話題の4Kプロジェクターを試す
Ankerの「Nebula Cosmos Max」はおよそ幅25×奥行き35×高さ10cm、重量およそ3.6kgと、同クラスの中では、ややコンパクトな設計ながら、4K(3840×2160ドット)/最大150インチでの出力に対応するプロジェクターだ。さらに、光源にLEDランプを採用し、1500ANSIルーメンの明るさ、30000時間の長寿命設計を実現している。
また、Android TV 9.0を内蔵し、Amazon Prime Video、YouTube、huluほかVODサービスにアクセスし、単体で動画を再生できる特徴を持つ。Wi-Fi(2.4/5GHz対応)環境さえ用意できれば、PCや再生専用機と接続する必要もなく、特にエンターテインメント目的ではかなり扱いやすい製品なのだ。
Nebula Cosmos Maxは3月までの期間限定で、クラウドファンディングサイトのMakuakeで先行販売されていたが、結果は金額にして1億1665万円、人数にして1166人もの支援を集め、プロジェクトは大盛況に終わった。
面倒な設定はなし。使い方は本当にカンタン!
電源を入れると、赤いNebulaのロゴと「Cosmos」にちなんだ宇宙の模様が浮かび上がる。星が瞬くように明滅するのがきれいだ
さっそく使ってみよう。本体に有線接続する必要があるのは、電源アダプターのみ。操作は主にリモコンで行なうが、背面に電源ボタンを搭載し、電源のオン/オフ、フリーズなどが発生した場合の強制終了が可能だ。
リモコンのボタンは、電源、オートフォーカス、Google アシスタント呼び出し、カーソル移動と決定、戻る、ホーム、設定、ボリュームの増/減と非常にシンプル。デジタル機器に慣れている方なら、説明書を見なくても操作ができるはず。操作感は、テレビに接続するタイプの小型のVODデバイスなどと近い。
自動垂直補正機能が付いているため、スクリーンに対して斜めに本体を置いても、勝手に垂直をとってくれる。また、リモコンのオートフォーカスボタンを押すだけで、素早くピントが合う。
プロジェクターを使ったことのある方なら、こうした設定が非常に面倒なことを知っているはず。自宅利用の場合は、一度設置すれば中々動かさないとは思うが、プロジェクターは、ちょっとぶつかっただけでピントや水平がずれてしまう。
Nebula Cosmos Maxなら、面倒な設定がほとんど自動化されているので、使いたいときだけ取り出したり、違う部屋で使ったりすることも容易だ。
オートフォーカス機能を使うと、一度じわっとにじんでから、ピントが合う
特にオートフォーカス機能は動作が素早く、精度もかなり高い。10回程度場所をずらしてオートフォーカスボタンを押してみたが、一度もピント合わせに失敗しなかった。
Android TV 9.0のUIはわかりやすく、左側にサービスのアイコン、右側に、選択中のサービスで視聴できる動画が一覧表示される。著作権の都合上、ぼかしを入れなければならないのが残念だが、非常にくっきりとしている
解像度が4Kなだけあり、近くに寄っても映像がくっきりとしている。字幕も読みやすいだろう。
設置が完了したら、Wi-Fiスポットに接続し、任意のVODサービスを立ち上げよう。ちなみに、Wi-Fiスポットへの接続も非常にわかりやすかった。メニューの1階層目にWi-Fiのアイコンがあるので、選択すると、接続可能なWi-Fiスポットが一覧表示される。
Wi-Fi接続も非常に簡単。自動でサーチしてくれるWi-Fiスポットを選択し、パスワードを入力するだけだ。タブレットや、TV接続型のVOD視聴用デバイスに近い
パスワードを入力するだけで、接続が完了。以降は自動で接続される。Androidタブレットなどと同じだ。
このクッキリ感、ぜひ体験してほしい
こちらもぼかしを入れる必要があるのは残念なくらい、非常にくっきりしている
著作権の都合上、ぼかしを入れているが、映像はとてもシャープで、4Kテレビなどに近い見え方だ。
輪郭がクッキリしているだけでなく、色味もややビビッドに感じる。テレビで言えば「ダイナミックモード」「ビビッドモード」などと名付けられている、コントラストをはっきり付けて、彩度を上げたような映りだ。
テレビだと、こうした設定はときに目にキツかったりするのだが、プロジェクターは光源を直接見ているのでなく、投写映像された映像を見ているので、このくらい彩度が高くても、不自然だったり、目が疲れたりすることはない。もちろん、デフォルトの色味が好みに合わなければ、調整することも可能だ。
黒バックにブルーなど、光源の品質が悪いと、白ボケたように写ってしまう表現もキッチリと再現している。上の写真では、明度や光が当たる角度が異なる、複数の黒がしっかりと描き分けられていることに注目してほしい。
また音質面では、本体に4つのスピーカーを内蔵。「Dolby Digital Plus」と「Sound Dimension」の2つのサウンドテクノロジーに対応し、映像に5.1chの音源が記録されている場合でも、ソースを活かした立体感や臨場感のある音の再現が可能になる。
実際に聴いた印象として、ホームシアターシステムなどと比較すれば、音の拡がりなどに少々の物足りなさはあるが、プロジェクター単体から出ている音としては、必要十分な迫力が実現されていると思う。
今回は60〜120インチ程度での試用となったが、本機は最大で150インチまでの投影に対応している。プロジェクターから投写面までの距離は、150インチで3.98m、120インチで3.18m、100インチで2.66m、80インチで2.13m、60インチで1.6mほど。ワンルームで30平米ほどの間取りでも、設置を工夫すれば、60インチから80インチ程度で投影できるだろう。
ちなみに、150インチは、およそ幅3メートル、高さ2.2メートルほどとなり、よほど広い家でない限り、日本の家屋では最大級と思われるサイズ感である。
家電量販店で見て、ほどよいと感じたサイズのテレビを、自宅に運び入れてみたら、意外に大きかったと言う経験はないだろうか?
この幅3メートル、高さ2.2メートルというサイズは、一般的な日本家屋に入れると、ものすごく大きく感じる人が多いと思う。特に、都心部の単身者向け物件や、2人暮らし向け物件の間取りに対しては、十分すぎるほど大きい。シアタールームが設置されているような一軒家にも、対応できる性能と言えるだろう。
自宅でプロジェクターを使うと、テレビとはひと味違った、映画館で映画を見ているような雰囲気を味わえる。個人でエンターテインメント目的でプロジェクターを購入する理由の多くは、そこにあるだろう。しかしNebula Cosmos Maxを使った場合、「雰囲気」といったものは超えており、家庭向けとは思えないクオリティーの映像が得られることになる。
エンタメ用途の自宅用プロジェクターとして いま一番オススメしたい製品
設定や操作はすごくカンタンなのに、自宅をミニシアターに変えてしまうほどのハイレベルな視聴体験を実現できる、このギャップがNebula Cosmos Maxの一番の特徴だろう。
11月20日から一般販売が開始されているが、実売価格は17万9980円と、スペックに対して、値頃感のある価格設定だ。ハイクオリティーな映像を楽しめるプロジェクターを探しているなら、イチオシの製品だ。
2020-11-30 19:37:38