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Apple Watch SEは「iPhone 11」的ポジションにある

アップルは9月18日より、Apple Watch SEを発売しました。40mmのGPSモデルで2万9800円からと、最上位モデルとなるApple Watch Series 6の4万2800円に比べると1万3000円も安くなります。(いずれも税抜価格)。

iPhoneで言う「SE」は価格をおさえた廉価モデルという印象ですが、Apple Watch SEの下には2017年モデルのApple Watch Series 3(38mm GPSモデルで19800円から)が控えており、2020年の段階でSEはミドルレンジモデルという形になります。

このApple Watch SEについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

●いろんな意味でリサイクル

アップルは基本的に、最上位モデル向けに機能やデザインを開発し、これを下位モデルに採用するという「リサイクル」を実施してきました。

iPhone SEはiPhone 8のボディに最新のA13 Bionicを搭載して実現しましたし、10月に登場するiPad Air(第4世代)は、iPad Pro 11インチモデルのデザインを採用しながら、カメラ、Face ID、ディスプレーの性能などをデチューンしました。

毎年新製品で新しさを作り出そうとしているアップルは、こうした廉価モデルに機能やデザインを引き継ぐことで、採算性を向上させようとしています。これが1つ目の意味でのリサイクル。

もう1つの意味のリサイクルは、アルミニウム素材。これまで航空宇宙産業のグレードのアルミニウムを採用してきましたが、今年からはiPadなどの切削で出た削りかすを再利用するリサイクルアルミニウムとなりました。耐食性も心配ないとのことです。

もっとも、Series 4からケース背面すべてがセラミックスとなり、そうした心配はより少なくなっていると思いますが。

●Apple Watch SEのポジション

Apple Watch SEを分かりやすくとらえるとすれば、こんな足し算引き算になると思います。逆に複雑さが目立ってしまったかもしれませんが。

・Apple Watch Series 4 − 心電図計 + S5 +常時計測高度計 ・Apple Watch Series 6 − 心電図計 − 血中酸素ウェルネスアプリ − S6 − アルミニウム以外のケース − 常時点灯ディスプレー

Series 4から採用された大型化されたケースと縁なしディスプレー、LTPO OLEDというテクノロジーは同じです。ここは、併売されるSeries 3とは、デザインからして明確に異なるポイントとなります。

しかしSeries 5以降対応している常時点灯はサポートしません。にも関わらずジャイロを改良したS5を採用しており、高度を常時計測してコンプリケーションズに表示したり、ワークアウトに活用したりすることができます。

それならApple Watch Series 4を併売すれば良かったんじゃないか、と思えなくもないのですが、高度計を実装しようとしている点から、マーケティング的に、搭載する機能を細かく調整しているのではないか、と思いました。

●マーケティング的には、「若者」狙い

Apple Watch SEとApple Watch Series 6の違いとして大きいのが、心臓に関わる機能です。ここが、Apple Watch SEをマーケティング的な視点で見たときのターゲットを明確化する部分です。

心拍計はApple Watchにおけるワークアウト計測の基本となっていることから、SEにも従来通りのものが搭載されます。しかし心電図、血中酸素飽和度の計測には対応しません。その点で、健康目的を重視してApple Watchを選ぶ年齢層ではないターゲットを強化しようという狙いが透けます。

米国では、心疾患が死因の第1位で23.1%。ちなみに2位はガンで20%です。新型コロナウイルスが拡大している2020年は、死因でガンを上回る見通しですが、アップルとしては死因第1位の心疾患の早期発見や、緊急時の通報手段を確保する事によって「命を救うデバイス」「健康を守るデバイス」という成果を早く挙げたいところでしょう。

もちろん20代も心疾患と無縁ではありませんし、すべての若者が自分の心臓の様子に興味を持たないとは言いません。しかしそういう機能はいらないから最新デザインのApple Watchをできるだけ安く手に入れたい、というニーズに応えられていなかったことも事実です。

そこでApple Watch SEは、心臓に関する2つの健康機能と常時点灯ディスプレーを削り、価格を3割ほどおさえた製品という形で登場しました。最も価格をおさえて併売中のSeries 3は、2017年までの旧デザイン。Apple Watch SEがSeries 4以降採用された新デザインであることもまた、若者をターゲットにする意味では絶対外せない条件だった、と考えられます。

●SEが下位モデルになる未来

Apple Watch SEの登場で、スマートウォッチ製品についても、アップルの三段構えのラインアップが完成しました。主力製品の中で、最後にこうしたラインアップを整えた製品であります。というのも、Macはもとより、iPhone、iPadでは、派生モデルもありながら、基本的には三段構えで製品が選択できる仕組みになっていたからです。

iPhoneでは、iPhone SE、iPhone 11、iPhone 11 Proという3つのモデルを用意しており、iPhone 11が価格と魅力のバランスが最も良い製品となります。現状、そのポジションをApple Watch SEで埋めた形となります。

製品ごとのラインアップの考え方があって良いと思いますし、そのブランド名とポジションに齟齬があってもあまり問題はないと思います。ただ、iPhone SE(初代)は2016年から3年間販売されてきたこと、またApple Watch Series 3もすでに3シーズン目の販売になっていることを考えると、2020年に登場したApple Watch SEも、向こう3年は販売が続いていくことになるのではないか、と思います。

たとえば来年になると、Apple Watch Series 3の販売が終わり、Apple Watch SEに置き換えられることになるのではないでしょうか。そこで100ドル値下げされ、現在のApple Watch Series 3と同じエントリーモデルの価格に落ち着くのか、あるいは50ドルの値下げに留めるのかは、判断が分かれるところでしょう。

ミドルレンジモデルと最上位モデルについては考え方が分かれるポイントです。たとえばSeries 6をミドルレンジモデルに位置づけて、テクノロジーやデザインを大きく向上させたSeries 7が登場するシナリオは、もっとも期待するポイントとなります。