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フルモデルチェンジを遂げた「iPad Air(第4世代)」を試す Proをしのぐ性能でコスパは十分

iPhone 12、12 Proの発売に沸くモバイル業界だが、もう1つのApple製品も、10月23日に登場した。iPadの最新モデルとなる第4世代の「iPad Air」だ。もともとiPad Airは、iPadの薄型・軽量版として、2013年に発売されたモデル。翌年発売になった第2世代のiPad Airを最後に、いったんはシリーズからその名が消えていたが、2019年に復活。ProラインではないiPadの最上位モデルとして、その位置付けを新たにした。

 第3世代iPad Airは、薄くて軽いというより、iPad Proの入り口になるような製品だった。第1世代のApple Pencilに対応した他、第1世代の10.5型iPad Pro用に開発されたSmart Keyboardも、そのまま使い回すことができる。一方で、Proシリーズとは異なり、ホームボタンは残され、Face IDの採用も見送られている。形状は、無印のiPadやiPad miniに近い。

そんなiPad Airが第4世代になり、大きなリニューアルを遂げた。本体からはホームボタンがなくなり、Touch IDはトップボタンに統合。Face IDには非対応ながら、フルディスプレイを採用したiPad Proのアクセサリーを使い、手書きやキーボード入力も行える。プロセッサも、iPhone 12シリーズと共通の「A14 Bionic」だ。まさにフルモデルチェンジを遂げたiPad Airだが、実際の使い勝手はどうか。本連載で、実機レビューをお届けしていきたい。

“プロっぽさ”が増したデザイン、カラーリングも落ち着いた仕上がりに
大きく変わったのが、デザインだ。第3世代までのiPad Airは、初代から踏襲してきたホームボタンを搭載していたが、第4世代になって、iPad Proのように、前面はディスプレイと、その周りのベゼルだけになった。映像を見るためのデバイスとして、これはプラスだ。相対的にベゼルが目に入りづらくなるからだ。ただし、サイズの近い11型のiPad Proと比べると、ベゼル幅はやや太くなっている。高さと幅は11型のiPad Proと同じだが、ディスプレイが10.9型のため、その差分と見ていいだろう。

Proシリーズは、クリエイターの業務フローに取り入れることを想定しているためか、背面はスペースグレイとシルバーの2色でカラーバリエーションとしては無難にまとめられていたが、iPad Airはシリーズ最多となる5色展開。スカイブルーやグリーンといった、これまでのiPadにはなかったカラーリングも取り入れられ、遊び心のある仕上がりになっている。

とはいえ、彩色された背面はそこまで派手な色合いではなく、アルミニウムの金属感を生かしたもの。薄いカラーリングのため、仕事道具ともマッチする違和感のない仕上がりだ。光の当たり方によってはグレーに見えることもあり、落ち着いた印象を受ける。背面に搭載されたカメラはシングルカメラで、3月に発売されたiPad Proのように、超広角カメラやLiDARは利用できないものの、デザインの観点で見ればシンプルにまとまっている。

重量は試用したWi-Fiモデルが458g。筆者は普段、第1世代の11型iPad Proを利用しているため、10gほど軽くなる。ただ、これをもって“軽さのAir”とうたえるほどになったとは言いがたい。このサイズ感だと、10g程度の違いを判別するのは難しく、持ったときの印象はiPad Proに近い。スペックは大きく上がったが、サイズなりの重さがあることは念頭に置いておいた方がいいだろう。

初のトップボタン統合型Touch IDを搭載、Face IDと使い勝手はどう違う?
形状はiPad Proに近づいたが、Face IDではなく、Touch IDが搭載されているのは大きな違いだ。ただし、このTouch IDは従来のようにホームボタンに組み込まれているのではなく、ディスプレイのオン、オフを行うためのトップボタンに統合されている。そのため、このボタンはiPad Proよりサイズが大きい。指紋の読み取り精度は高く、ロック解除も素早く行える。iPad Airは縦と横、両方で使う機会が多いため、それぞれでタッチしやすい指を登録しておきたい。これは、縦持ちが中心のiPhoneや、正面に搭載されていたホームボタンとの差といえる。

iPadのディスプレイを点灯させる方法はいくつかあるが、Touch IDで指紋を認証して、そのまま使い始めるためにはトップボタンを押す必要がある。Face IDの場合、真っ暗になった画面をタップすればそのままユーザーの認証が行われるが、Touch IDのiPad Airの場合は、画面が点灯した後、さらに登録した指をトップボタンに当てる必要がある。この点ではFace IDより柔軟性がないため、画面のつけ方から意識して変えていく必要がありそうだ。

