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iPhone 12で撮影・編集ができるようになった「Dolby Vision HDR」っていったいどういうもの?

いち早くiPhone 12とiPhone 12 Proを手にしたニューヨーク在住YouTuberの大石結花さんが、iPhone 12シリーズで導入された「Dolby Vision HDR」について解説します。

 「iPhone 12」シリーズ全4機種で「Dolby Vision HDR」の撮影だけでなく、編集、閲覧することができるようになりました。

Dolby Vision HDR とは?
HDR(High Dynamic Range)とは、従来のSDR(Standard Dynamic Range)に比べ、表現できる色の幅が広がり、人間の目で見た映像に近づけられる映像技術です。ダイナミックレンジが広いと、「白飛び」「黒つぶれ」を抑え、明部にも暗部にもディテールを残し表現が可能になります。

Dolby Vision HDRはHDRの規格の1つで、米Dolby Laboratoriesがライセンスしています。HDR規格の1つである「HDR10」が色深度10bitまでなのに対して、Dolby Vision HDRは12bitまで対応し、より多くの色数に対応できます。iPhone 12シリーズでは、4Kで10bitのDolby Vison HDRが撮影可能で、搭載しているSuper Retina XDRディスプレイは1200ニト(カンデラ/平方メートル)までの明るさで表示できます。

Dolby Vision HDRで撮るならiPhone 12しかない
Dolby Vision HDRを再生できるデバイスは、米Appleだけでなく他社のスマートフォンでも発売されてきました。iPhoneでは、iPhone 11、iPhone 11 Pro、iPhone X、iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XRがDolby Vision HDR再生に対応しています。しかし、Dolby Vision HDRをそのまま撮影できるカメラは、スマートフォンというくくりをなくしても、現時点ではiPhone 12シリーズ以外存在しません。

 従来、Dolby Vision HDRを撮影する場合、撮影した後に編集する作業(ポストプロダクション)で変換したり、メタデータを追加することによって実現していました。10bitで撮影できるカメラでは、Log形式で撮影したものを、ポストプロダクションでカラーコレクションやカラーグレーディングすることで色味を戻す必要があります。iPhone 12で撮影したクリップをカラースコープで見てみると、カラーコレクションが必要ないほど色の配分が暗部から明部まで広がっていることに驚きました。これは、1フレームごとに場面を分析し、カラーヒストグラムを作り、リアルタイムで自動グレーディングすることで実現しています。

 Dolby Vision HDRコンテンツは、フレームごとにメタデータを含んでおり、各フレームを表示されるディスプレイによってどのように表現するのがベストかを伝達できます。このようなメタデータはHDR10には含まれません。

 このような膨大なメタデータを扱うだけでなく、撮影し、リアルタイムでディスプレイに表示し、保存することを可能にしているのがA14 Bionicチップのパワーです。iPhone 12と12 miniでは秒間30フレーム、iPhone 12 ProとPro Maxでは秒間60フレームまで撮影できます。それだけでなく、当然ながらiPhoneとしてiOSを走らせ、他のタスクがバックグラウンドで走っている状況でもこのパワーを発揮できるということが、iPhone 12シリーズの驚くべきポイントです。HDRを扱うときの注意点
HDR規格がまだまだ発展途上であるため、筆者が動画クリエイターとしてiPhone 12シリーズで撮影したDolby Vision HDR動画を扱う際にいろいろと苦労したことも事実です。先ほど述べた通り、Dolby Vision HDRという規格自体は数年前から存在していたものの、映画クルーではない一般の人がこのような手軽さで扱えるようになったのはiPhone 12が発売されてからです。

 iPhoneで撮影し、iPhoneで編集し、iPhoneやApple TV 4Kで閲覧するだけであれば、Dolby Vision HDRに関する知識がなくても、困ることはありません。iPhone上では写真アプリでクリップごとの調整、最新版のiMovieとClipsを使えば簡単にクリップを分割したりつなげたりする編集を施し、Dolby Vision HDR対応の動画を書き出すことができます。

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しかし、もう一歩踏み込みPCで編集したいなどという場合は、複雑さが一気にアップします。まず第一関門は、iPhoneからMacなどに撮影した動画をAirDropする場合、「設定>写真>MACまたはPCに転送」という項目を「自動」ではなく「元のフォーマットのまま」にチェックが入っていることを確認します。「自動」になっているとビットレートの低いものが送られてしまいます。

次に、編集・書き出しを「Final Cut Pro X」で行いたい場合は、次のアップデートを待つ必要があります。また、カラースペースをHDR対応のRec.2020に設定したり、書き出しの際にクオリティーが失われないように正しいコーデックを選択したりするなど、ある程度の知識が必要です。

 YouTubeなどにHDR対応動画としてアップロードしたい場合は、HDR10対応で書き出す必要があります。多くのSNSでは、まだHDR動画に対応していないため、そのままアップロードすると白飛びしたように表示されてしまう現象も起こっています。SNSクリエイターにとってはいろいろと気を付けなければならないことも多いのが現状です。

気軽にHDRを楽しめる最高の体験
クリエイターとしての苦悩はさておき、ほとんどのiPhone 12ユーザーは、大げさな編集をすることなく、ホームビデオのような撮影をするのではないかと思います。Log撮影ができる高級ミラーレス、デジタル一眼や、それを編集できる強力なマシンやスキルを持っていなくても、いつもポケットに入っているiPhoneでDolby Vsion HDRで思い出を残しておくと、未来の自分に感謝されそうです。