスマートフォンクラスの小型ディスプレイまでそのラインアップを広げようとしているのだろう。もしかするとLGは折りたたみをスキップして一気にローラブルディスプレイを商用化し、Samsungに差をつけようとしているのかもしれない。

5Gの普及が進めばコンテンツはよりリッチになり、大容量のサービスを利用しても通信回線がパンクすることもなくなる。スマートフォンサイズで大画面が利用できるフォルダブルディスプレイやローラブルディスプレイは、これからのスマートフォンの形状だけではなく、新しいアプリやサービスを生み出してくれるかもしれない。2021年にはさらに多くの折りたたみスマートフォンが登場し、5Gサービスの普及を後押しすることに期待したい。