Magic Keyboardなどのキーボードを装着して使う場合が、少々厄介だ。Face IDなら、キーボードのキーを押すだけで画面が点灯し、そのまま自動的に顔が読み取られてロックが外れるが、Touch IDの場合はいったんキーボードから左手を離して指を当てなければならない。キーボードでパスコードを入力してしまうという手もあるが、自動的に認証が行われていたFace IDと比べると、ひと手間増える印象だ。

とはいえ、縦にしてiPadを持って、Webや電子書籍などのビュワーとして使う場合、Face IDでの認証は少々失敗しやすかった。顔とディスプレイが近づきすぎてしまうためで、iPhone以上に適切な距離感を取るのが難しい。逆に言えば、Touch IDはトップボタンに指を当てて押し込むだけでいいので、失敗は少なくなる。コロナ禍でマスクを着用する機会が増えているが、この場合もFace IDは機能しなくなるため、使い勝手はTouch IDに軍配が上がる。良しあし両面あるため、次期iPhoneやiPad Proでは、両方に対応することを期待したい。

パフォーマンスはPro顔負け、iPad Airは2つのシリーズの隙間を埋める
ただし、パフォーマンスはPro顔負けだ。第3世代のiPad Airとは異なり、プロセッサは最新のiPhoneにそろえられており、動きは非常にスムーズ。4K動画の編集や、Lightroomを使っての写真の現像なども、ストレスなく行えた。A14 Bionicということは、iPhone 12シリーズ用に最適化されたゲームなども問題なく動く。3月に発売されたiPad Proは、A12 BionicをiPad向けにチューニングした「A12Z Bionic」を搭載していたが、A14 Bionicは、型番として2年分進化したことになる。そのため、処理能力は非常に高い。

上記は、iPad AirでGeekbench 5を使って取ったスコアになる。CPUはシングルコアスコアが1578、マルチコアスコアが4227で、GPUの性能を示すMetalスコアは1万2000を超えた。先にiPhone 12、12 Proをレビューした際にも、Geekbench 5でのスコアを掲載しているが、CPUのスコアはほぼ同じ。これに対し、GPUのスコアは目に見えてiPad Airの方が数値は高くなっている。差が出た理由は不明だが、同じ型番でも、iPad Air向けに何らかのカスタマイズが加えられているのかもしれない。

 1ついえるのは、プロセッサのパフォーマンスは現行のiPad Proと同等か、それ以上だということ。シングルコアスコアはほぼ同じ、マルチコアスコアはiPad Proの方がやや数値が高いものの、GPUについては大きく上回っている。iPad Airは、無印とProに分けた場合、前者のカテゴリーに入るタブレットだが、性能面ではPro以上にプロ向けの部分がある。Airと言いつつも、パワーは重量級なのだ。

もちろん、Magic Keyboardを使えばPCのようにタイピングができるし、トラックパッドを使った操作にも対応する。Apple Pencilも第2世代に対応しており、ペアリングや充電はiPad Air本体の側面にあるポートにマグネットで装着するだけと簡単だ。ディスプレイのリフレッシュレートは120HzのiPad Proとは異なり、60Hzに抑えられているものの、少なくともApple Pencilの書き心地には大きな影響がないように感じられた。高速でスクロールさせると残像感に違いはあるが、使い勝手がガラッと変わってしまうわけではない。

こうした点を踏まえると、6万2800円(税別)からというiPad Airの価格は非常にリーズナブルだ。最小構成同士の比較だと、11型iPad Proより2万2000円も安く、手を出しやすい。筆者のように、第1世代の11型iPad Proを利用しているユーザーにとっての買い替え先にもなりそうだ。ただし、ストレージの容量構成がいただけない。最小構成は64GBで、1つ容量を上げると256GBになってしまい、価格が高くなる。中間の128GBがないのは残念だ。特にiPadの場合、写真や動画の加工を本格的にこなそうと思うと、64GBは容量不足になりがちだ。

LiDARやデュアルカメラを搭載したiPad Proは、確かにAR用のツールとしては魅力的だが、キーボードで文字を入力したり、Apple Pencilで絵を描いたりといったことが目的だと、少々オーバースペック。かと言って、無印のiPadやiPad miniでは物足りない……第4世代のiPad Airは、そんな相反するニーズを上手に満たしたタブレットだ。2つのシリーズを橋渡しする存在として、ロングセラーになりそうな予感もする。