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アップル「M1版MacBook Pro」と、その先にあるもの

アップルのM1搭載版13インチMacBook Proは、Thunderbolt/USB 4を2ポート搭載して登場しました。つまりは、TDP15W、13インチMacBook Pro下位モデルのリプレイスと位置づけることができます。

しかしM1版は、MacBook Air同様、数十%の性能向上ではなく、パフォーマンスはCPU2.8倍、グラフィックス5倍。外部GPUには対応しないようですが、どうやらシステムとしては認識している模様。13インチモデルのキャラクターを考えると、存分にパフォーマンスを向上させた存在と見ることができます。

ちなみに、13インチMacBook Pro下位モデルのリプレイスであることを、あらためて確認しておきます。

MacBook Proには13インチモデルにも、Intelチップ時代からTDP 15Wと28Wが存在し、16インチモデルは45Wを採用しています。ちなみに同じくM1チップに置き換えられるMacBook Airは、TDP 10Wでの設計となっています。これらの違いは、プロセッサの性能と熱設計が関係しているからです。

一般的に、熱設計に余裕があるほど、プロセッサに負荷をかけても熱を逃すことで処理性能を高めることができます。実際、A14 Bionicと、その派生と考えられるM1チップを比べると、前者が3.0GHz前後で動作しているのに対し、後者は3.2GHzで、より高速に動作していることが分かります。iPhoneやiPadのA14 Bionicよりも、コア数だけでなく、使う電力からして、M1の方が高速となります。

さらに、M1を搭載するボディによっても変わってきます。ちょうど冬のシーズンに入ったので少しわかりにくい部分もありますが、ボディの排熱機構の違いも性能の違いにあらわれます。MacBook Airはファンレス設計、MacBook Proにはアクティブクーリングシステムが搭載されたファンがある設計で、後者の方がより高い負荷をかけた状態を維持できます。

今までは、想定される熱設計をねらったIntelチップを、各マシンが選択する形で実装してきました。しかしアップルはM1チップに対し、GPUのコア数、内蔵統合メモリの容量以外の差をつけませんでした。これは、iPhoneが各モデルで同じAシリーズチップを搭載しているのと同じような思想です。

しかし、同じM1チップでもボディの熱設計の違いで、最大パフォーマンスに差がついています。Intelチップは世代、コア数、クロック数の違いに気づかわなければなりませんでしたが、M1は同じチップで、実装するボディで性能が変わるだけになり、Mac選びが極めてシンプルになったのです。

●Big Surで開発者の移行は迅速

ここで、M1搭載Macとともにバージョンアップが11月12日(米国時間)と発表されたmacOS 11.0 Big Surの存在があります。

Intel MacとM1 Macでは、プロセッサやメモリなど、多岐にわたって違いがあります。Big Surはこの違いを吸収する役割を果たすことで、アーキテクチャの移行をこれまでになくスムーズにこなそうとしています。

M1はAシリーズと同じように、性能コアと効率コアがそれぞれ4つずつ搭載される非対称のマルチコアプロセッサとなっています。一方、元々採用していたIntelチップは複数のコアとハイパースレッディングによって、同じコアで構成された対称型マルチコアプロセッシングを行なっていました。

そうした違いがあっても、パフォーマンス管理を最適化する役割を果たすのがBig Surです。加えて、M1には、GPUだけでなく、16コアのニューラルエンジン、機械学習処理アクセラレータ、HDRアクセラレータなど、様々な専用エンジンが搭載されており、これらへの処理の振り分けも担当するシステムになっています。

結果、アプリ開発者やユーザーは、思ったほどの移行コストをApple Siliconに払わなくて良いことになりました。加えてPhotoshopやOfficeなどの主要Intel向けアプリもRosetta2でコードが翻訳され、M1搭載Macで問題なく動作しています。

しかも、PhotoshopもOfficeも既にApple Siliconでネイティブ動作するベータ版を公開しており、GoogleもChromeブラウザのApple Silicon版を既に用意しました。思った以上に開発者側の意向は素早く進んでいる印象ですね。

●残されたIntelモデルと次のApple Silicon Mac

アップルはMacBook AirこそすべてをM1チップに統一しましたが、MacBook Pro 13インチ、Mac miniには、Intelモデルを残しました。

M1チップの方が性能が高く、安いのですが、それでもWindows起動などのソフトウェアの互換性や、Thunderbolt/USBポートの数、より高いパフォーマンスへのニーズなどから、当面存在しうる旧モデルを選択したいというニーズに応える意味もありそうです。もっとも先述の通り、アプリに関しては急速に移行が進みそうです。

モデルごとにもう少し細かく見ると、同じ13インチMacBook Proでも、先述の通りハイパフォーマンスモデルは、まだM1搭載へとモデルチェンジしていません。またiMacは21.5インチ、27インチの両モデルとも、Apple Silicon搭載モデルはアナウンスされませんでした。そう考えると、Thunderboltが4ポートあるモデルは、まだモデルチェンジを迎えていないわけです。

そうなると、次なるApple SiliconのターゲットはMacBook Pro 13インチの上位モデル、MacBook Pro 16インチ、Mac mini上位モデル、iMac 21.5インチモデルになっていくのではないか、と思います。そして現在のM1チップではなく、より高性能なチップが用意されるのではないかという予測もできます。

M1チップは、もしiPadに搭載されるなら、A14X Bionicと名乗るような仕様でした。CPU、GPUのコアを増やす点もA12に対してA12XやA12Zが採っていたアプローチと同様です。ただ、M1は統合メモリなどの違いも存在していますが。

そう考えるとM1チップをさらに強化する「M1X」のような存在が出てくるのか、あるいは次のA15をベースとした「M2チップ」として登場するのかは、注目すべき点だと思います。

後者の場合、元となるA15は引き続きiPhoneを前提に作られるはずで、それを拡張したからといって無闇にコア数が大きく増えたり、アーキテクチャが根本的に変わるとも考えにくい。そして登場タイミングは次の秋になってしまうでしょうから、ここから1年間、新しいApple Silicon Macが出てこないというのは、マーケティング的にも勢いを削ぐ空白になってしまいそうです。

その点で、性能やコア数などを向上させる「M1X」のような製品の方が、可能性が高いのではないか、とも思いました。ただ、マーケティングというキーワードを出してしまったので、M1XよりM2の方が違いを理解してもらいやすいと言うことであれば、中身はどうであれM2という名前を選ぶこともあると思います。果たして……。

余談ですが、21.5インチ、4Kディスプレイを搭載するiMacの下位モデルは、M1搭載で生まれ変わっても良かったのではないか、と思う節もあります。パフォーマンスを考えても、そしておそらく10万円前後という価格に設定できそうな点も含めて、iMac 21.5インチはありだったのではないか、と思うのです。

しかしその選択肢をとらず、レガシーな仕様を引き続き採用し続けている点は、特に大量導入の教育機関向けや、とにかく安いオールインワンMacが欲しいというステイホーム需要もありますが、8年経った現在のデザインを刷新するタイミングが近いことを示唆しているのではないか、とも思いました。