最近のゲーミングディスプレーは、ウルトラワイドでかつ湾曲タイプが好まれている。特にFPS系やレーシング系をプレイしようとしたとき、上下方向に広いよりは左右に広がっていたほうが、情報量としてはありがたい。さらに、画面が湾曲になっていることで、ディスプレーに近づいてプレイすれば、包み込まれるような感覚になり没入感もアップ。ゲームに没頭しやすい環境が構築できる。
そんな湾曲型ウルトラワイドディスプレーといえば、エムエスアイコンピュータージャパン(MSI)の「Optix MAG341CQ」が昨年人気を博したが、その後継モデルとして「Optix MAG342CQRV」が登場。いろいろと改良が加えられており、より使い勝手のいい製品に仕上がっている。今回は、本製品をチェックしていきたい。
高さ調整ができるようになり、使い勝手が向上
34型「Optix MAG342CQRV」。UWQHD解像度で正面から見ても湾曲しているのがわかる
まずは外観から見ていこう。34型湾曲VAパネルを採用しUWQHD(3440×1440ドット)の解像度という点では、以前のモデルと変わらないが、湾曲率が1800Rから1500R(半径1500mmの円周と同じカーブ)へとアップ。より包み込まれるように改善されている。
しかも、ベゼルは上と左右がスリム化され、左右3台並べて設置した場合は、境目がより目立たなくなっている。また、スタンドも改良されていて、「くの字」で机上にベタッと張り付くような脚ではなく、3つの脚でしっかり踏ん張るようなデザインになり、見た目がかなり美しくなっている。これなら、キーボードやマウスのケーブルを中央から通しやすいし、設置するときも微調整が非常にしやすく感じた。
そして、チルトやスイベルの調整だけでなく上下の高さも調整できるようになっている。やはり最適なポジションはプレイスタイルによって変わってくるはずなので、高さ調整ができるようになったことは大きい。
高さがいちばん上の状態(左)と下の状態(右)。90mmの調整幅があり、プレイや作業のスタイルに合わせた最適な調整が可能となっている
スイベルは、左右30度。台座を動かさずに向きを変えられるのは便利
さらに、VESA75にも対応したことで、ディスプレーアームを使用しているユーザーでも利用できるようになっている。
ゲーミングディスプレーによくある、LEDイルミネーションも搭載。OSD上で光り方やカラーの変更が可能だ。
設置時に台座と本体を連結させるが、ちょうどその丸い部分の周囲が光る。背面にもこだわるのはゲーミングディスプレーならでは
リフレッシュレートは100Hzで応答速度は1ms(MPRT)。残像感の少ないクリアな映像でプレイできる。そのほか、アンチフリッカー機能により、チラつきを抑え長時間の使用でも披露を低減。ブルーライト軽減機能も合わせて使えば、より効果が増すだろう。また、Adaptive-Syncにも対応。対応するグラボと組み合わせれば、カクつきやティアリングを抑制してくれる。
OSDメニューは、画面右下に4つのボタンを用意。いちばん左がメニューのオン/オフ、いちばんん右が選択、のこりが項目移動になっているOSDメニューの画面は、単純な項目の羅列ではなく、しっかりデザインされたものを採用
また、ナイトビジョン機能により、暗いシーンでも敵の動きを把握しやすくするよう、明るく補正できる。FPSゲームなどでは、かなり有効となるはずだ。
左がナイトビジョン機能をオフ、右がオン(AI)にした状態。背後に映るゲーム画面でも、影の濃淡が浅くなり、シワなどが見やすくなっている。暗部を視認しやすくすることで、暗闇のシーンでも敵を察知しやすくなる
インターフェースは、HDMI 1.4×1、HDMI 2.0×1、DisplayPort 1.2×1と3入力に対応。ヘッドホン端子も備えている。100Hz駆動で利用したい場合は、HDMI 2.0かDisplayPort 1.2へ接続する必要がある。
インンターフェースは、3つの入力系統を用意。電源は65WのACアダプターを接続する
左右に広く包み込まれる感覚は1度使うと元に戻れないかも
実際に本製品でゲームをプレイしてみたが、FPSの場合は視線をあまり動かさなくても左右が視界に収まっている位置に置いてプレイすると、周囲を把握しやすいうえに、没入感も高まる。また、レースゲームの場合は、少し画面に近づいてプレイすると、実際に運転しているような感覚になるので、よりリアル感が増してくる。
ユービーアイソフト「レインボーシックス シージ」の画面。左が4K解像度、右が本製品で、明らかに左右の視野が広くなっていて敵の存在もわかる
通常の60Hz駆動のディスプレーに比べると、素人目にも滑らかさが増していることがわかるので、100fps以上でプレイできるグラボとゲームを組み合わせれば、ライトゲーマーでもFPSやレースゲームといった動き重視のものはプレイしやすくなるはずだ。
ゲームでもきちんとディスプレーの設定をしよう。そうしないとアスペクト比がおかしな画像になる。画面は「レインボーシックス シージ」の設定画面
OSDメニューは、単純な表形式のタイプではなく、ゲーミングに合わせたデザインを採用。「ゲームモード」としてゲームの特性に合わせたプリセットが用意されていて、色味やコントラスト、シャープさなどが調整される。プレイするゲームにあわせて選択したい。
もちろん、ゲーム以外の用途としてもこのディスプレーは活用できる。21:9という横長な解像度を活かして、ウインドウを並べて作業できるのが強み。ゲーミングディスプレーと謳ってはいるが、実はビジネス用途としても本製品は利用価値が高い。
ただし、ゲーム以外の用途の場合は、表示のモードを切り替えないと、ザラついた絵柄だったり、コントラストが浅くなってしまったりして、かえって作業しづらくなるため、ゲームモードで「ユーザー」にすると「プロフェッショナル」設定が優先される。ワンボタンでショートカットメニュー表示できるので、モード切り替えを割り当てておくと便利。
プロフェッショナルでsRGBやデザイナーなどのモード設定が可能。通常の作業をしたいときはこちらを設定しようワンボタンでショートカットメニュー表示も対応。よく利用する機能を割り当てておけばスムーズな切り替えができる
「Optix MAG342CQRV」は1500Rという湾曲率と21:9という画面比率は、ゲーミングの世界で没入感を生むだけでなく、ビジネス用途でも2画面使っていた環境を1つにまとめて作業できるため、スペースも作業も効率アップすること間違いなし。また、21:9は映画のサイズとして使われているシネマスコープの2.35:1とほぼ同じなので、画面いっぱいに映像を表示して堪能できるなど、用途が多岐にわたるのがこの手のディスプレーが人気な所以だろう。
実売価格6万円前後と湾曲ワイドディスプレーとしてはコスパが高く、ディスプレーに掛ける金額を抑えられたぶん、最新のグラボに予算を上乗せすれば、より理想的なプレイ環境が構築できるはず。自分へのクリスマスプレゼンントとして、購入を検討してみては?
2024-04-18 19:47:22