最大60秒のショートムービー共有サービスTikTokが、ムービーの尺の制限を「3分間」とする機能をテスト中だと報じられています。さまざまなソーシャルメディアがショートムービー機能に力を入れる中、その流れに逆行するかのような「60秒から3分間への延長」に対しては、複数のメディアやSNSユーザーから疑問を投げかける声が上がっていますが、一部では肯定的な意見も見られます。
中国のByteDanceが開発しているTikTokは、2020年4月に累計ダウンロード数が20億回を突破するなど、若者を中心に絶大な人気を集めているショートムービー共有アプリです。その人気を背景に、YouTubeは9月に最長60秒のムービーを共有する「YouTube ショート」を発表。Facebook傘下のInstagramも8月にショートムービー共有新機能「Reels」の提供を開始するなど、さまざまなサービスが続々とショートムービー市場に参入しています。
そんな中、ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra氏が、「TikTokが最長3分間の長いビデオクリップをアップロードする機能を展開中です」とツイートしました。Navarra氏の投稿には、「TikTokのアプリ版とデスクトップ版に、最長3分間のビデオをアップロードできる早期アクセス機能があります」と告知する画面のスクリーンショットも添付されています。
ショートムービー市場の過熱に逆行する長尺ムービー共有機能について、IT系ニュースサイト・The Vergeは「60秒以内で面白いものを作らなければならないという制約こそ、TikTokの目玉の1つです。1つのムービーに1分以上費やすことなく次のムービーを見にいけるのは、長いコンテンツに支配されている世界では歓迎すべき機能です。TikTokがテスト中としている3分間のムービーは、かつて10分間以内に制限されていた頃のYouTubeの劣化版のように感じられます」とコメント。
海外メディアのEngadgetも、「TikTokの60秒の制限により、クリエイターたちは新時代のビジュアルコミュニケーションを開拓することになりました。制限時間を3分に延長することで、TikTokはファンに今より広い創作の余地を与えようとしていますがこれには多くのリスクも伴います。例えば、この変更はTikTokを成功に導いたパンチ力を損なうかもしれません」と述べました。
Engadgetはまた、TikTokが限定的に実装した3分間のムービーを見たユーザーの反応をまとめて、「ほんの一握りのユーザーが今回の変更をTwitterで報告していますが、ほとんどのリアクションは『なんだこれは?』に要約できます」と指摘しました。
Twitterユーザーのmagsさんは、「3分間のTikTokを見ましたが、『一体何が起きているの?』という感じです」と報告。
一方、ITメディアのCNETは「ソーシャルメディアプラットフォームがコンテンツの制限を拡大することは、驚くようなことでも珍しいことでもありません。InstagramのReelsは9月にムービーの長さを15秒から30秒に伸ばしたし、Twitterも文字制限を緩和したことがあります。TikTokがムービーの制限時間を延ばすことは、コンテンツを1分間に収められなかったクリエイターが私たちに見ることを強要する、あの恐るべき『パート2』のムービーを排除するのに役立つかもしれません」とコメント。
テクノロジー系メディアのPCMagも、「Twitterは文字制限を2倍にしましたが、Twitterの人気は衰えていません」と指摘し、TikTokの制限時間延長は必ずしもTikTokの長所を損ねないとの見方を示しました。
2020-12-02 23:18:36