今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。
連載:スイートメモリーズ
「Zipドライブ」は、Iomega社が開発した初代Zip(Zip100)をメディアとするドライブ。ドライブが約200ドル、ディスクが3枚で約50ドルという安さもあって、海外で多くのユーザーを獲得しました。日本ではMOが強かったこともあり、ややマイナーなイメージがありますが、それでも富士フイルムやセイコーエプソン、マクセルなど、複数のメーカーがドライブを販売していました。
参考:スイートメモリーズ File001「Zip」
初期の外付けドライブは、パラレルポート接続とSCSI接続の2種類。パラレルポート接続は速度は遅くなるものの、多くのPCで搭載されていたパラレルポートがそのまま使えるため、低コストで増設できるというのがメリットです。これに対してSCSI接続は、別途インターフェースボードの増設が必要となるものの、高速にアクセスできるというメリットがあります。
下の紺色のドライブがパラレルポート、上の白いドライブがSCSIのものです。どちらもD-Sub25ピンですが、その上のマークが違うことから簡単に見分けられます。SCSIモデルにはSCSI IDやターミネーターのオンオフ用スライドスイッチがあるので、そこでもわかります。
ちなみに、USB接続モデルが登場したのは1998年ですから、3~4年ほど遅れての登場となっています。何かの影響を受けてトランスルーセントとなったこと以外、ドライブのデザインは変更なし。また、ACアダプターが必須ということもあり、使い勝手は大きく変わりませんでした。
Zipドライブの特徴ともいえるのが、天面に作られた窓。ここからドライブに挿入されているカートリッジのラベルを確認できるため、「今、どれを入れてるんだっけ?」と気になったときでも、PCを操作して中のファイルを開いたり、カートリッジを取り出してラベルを見る、といった手間なく確認できるのが便利です。
ただし、この窓の固定が甘く、ちょっと力を入れて押すと外れてしまうのが難点でした。テープで貼ったり、接着剤で付け直したという人も結構いたのではないでしょうか。
ちなみに、Iomegaのドライブで採用されている樹脂は劣化で脆くなりやすく、20年も経つと窓が外れるだけでなく、側面や爪なども簡単に割れます。今でも実物を残しているという人は、割ってしまわないよう慎重に取り扱いましょう。
パラレルポート接続はWindows10でサポートされませんが、SCSI接続の場合はしっかりと認識し、ファイルへのアクセスも可能でした。SCSI接続環境を作るのが若干難しいですが、もし構築できるなら、今でも現役で利用可能です。
2020-12-20 19:06:30